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最強の魔王が異世界に転移したので冒険者ギルドに所属してみました。  作者: 羽海汐遠
妖魔山編

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1619.身を挺する行いと、心を一つに

『波動砲』と呼べる程の規模の威力を誇る『帝楽智』の放った一撃は、あっさりと『結界』を貫き、そして先程『イダラマ』が『術』で生み出した質量のある『分身』の元に届くのだった。


 そしてあっさり……、とまではいかなかったが、僅かに速度に衰えをみせた『帝楽智』の魔力波は、生み出した『分身』の腹部を貫いて、遂にはその背後に居る本物の『イダラマ』の元に迫ってくる。


 護衛やアコウ達が主であるイダラマを助けようと目前まで迫っていたが、それをイダラマは視線だけで一瞥して制止してみせると、そのまま直ぐに『魔力波』に視線を移す。


 そのまま『魔力波』を自身の両手に集約させた『魔力』で相殺を試みようと彼自身も『魔力波』を至近距離で放つが、威力を軽減する程度の効果しかなく、あっさりと『イダラマ』の『魔力波』は雲散霧消(うんさんむしょう)していった。


 だが、彼の『魔力波』のおかげで本来の『帝楽智』の『魔力波』が向かっていた軌道が変わり、イダラマの脇腹を掠めてそのまま背後の山に向かって伸びて行った。


 こうして決死の『イダラマ』の抵抗によって、気を失い倒れているエヴィの身だけは、無傷で守られるのだった。


「やれやれ『鏡魔姿移(きょうましい)』で生み出した分身も『耐魔力』は伴っている。それもそれなりに高い筈なのだが……」


 イダラマは片膝をつき脇腹を押さえながら、静かにそう言ちるのだった。


 この『イダラマ』とて妖魔ランクで表すのであれば、ランク『8』は下らない。


 戦力値でいえば『()』に匹敵する彼が、自らの『結界』と術で生み出した『耐魔力』を持った分身を壁にして、更には彼自身の『魔力波』で相殺を試みて尚、あの『天魔』と呼ばれる『帝楽智』のたった一発の『波動砲』に類似た『魔力波』の軌道を変えるのが精一杯だった。


 如何にランク『9』の『妖魔』の力が高いのか、それを身を以て改めて理解するイダラマであった。


 ――だが、悪夢はまだ続く。


 むしろ先程の一撃を止められた事で『帝楽智』は、更に『魔力』を高め始めるのだった。


「この妾の攻撃を凌いでみせるか、よかろう。この『天魔』が主らを障害と改めて認めてやる。そして障害を取り除くために些か本気になってやろうではないか!」


 どうやら先程の『波動砲』と見紛う『魔力波』でさえ、彼女にとっては本気の一撃ではなかったようだ。そして今度こそ、その本気の一撃を放つつもりなのだろう――。


「い、イダラマ様……! 俺達も戦わせてください!」


「俺達はいつでも貴方の盾になる覚悟は出来ています!」


 イダラマの護衛、アコウ、ウガマはいつの間にか彼のすぐ傍に辿り着いていて、どうやら共に死のうというのだろう。少しも臆することなく『帝楽智』の射程範囲内の中で自らの主の耳にその言葉を届けたのであった。


「やれやれ……。どうやら件の『妖狐』とは生涯会う事はなさそうじゃな。まぁ、元々お主が居なければ適わぬ願望であったことは間違いない。ここでワシだけ生き残ったところでどうにもならぬ。お主と共にあの世へ渡るとするか」


 そして『コウエン』もまた、イダラマの元に歩を進めると自身の『魔力』も高め始めて戦闘態勢に入るのだった。


 更にコウエンが動けば『同志』達も動く。この場に居る『妖魔召士』達はその全員が手印を結びながら『スタック』を開始するのだった。


 ――しかしそこで皆の言葉を聴いていたイダラマが、笑みを浮かべながら口を開くのだった。


「ふふっ、安心召されるがよい。この私がやぶれかぶれで行動をするような者ではない事は、主らも承知の事だろう?」


 片膝をついていたイダラマは、ゆっくりとその場から立ち上がると脇腹を押さえていた手に、再び『魔力』を纏わせ始めるのだった。  


「い、イダラマ……?」


 空に居る『帝楽智』を眺めながら、攻撃をどう防ぐかを考えていたコウエンは、急に立ち上がってそう告げたイダラマに視線を向け直してその名を呟いた。


「このイダラマは『ノックス』の世界に真の救済を齎す者だ! 何の準備もなくこの山の『禁止区域』を目指していたわけではない!!」


 見たことのない手印を恐ろしい速度で結びながら、イダラマは一層『魔力』を高め始めていく。


 そんな折、空で迸る程の『魔力』を蓄えるように右手に集約させていた『帝楽智』もまた、その口を開き声ををあげた。


「待たせたな。今度こそ主ら全員を一掃してやろうぞ!」


『帝楽智』は渾身の一撃を放つ準備を終えると、イダラマ達の頭上高く空の上、大きな声をあげてそう告げるのだった。

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