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最強の魔王が異世界に転移したので冒険者ギルドに所属してみました。  作者: 羽海汐遠
イダラマの同志編

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1558.決して逆らってはいけない存在

「そうだな……。まずはこの建物内に居る連中から詳しく話を聞かせてもらうとするか」


 ソフィが静かにそう口にすると、その目が『金色』に輝き始める。


 ――次の瞬間、ソフィ達の居る部屋に『サクジ』と『瑠慈(るじ)』、そして『江王門(えおうもん)』の姿が現れ始めるのだった。


「「!?」」


 ソフィの『魔力吸収の地アブソ・マギア・フィールド』が張られている部屋から出ようとしていた『サクジ』やその『式』である『天狗』と『鬼人』達だが、気が付けばまた部屋の中に居たことで、何がなんだか分からないとばかりに辺りを見回すのだった。


「な、何だ!? 急に浮遊感に包まれたかと思えば、こ、ここは何処なのだ!?」


「ぬ、主よ……、わ、儂らはどうやら……、もう終わりのようだ……」


 突然に見知らぬ場所に移動させられた事に驚き、戸惑いながら声をあげる『サクジ』と、何やらソフィを一目見て全てを理解した様子の『天狗』の『江王門(えおうもん)』。


 そして『鬼人』の『瑠慈(るじ)』もまた、漆黒の四翼の姿をした『魔族』のソフィを見た直後に、顔面蒼白といった様子で声も出せずに愕然としていた。


 ――決して敵対してはいけない存在。


 『妖魔山』で生を受けてから相当長い年月を過ごして生きてきた高位の妖魔の存在である『天狗』の『江王門(えおうもん)』と『鬼人』の『瑠慈(るじ)』だが、彼らであっても決して同じ『妖魔山』の中でも立ち入る事をしない場所というものが存在する。


 それは人間達が『禁止区域』と定めている『妖魔山』の最奥(さいおう)にして、彼ら『江王門』達よりも更に長く生きる『妖魔』達の棲み処とされる場所であった。


 そこに居る存在は所謂ランク『()』や『()()』とされる『妖魔』達であり、絶対的な『存在』として『妖魔山』に君臨する者達である。


 しかしこんな人間達の町で彼らにとって、そのような決して逆らってはいけない『存在』が、恐ろしい程の威圧を放ちながら目の前に居るのである。


 『サクジ』はまだよく理解を出来てはいないのだろうが、その『式』である『江王門(えおうもん)』と『瑠慈(るじ)』は既に戦意が喪失するどころか、自分達の命は目の前の『化け物』に握られているのだと明確に理解していた。


「な、何を言っておるのだ! あ、あやつが何なのかは分からぬが、近くにワシらの『同志』が倒れているところをみるに、あやつがやったのだろう! お主ら、あの面妖な『(あやかし)』をやってしまえ!!」


 『妖魔召士』と契約を交わしている『妖魔』達は、当然に命令をされてしまえば断る事は出来ない。


 当代の『妖魔召士』達とは違い、無理やり術を施されて『契約』を行っているわけではないが、それでも一度契約を結んでいる以上は同様に従わざるを得ないのである。


 ――だが、その何も理解していない『サクジ』とは違い、この『式』達は明確に『ソフィ』という存在が自分達より強いという事を本能で悟っているのである。


 最早、この『江王門(えおうもん)』と『瑠慈(るじ)』は、死刑の執行を宣言されたようなものである。


「『瑠慈(るじ)』よ、儂が動きを止めてみせるから、お主に攻撃を任せるぞ!」


「くっ! し、仕方あるまい……!!」


「や、やれ! や、やってしまえ!」


 『瑠慈(るじ)』と『江王門(えおうもん)』の両名は、このサカダイの町で『妖魔退魔師』達と戦っていた時とは、まるっきり違う表情を浮かべながら、戦々恐々といった様子のままで『ソフィ』に向かって攻撃を仕掛けるのだった。


 ――そして。


 『鬼人』の『瑠慈(るじ)』は一撃で仕留めるつもりで全力でソフィの元に向かっていったのだが、ソフィの間合いに入った瞬間に『瑠慈(るじ)』は『大魔王ソフィ』の本気の殺意をその身に浴びてしまい、完全に動きを止めてしまうのであった。


「――貴様らに用はない」


 そう一言告げると同時、ソフィは右手を『瑠慈(るじ)』の首に向けて横凪ぎに振り切ると、あっさりと『鬼人』の固い皮膚で守られた首を吹き飛ばした。


 そして『天狗』の呪詛(じゅそ)をその身に受けて動けなくなった筈のソフィだが、自身の迸る程の『魔力』を更に体内から体外へ押し出すようにコントロールすると、その瞬間に電気が走ったかのような音と共に『呪詛』はあっさりと掻き消されてしまう。


 そのままソフィは目を『金色』に眩く光らせながら、ゆっくりと『江王門(えおうもん)』に近づいていく。


「へぅぁっ……」


 向かっていく事も逃げる事もせず――、否、動くことが出来ない『江王門(えおうもん)』は自分でも出した事のないような声が口から漏れ出たかと思うと、自分に向かって迫ってくるソフィの拳を両の目でしっかりと見届けた後、顔が吹き飛ぶ瞬間に意識が遠のいてしまい、この世に別れを告げる事となった――。

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