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最強の魔王が異世界に転移したので冒険者ギルドに所属してみました。  作者: 羽海汐遠
シスの回想編

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156.ヴェルトマーとの出会い12

※加筆修正を行いました。

 レルバノン達の襲撃を押し返した『レイズ』の魔族達は、今までの落ち込んだムードから一転して歓喜に包まれていた。


 それもその筈で『ラルグ』魔国軍が攻めてくると聞けば、どこかの拠点が必ず落とされてしまい、このままではレイズ魔国自体が陥落も時間の問題かと国民達は恐れていたのだ。


 そこにラルグ魔国軍を追い返しただけではなく『鮮血のレルバノン』を相手にしながらも引かせたとなれば、ここまでの騒ぎになるのも仕方がない。


 そしてヴェルトマーが周りを見て少し感傷的になりながら、小さく笑みを浮かべていると彼女の前にシスが現れた。


「……シス。助けを呼んでくれたのは貴方よね? ありがとね」


 弱々しい笑みを浮かべて礼を告げる『ヴェルトマー』にシスは無言で抱きつく。


 驚いているヴェルトマーに静かにシスは呟いた。


「無事でよかった……っ!」


 …………


(なんだろう……)


 彼女は何故かは分からないが、この瞬間に『大魔王ユファ』ではなく『ヴェルトマー』として、今後はこの()()()()()()()()()()生きようと思うのだった。


 そして胸にシスを抱いていると『セレス』女王や『リーゼ』、更には『ラティオ』達も『ヴェルトマー』の前にやってきた。


「よくやってくれましたね『ヴェルトマー』。貴方のおかげでこの『レイズ』魔国は救われました」


 セレス女王は心の底から喜んでいるのだろう。


 見た事のない程の嬉しそうな笑みを浮かべてそう言った。


「お前の言った通りだったな。この前は本当に、本当に失礼な事を申してすまなかった」


 そう言って頑固一徹で有名な、あの『()()()()』が()()()()()


 呆然として二人の様子を見ていた『ヴェルトマー』に、胸に顔を埋めていたシスが口を開いた。


「私が声を掛ける前に皆、敵と戦っていた『ヴェル』を助けに行く準備をしていたんだよ? だから私に礼を言うなら皆に言ってね?」


 シスが少し不安そうな顔を浮かべて『ヴェルトマー』にそう言うと――。


「あ、ありがとう。た、助かったわよ……」


 ヴェルトマーがこのレイズ魔国に来て初めて感謝の言葉を口にすると、その場にいた皆がほっとした笑みを浮かべてそして労わるように『セレス』女王が『ヴェルトマー』に治癒魔法を唱えた。


「こちらこそ貴方が居なかったら、一体どうなっていた事か」


 ヴェルトマーは照れている顔を逸らしながら静かに口を開く。


「これからもシスを守るついでに、()()()()()()()()()()()()


 その言葉を受けて驚いた顔を浮かべた後『レイズ』魔国王のセレス女王は改めて『ヴェルトマー』に感謝の言葉を贈るのだった。


 …………


 ――これ以後『ヴェルトマー』という()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()『災厄の大魔法使い』がその本領を見せつけるかの如く、ラルグ魔国に奪われていたレイズ魔国の拠点を次々と取り返していった。


 レイズの魔女として恐れられている『セレス』女王に『災厄の大魔法使い』である『ヴェルトマー』。


 そしてこれまでも長く『魔法部隊』を率いてきた実績とカリスマ性を持ち合わせた『リーゼ・フィクス』が居る『魔法部隊』は、異常なまでの戦力を有する事となり『ラルグ』魔国程の大国であっても、おいそれとは『レイズ』魔国に対して手が出せなくなった。


 そしてこれより数百年の間に、大国であった『レイズ』魔国が更に()()()()()となるのであった。


 ……

 ……

 ……


 そこでゆっくりとシスは目を覚ました。


 長い長い夢からようやく覚めたシスだが、意識がしっかりとしていて目元には涙が溜まっていた。


「ヴェル……! もう一度会いたいよ」


 今はもう居ないヴェルトマーの夢を見たからだろうか。


 悲しい気持ちに我慢出来ずに咽び泣くシスであった。


 ――そしてそんなシスの元に、うっすらと人影が浮かび上がるのであった。


「えっ?」

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