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最強の魔王が異世界に転移したので冒険者ギルドに所属してみました。  作者: 羽海汐遠
イダラマの同志編

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1573.度胸のある者同士のやりとり

 ユウゲとヤエは当然にこの場に現れた『妖魔退魔師』の名を知っている。


 『退魔組』に属していた身としては、この『妖魔退魔師』組織の副総長である『ミスズ』を知らない筈がなかった。


 あれだけ恐ろしい強さを持っている『組長格』よりも更に強く、実力で当代の副総長の座に就いた『ミスズ』は特にこの世界では有名であった。


 ――そして多くの隊士を束ねる組織の『副総長』として相応しく、残忍な一面も持ち合わせているという事も。


 特にユウゲとヤエは『妖魔召士』組織の下部組織である『退魔組』に属していたために、当時の組織の頂点に居た『ゲンロク』が、この目の前に居るミスズに完膚なきまでに詰められてしまい、一方的な合意をさせられたという話を聞かされていた。


 (まつりごと)の面でも武の面であっても、決して逆らってはいけない存在が『妖魔退魔師』の副総長である『ミスズ』というのが、彼らの共通の認識であった。


 そんなミスズを前にして『ユウゲ』と『ヤエ』は、下手な事は口に出来ないと考えて口ごもっていると、ミスズが圧をかけるように目つきを鋭くさせ始める。


 ユウゲは目の前の小柄な女性である筈のミスズが、あの鬼のように恐ろしい『サテツ』の頭領に睨まれるよりもある意味で恐ろしいと感じさせられてしまうのであった。


「悪いな、ミスズ殿。こいつらがここに居る理由だが、どうやら俺が心配でここに戻ってきちまったようなんだよ。それ以外に他意はないと約束しよう」


 イツキの言うこの場での『()()』という意味は、実際にミスズが現在考えていたであろう『襲撃』に関しての関係性の有無の事であった。


「そうですか。貴方が残る条件として『退魔組』はサテツ殿以外の者達を解放されたと思いますが、どうやら貴方は私が思っている以上に慕われていたという事でしょうかね」


 このミスズの言葉には当然言葉通りの意味だけではなく、あらゆる意味が含んでいる。


 彼女もまた、イツキの言葉の十全に信用しているわけではない。


「ははははっ! どっかの我が身可愛さに『ゲンロク』の爺さんを裏切った『妖魔召士』一派とは違って、こいつらは信用が出来るものでね。アンタの言う通り、こいつらに慕われて非常に嬉しいと思っているよ」


 ニコリと笑いながら、含みのある言い方を返すイツキであった。


(ユウゲ様からある程度の事情は聞かされていたけど、イツキの本性はこんな感じだったのね……)


 ユウゲの護衛である『ヤエ』は『退魔組』の中でのイツキの振る舞いしか知らず、いつもサテツの補佐として働いて物腰の柔らかい優男という印象を持っていた。


 しかしこうして恐ろしい威圧を放つ『妖魔退魔師』組織の『副総長』を相手に堂々と言葉を返しているイツキを見て、人の本性とは上辺だけでは分からないものだと考えさせられる『ヤエ』であった。


「まぁ、良いでしょう。どうやら襲撃を行ったのは実際には『ヒュウガ』殿の一派ではなかったようですし、裏とのつながりを持っていたと思われる『退魔組』とは無関係なのは間違いないでしょうしね。分かりました、こちらの方々が本部内に居た事に対する襲撃犯との関連性を追求するのはやめておきましょう」


 その言葉にはまだ、勝手に組織の本部に不法に侵入をした件については、また違った追求をされる事になるのだろうが、きわめて深刻な事態からは、イツキの言葉の援護のお陰で脱する事になったようである。


「分かってくれて、俺も嬉しいよ」


 ミスズの言葉から、しっかりと完全な放免ではないという事の意味をちゃんと理解した上で笑みを浮かべてみせるイツキに、彼女は大きく溜息を吐きながらズレ落ちる眼鏡をくいっとあげるのだった。


「では、改めて私がここに来た当初の目的を果たさせて頂きます。イツキ殿、貴方を今後自由の身にする事を条件に、我々と共に『妖魔山』の『禁止区域』における調査に協力をお願いしたいのです」


「……何だって?」


 ミスズの予想だにしない言葉に、これまでとはまた違う表情を見せるイツキであった――。


 ……

 ……

 ……

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