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最強の魔王が異世界に転移したので冒険者ギルドに所属してみました。  作者: 羽海汐遠
イダラマの同志編

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1576/2235

1559.最強の大魔王の終焉、再び

「あ……、ああ?」


 サクジは目の前で起きた光景が、未だに理解が出来ていなかった。


 彼の契約していた『式』は『妖魔山』でもその存在を示していた程の実力者達であり『江王門(えおうもん)』に至っては、あのランク『7』から『8』に数えられる『王連(おうれん)』と同じ『天狗』で、その『江王門(えおうもん)』自身もまたランク『7』に限りなく近い『妖魔』であった。


 前時代、当代と数多く居る『妖魔召士』組織を見回しても『天狗』と契約を交わしているのは『ジンゼン』と『サクジ』だけしかいない。


 だが、契約を行う事が難しいが、それ故に『天狗』の強さは他の『妖魔』達と一線を画す程であった。


 その中でも『江王門(えおうもん)』はあの『王連(おうれん)』に一歩届かないまでも他の『天狗』よりも魔力が高く、先程放った『呪詛(じゅそ)』は『妖魔退魔師』はおろか、半端な『妖魔召士』ですら解除は難しい程なのである。


 それを直撃した筈だというのに、目の前の黒い四翼の羽根を生やした『化け物』は何事もなく『呪詛』を跳ね返した挙句、そのままたった一発殴っただけで『江王門(えおうもん)』を消滅させてしまったのである。


 ――言葉通りの意味であり『天狗』の『江王門(えおうもん)』や、先程の『鬼人』の『瑠慈(るじ)』は式札にすら戻されていない。


 本来『妖魔召士』と契約を交わした『妖魔』は、その身体が傷つき『式』としての機能を果たせる限界を迎えた場合は『式札』に戻されてしまうのだが、その存在すらをこの『ノックス』の世界から完全に消滅させたために、もう二度と『式』として呼び起こすどころか、会う事も出来ないだろう。


 今の大魔王ソフィは、普段通りの温厚な魔族の姿ではない――。


 仲間を傷つけられるのを何よりも嫌う『大魔王』である。


 そんなソフィが今回、セルバスという仲間を傷つけられるどころか殺められたのである。


 それも彼の『救済(ヒルフェ)』の『魔法』でさえ意識を戻す事が出来ず、またその戻らない理由も把握に至ってはいない状況の中で、我慢の限界を迎えている時に襲い掛かられた以上は、彼もまた容赦をするつもりがない。


「な、何なのだお前は!? お、お前も『妖魔退魔師』なのか? そ、それともあの部屋に『結界』を施しておった組織のお抱えの……」


 サクジが最後まで言い終わる前に、彼はそれ以上の言葉が出せなくなる。


 ソフィが『金色の目(ゴールド・アイ)』を用いて黙らせたからであった。


「そんなどうでもいい話をするために、わざわざ貴様如きをここに呼んだのではない」


 サクジは途中で話せなくなった事に驚き戸惑ったが、目の前の存在が口を開いた瞬間に恐ろしい威圧と暴力的な『魔力』の煽りをその身に受けて、魔瞳(まどう)とは関係なしに動けなくなってしまうのだった。


「貴様がこの場に居た者達の中で一番『魔力』が高かったようなのでな、貴様をここに呼び寄せたのだ。それで貴様に聞きたいのだが『妖魔召士』とやらが扱う『捉術』とやらで『蘇生』や『回復』などを妨げる、または阻止するような『魔』の技法などは存在するのだろうか?」


「えっ? えっ……?」


 ソフィが質問をすると、再びサクジの口は開く事が出来て言葉を出せるようになるのだった。


 返事を待つソフィの目の眼光は鋭く、その視線を向けられたサクジは恐怖で言葉に詰まり、考える事自体が出来なくなってしまっていた。 


「……」


 考えが纏まらない様子のサクジだが、ソフィはそれ以上言葉を発さずにじっと返事を待ち続ける。


「……」


 ソフィの無言の圧力は相当に凄まじく、これがまだ強者の部類に入る人間である『サクジ』だからこそ、気を失わずに居られているが、そんな彼であってもまともではなく、何とかギリギリで発狂せずにいられている状態であった。


 ――やがて、本人の意志からは言葉を聞き出せないと察したソフィの目が、またもや金色に光り始めた。


「どうやらセルバスが意識を戻さぬ理由に、()()()は関与をしていなさそうだな?」


 再び言葉を投げかけるソフィだが、サクジは首を縦に振るでもなく、じっとソフィに怯えた目を返し続けているだけであった。


「もうよい……」


 ソフィの身体を覆う三色のオーラが淡い光から鮮やかな光へと変貌を遂げていく――。


「理由はどうあれ、貴様らの襲撃の所為でこやつは命を落とした事に間違いはない。我は貴様ら全員を許すつもりはない――」


()()()()()()()()()()……。()()()()()()()()()『妖魔召士』……!」


 鮮やかな三色の輝きを放つオーラの中で、バチバチと音を鳴らしながら『魔力』が迸り始める。


 ――そしてソフィが何かをしようとした瞬間に『ヌー』達が『高等移動呪文(アポイント)』を用いてこの場にやってくるのであった。


 これからソフィの処刑が見られるとばかりに、恍惚の表情を浮かべていた『力の魔神』は、突如として現れた『テア』の姿を見て、直ぐに表情を元に戻したかと思うと、テアをソフィの魔力の余波から守るために、そのテアを中心にその場に居る全員の元に『()()()()()()』と呼ばれる程の『結界』を張ってみせるのだった。


「我の仲間に手を出した事を、永劫に悔み続けるがよい」


 ――魔神域魔法、『終焉(エンド)』。


 次の瞬間、この『サカダイ』の町に襲撃してきた()()()()()()『妖魔召士』全員を対象に『終焉(エンド)』が放たれた――。


 本部に居る全員の『妖魔召士』の身体から魂が抜け出ていく――。


 当然、目の前のサクジからも見えない『何か』が出て行った後、白目を剥いて倒れ始めた。


 この場のほとんど全員がソフィが何をしているのか分かってはないが、彼は何やら操作をするようにゆっくりと手を上げると、思いきり拳を握りしめ始める。


 その瞬間に『サカダイ』の町に襲撃に現れた全ての『妖魔召士』の魂がソフィの『魔力』によって消滅するのだった。

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