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最強の魔王が異世界に転移したので冒険者ギルドに所属してみました。  作者: 羽海汐遠
イダラマの同志編

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1572.牢から出される者達

 ソフィの言葉にミスズが唖然としていると、隣に居たシゲンが代わりに口を開いた。


「この場にはそちらに居る『ソフィ』殿によって『結界』が張られている。お主ら『妖魔召士』が我々に対して『魔力』を伴った行動を取ろうとすれば、そこで胴から首が切り離された男のようになるだろう。余計な事を考えずにこちらの質問に素直に答えた方がいいとだけ言っておく」


 信じられないものを見た衝撃で『妖魔召士』達は、冷静とは程遠い状況であった。


 その状況を利用するかの如く『シゲン』がそう告げると、他の『妖魔召士』達は一様に押し黙るのだった。


 言葉を失っているが、彼らの目を見れば怯んでいると容易に予想がつく。


 シゲンの読み通り、もうこの場に居る『妖魔召士』達は、何とか表面上は取り繕ってはいるが、内心では理解が追い付かない事の連続で憔悴しきっているのだった。


 エイジやゲンロクは、誰よりも早くこの場を上手く利用してみせた『シゲン』に、大したものだとばかりに頷くのだった。


「そ、それではもう一度質問をさせて頂きますが、貴方がたが我々の本部を襲撃した理由である『同志』とは一体誰の事だったのでしょうか?」


 放心状態からようやく立ち直ったミスズは、ズレ落ちそうになっていた眼鏡を再び上げながら、先程と同じ質問を『妖魔召士』達にぶつける。


 ――そしてこの場に居る『妖魔召士』達は、素直に『牢』に居る『同志』の名を出すのであった。


 ……

 ……

 ……


 ヒュウガ達が入れられている『牢』の部屋の扉が開かれたかと思うと、次には『牢』の格子が開かれる音が中に居る『妖魔召士』達の耳に聞こえてくるのであった。


 その音に目隠しさせられている『妖魔召士』達は何事かとばかりに耳を傾け始めたが、そこで牢を開けた隊士が口を開いた。


「『ヒュウガ』『テツヤ』『タケル』、この三名は今から『牢』を出てもらう。分かっているとは思うが、暴れたりはせぬようにな」


「「……」」


 『魔瞳(まどう)』を封じるために目隠しはされているが、別に猿轡(さるぐつわ)をされてはいないために喋る事は出来る『ヒュウガ』達だが、誰も隊士の言葉に返すものはいなかった。


 言われた通りに三名は目隠しをされたままで、隊士に導かれながら『牢』のある部屋を出るのだった。


 同じ牢から出された三人だが、ヒュウガと残り二名の行き先は違っており、ヒュウガはそのまま真っすぐと道を進んでいき、テツヤとタケルはヒュウガとは違う道に誘導されて、そのまま用意されている部屋へと通されるのであった。


「おや……? どうやら私だけが違う場所へ向かわせられるようですね? 一体何処へ連れていかれるのでしょうか」


 ヒュウガは自分の背後を歩かされていた仲間達の足音が聞こえなくなった事で、そこでようやく口を開く。


「ついて来れば分かる」


 感情が一切こもっていない隊士の言葉に、ヒュウガは大きく溜息を吐くのであった。


(後から牢に入れられた『テツヤ』達と私だけが外に出される理由は一体何なのでしょうか? まさか我々だけが外に出されるという事はないのでしょうが……)


 本部内の廊下を少なくなった足音だけがコツ、コツ、と無機質に響く中、静かにヒュウガは胸中でそう呟くのだった。


 ……

 ……

 ……


 そしてヒュウガ達とは別の『牢』に居る『イツキ』の部屋の扉も人の手によって開けられる。


 その音にユウゲとヤエはびくりと身体を震わせて、イツキだけは冷静に音のする方に視線を向ける。


 ユウゲとヤエは自分からこの部屋へ入って来たために、当然に目隠しなどされてはいないが、元々この場所に入れられていたイツキもまた、ヒュウガ達のように目隠しをされてはいなかったために、入って来た眼鏡を掛けた小柄な女性の姿をその目でしっかりと映す事が出来た。


「おや? この『牢』にはイツキ殿だけしか入れていない筈でしたが、貴方がたは一体誰なのでしょうか?」


 その眼鏡を掛けた小柄な女性である『ミスズ』は、前回この場所に来た時には居なかったイツキ以外の二人の人間に視線を向けながら、そう告げるのであった――。

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