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最強の魔王が異世界に転移したので冒険者ギルドに所属してみました。  作者: 羽海汐遠
イダラマの同志編

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1571/2235

1554.大事な仲間のために、大魔王ソフィは持ち得る力を示す

「直ぐにそこの男のように、あの世に送ってやるぞ!」


 声高にそう叫ぶ『妖魔召士』の男は『結界』を維持するために使っていた『魔力』を攻撃の『捉術』に注ぎ込んで『スタック』させると、印行を結び始めるのだった。


 一介の『予備群』より強く潜在能力も非常に高いシグレだが、それでも目の前の『妖魔召士』に対しては余りに無力すぎる。


 それもその筈、シギン時代の『上位妖魔召士』であれば、ゲンロクの代の『最上位妖魔召士』に匹敵する程の存在なのである。


 『予備群』はおろか、その上の『妖魔退魔師衆』でさえ、どうにもできない相手であるといえた。


「う、うわああっっ!!」


 しかしシグレはそんな事はどうでもよく、先程自分を守ってくれると告げて、本当に身代わりとなるように相手の攻撃から庇ってくれたセルバスを一瞥したシグレは、その熱い気持ちの滾りを全てぶつけるかのように刀に思いを込めて特攻する。


 たとえ勝てぬと分かっていても、大事な人を二人も『妖魔召士』に殺められて黙っていられなかった――。


 だが、そんなシグレが攻撃態勢に入って向かって来るまでの間に、自身の手印から『魔重転換(まじゅうてんかん)』を用いると、シグレの身体が唐突にも重しを乗せたかのような重量感を感じ始めた。


 その瞬間、シグレの速度が見る陰もなくなる程落ちてしまい、格好の的となった彼女に向けて『スタック』していた『魔力』から『魔力波』が放たれる。


 先程、セルバスの身体が切り裂かれた魔力波と同規模のモノであり、本来の彼女とは違い、術によって速度が落ちてしまっている今の彼女では、回避する事が出来なかった。


(ああ……! 悔しい……、悔しい!!)


 いくら憎悪に身を委ねても、敵を打ちたいと願っても、その意思に彼女の身体はついていってはくれない。


 その無念さを抱きながらシグレは、死へと急速に近づいていくのを感じ取るのであった――。


(未熟な私は、最後まで何も出来ませんでした。ごめんなさい……)


 そして心の中でコウゾウや、セルバスに謝罪するのだった。


 間近に迫った『魔力波』を見たシグレは、観念するように目を閉じる。


 ――しかし、次の瞬間であった。


 地面に倒れているセルバスの真横に突如としてソフィが現れると同時、彼はシグレに迫る『魔力波』を一瞥した瞬間に、彼の目が『金色』に輝くと、瞬く間にその『魔力』は完全に消え去るのであった。


「なっ――!?」


「えっ……」


 『妖魔召士』の『魔力波』が音もなく消え去られた事による驚きの声と、何時まで経っても痛覚というモノが感じられず、何が起きたのかと目を開きながら声をあげるシグレの声が重なるのだった。


 ――そしてソフィが、自分の視界に居る『セルバス』の胴体が千切れている惨状を()()()()だった。


「『無限の空間、無限の時間、無限の理に住みし魔神よ。悠久の時を経て、契約者たる大魔王の声に応じよ、我が名はソフィ。』」


 唐突なソフィの詠唱によって『魔神』が再びこの場に姿を見せる。


「こやつを治すために全ての魔力が必要だ、いいな? ()()()()()()()()()()()()()()()。それとよいか? 死神がラルフの時のように魂を刈り取ろうと現れるのならば全力で止めるのだ」


「――」(分かったわ。でも、ソフィ。もし『死神皇』階級(クラス)の存在が現れたら私もある程度は本気にならざるを得ないし、下手をすれば今後『幽世(かくりよ)』から()()()()()()()()()()()()()も出て来るけ……)


「――構わぬ。死神が(なんじ)の制止を振り切ってセルバスの魂を奪おうと強引な行動に出たならば、()()()()()()()()()()。この世界に他の『魔神』が止めにこようが構わぬ。()()()()()()()()()()()()()()


 ――神格を有する『神々』を消滅させる事は、同じ神格を有する『神々』でなければ行えない。


 しかし『力の魔神』はその神格を有する『神』にして、神位でも『死神』を遥かに上回る『魔神』。


 更にその『魔神』の中でも数えられる程しかいない最上位の『力の魔神』である。


 ソフィがそうしろというのであれば、彼女はその神々の力を行使する事も厭わないだろう。


 『力の魔神』はソフィの表情を見て、ゾクゾクと身体に疼きを覚えると同時、普段のように『お主』ではなく『()』と呼んだ事で本気だという事を理解するのだった。


「――」(ええ! ええ!! 任せて頂戴! どんな死神が現れようとも私が、この者の魂を守ってみせるわ!)


「頼んだぞ。さて――」


 一瞬の間に黒い四翼を背中に生やしたソフィは、その迸る程の『魔力』を完全にコントロールして、かつてない程までの『スタック』数を部屋に余すことなく設置を始めると、その目を金色に変えながら『妖魔召士』を睨みつけるのだった――。

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