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最強の魔王が異世界に転移したので冒険者ギルドに所属してみました。  作者: 羽海汐遠
イダラマの同志編

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1561.ユウゲの受難

 ソフィがヌーやエイジと会話を交わしていた頃、この本部内の別の場所で一体の『鬼人』が、数人の人間達を連れて物置に使われているのであろう小さな部屋に閉じこもっていた。


「悍ましい悲鳴や、激しい戦闘音などは止んだようだ。少し俺が様子を見てきてやるから、お主達はこのまま隠れているがよいぞ?」


「ま、待ってくれぬか! 危ないところを助けてくれた上に、ここまで匿ってくれたお主には非常に感謝をしておるが、外に残してきている者も居るし、ワシらは急いで『牢』に居る仲間の元へ向かわねばならぬのだ。ここまでしてもらっておいて勝手を申しておるのは重々承知なのだが、よければ『牢』のある場所へ案内をして欲しい!」


 『鬼人』に向けてそう告げたのは『ユウゲ』であった――。


 ユウゲと護衛のヤエは『妖魔退魔師』の本部に入った直後、本部内で『牢』の探索を続けていた『妖魔召士』の放っている『式』に見つかってしまったのである。


 ユウゲはランク『4』に到達しており、その護衛のヤエも地方の『予備群』であれば数分は持たせられる程の実力者ではあったのだが、流石に前時代の『上位妖魔召士』が契約を交わしている『式』のランクはそんなユウゲ達を嘲笑うかの如く、当然のように『5』を上回っていたのであった。


 そして殺されると判断した『ユウゲ』と『ヤエ』は互いの命を守るために戦闘態勢に入ったのだが、そのせいで『式』の『妖魔』に狙われてしまい、そのまま殺されそうになってしまった。


 ――しかし、そこで同じ『妖魔』である一体の『鬼人』が現れると、そのユウゲ達を襲い掛かろうとしていた『妖魔』に蹴りを入れた後に、二人を連れてこの小部屋に匿ってくれたのであった。


 その『鬼人』の妖魔とは、キョウカ組長の指示に従ってこの場に『妖魔退魔師』の組員達を連れてきた『動忍鬼(どうにんき)』の同胞なのであった。


 彼は『動忍鬼(どうにんき)』を救ってくれたというソフィや、自分の命を助けてくれたキョウカ組長、そしてこの『妖魔退魔師』の町にいることを許可してくれた『シゲン』や『ミスズ』達『妖魔退魔師』に対しても多大なる恩義を感じていたために、この『妖魔退魔師』達が本部を構える『サカダイ』の町の人間達を救いたいと考えて、ユウゲ達をこの本部内に助けを求めてやってきた『サカダイ』の町民達だと勘違いをして助けたのであった。


「『牢』の場所へ案内だと? お主らはあの『ヒュウガ』とかいう『妖魔召士』達の一派であったのか!」


 まさか助けた人間達が、自分の憎き『妖魔召士』達の仲間だったと知らなかった『鬼人』は、ユウゲ達を見る目が庇護の対象に向けるものではなくなり、嫌悪的な視線に変貌させるのだった。


「ま、待ってくれ! ワシらはお主の考えている『妖魔召士』の者達の居る『牢』に案内して欲しいのではなく、イツキという人間の元へ案内して欲しいだけなのだ! 嘘じゃない、本当にワシらは一派とは関わりを持ってはいない!」


 実際には『退魔組』の上位組織が『妖魔召士』組織ではあるのだが、確かにユウゲ達は『ゲンロク』の一派ではあるが、ヒュウガ一派とはもう関係がないといえばその通りであり、嘘を言っているわけではなかった。


「ああ……。確かにイツキという人間だけが別の『牢』に入れられているというのは、ここの者達が話をしているところを実際に俺も聞いて知っているが。そうか、お主らはその人間の仲間達であったか」


「おお! その通りなのだ、話が早くて助かる。ワシらは確かに『妖魔召士』組織の下部組織である『退魔組』というところに属しておったが、その実『妖魔召士』組織というよりも、そのイツキという人間の元で働いていたようなものでな。疑いが晴れたようで何よりだ」


 ユウゲは誤解が解けてほっとした表情を浮かべたが、次に『鬼人』が告げる言葉に、彼らはその表情を再び曇らせてしまうのだった。

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