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最強の魔王が異世界に転移したので冒険者ギルドに所属してみました。  作者: 羽海汐遠
イダラマの同志編

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1582.遵守命令と、明確な殺意

「おいおい……? そんな殺気を俺に向けてどうしようっていうんだ? アンタさっき俺の協力を願い出ていたよな? ここで俺を傷つけるような真似を、他でもない組織の副総長のアンタが行えば、それは色々とまずい事になるんじゃないのか?」


 確かにイツキの言う通り、今の『イツキ』は単なる『退魔組のイツキ』ではなく『妖魔退魔師』組織の総長である『シゲン』が正式に『妖魔山』の『禁止区域』へと同行を願い出た相手の『イツキ』なのである。


 先程の『牢』に入っていた頃のイツキであれば、ヒュウガを殺めた罪人として、副総長ミスズの裁量で処罰を行う事も可能ではあったが、今この時においてはそれは決して組織の副総長として勝手を行う事は出来なかった。


 何より『イツキ』という存在の『力』は『禁止区域』の調査を行う上で必要な『力』であり、ここでイツキの『力』を消耗させるような真似は、どう見ても賢い選択とは言えなかった。


 ――それを誰よりも聡明なミスズは、理解はしている。


 ――しかし頭では理解しているが、彼女自身納得は出来てはいない。


「くっ……!」


 『瑠璃』のオーラを纏いながら刀に手を宛がうミスズは、イツキの言葉に唇を噛みしめる。


 想像以上に『妖魔退魔師』の総長である『シゲン』の言葉は重いようで、イツキの目から見ても目の前に居る副総長『ミスズ』は、組織の長からの命令を遵守するだろうという事が見て取れた。


 ――だからこそ、この場で更にイツキは言葉を続ける。


「ずっと俺は言っていたよな? 俺の仲間に対して勝手な事をしやがった『ヒュウガ』だけは許すことは出来ねぇってよ。アンタはそれを分かってて、俺を置いてさっさと部屋に戻ろうとしたんだ。俺と同様に『ヒュウガ』を外に出すという連絡を受けいたこのタイミングで、ここを『ヒュウガ』が通るだろうと理解した上でだ。アンタは俺があのヌーとかいう野郎に完膚無きまでにへこまされるところを見た事で、俺が牙を抜かれた哀れな敗北者とでも思っていたんだろう? だからこんな脇の甘い……――」


()()()()()()()()()()()。それで貴方は我々『妖魔退魔師』組織に協力をして頂けるのですか?」


 ミスズは恐ろしい程までに冷徹な視線を向けながら、イツキが言い終わる前に言葉を被せて質問をぶつけるのだった。


「さっきも言っただろう? 俺は成し遂げたかった事を無事にやり遂げたんだ。気分が良いから何でも手伝ってやるってな」


「結構。それでは先に貴方を『シゲン』総長のところへ案内しますので、これ以上私の手を煩わせずにしっかりとついてきて頂きたい」


 イツキに対しての敵意を隠そうともせずに、シゲンの元へ向かわせようとするミスズであった。


「はいはい、分かったよ」


 冷徹な目でイツキを見つめていたミスズだが、そこで静かに踵を返して前を歩いていくのだった。


 ――今度はいつでもイツキに対して行動を取れるように、ミスズは刀に左手を宛がっていた。


「ククッ! 見たか? あの女の俺を許せないって顔をよ、実に痛快だったな?」


「い、イツキ様……」


 何と返していいのか分からず、ユウゲは困った声を出すのだった。


 そしてその横に居たヤエは、もうイツキの見る目が『退魔組』に居た時とは全く変わっており、本当にこのイツキの元にユウゲ様と居ていいのだろうかと悩む表情を浮かべていた。


 ……

 ……

 ……


 そして『ヌー』と『エイジ』は虚ろな目を浮かべた『妖魔召士』達から大方の情報を集め終えると、かつての『セルバス』が『トウジ』に対して行ったように、いつでも操れる状況を残したままで、一時的に元に戻すと『妖魔退魔師』の案内人に『タケル』達を『牢』へ戻すように丁寧に告げるのだった。


 妖魔退魔師の男が二人を連れて、部屋から出て行くのを見届けた後、エイジは静かに溜息を吐いた。


「まさか『テツヤ』達の『同志』に前時代の『妖魔召士』が関係しているとは思わなかった……」


「前時代って事はすでに引退した者達だって事なんだろう? そんな連中がいくら束になったところで何の役にも立たねぇんじゃねえか?」


 ヌーは実際には、ここの『妖魔退魔師』組織の者達がやられた事を理解した上で、エイジから話を聞きだす為にそう口にしたようであった。


 当然にエイジもヌーの真意を理解した上で、今後の話を円滑に進める為にあえて話を合わせ始めようと口を開くのであった。


 ……

 ……

 ……

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