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最強の魔王が異世界に転移したので冒険者ギルドに所属してみました。  作者: 羽海汐遠
イダラマの同志編

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1551.魔の観点と八方塞がり

「おやおや、微弱ながら漏れ出ている『魔力』を感知してきてみれば、まだこんな場所に『予備群』達が隠れていたか」


「セルバスさん!!」


「だ、大丈夫だ……」


(く、くそっ……! 何故だ、代替身体(だいたいしんたい)の所為か? 上手く魔力が練れねぇ……!)


 突然入って来た『妖魔召士』に腕を『魔力波』で刎ね飛ばされたセルバスは、脂汗を流しながらも冷静に自分の乱れた『魔力』を上手くコントロールしようと試みるが、ソフィに『念話(テレパシー)』を飛ばそうと波長を合わせようとしたり『悪魔召喚』を行おうとしても発動が出来ない事に訝しむ。


「お主が何者か知らぬが、どうやら『魔力』の『スタック』を見るに『退魔士』の類で間違いないようだからな。少しばかりこの場に『結界』を施させてもらった。さて、私も早く『同志』達の居る場所に向かわねばならぬからな。さっさと終わらせるとするか」


 セルバスはこの目の前の男の言葉を聞いて、自分が上手く『魔力コントロール』が行えない理由が『妖魔召士』の張っている『結界』の所為なのだと理解するのだった。


(しまった……! 旦那の『死の結界アブソ・マギア・フィールド』程ではないが、こいつらも『魔力』を遮断する『技法』を用いる連中だったか。相手の『魔力量』の多さを理解していながら全く、この俺ともあろう者が不甲斐ねぇ……!)


 『煌聖の教団(こうせいきょうだん)』に居た頃のセルバスであれば、相手が『魔』に精通する存在だと気づいた時点で、もう少し用心深く行動していただろう。


 しかし最近は『ソフィ』や『ヌー』といった実力者と行動を共にしていた事で、何かあっても何とかしてくれるという安心感という毒が体中に蔓延しており、そのせいで油断を招いてしまっていたようである。


 どうやら相手の『妖魔召士』が告げたように、奴の結界が一番の要因なのだろうが、影響付与の『結界』の枠組みの中でもこの状況では一番この類の『結界』が厄介だとセルバスは感じるのであった。


 何故なら魔力が乱れてコントロールが上手く出来ない事によりソフィに『念話(テレパシー)』を行うための魔力の『波長』が合わせられない事や、最後の保険といえる『世界間跳躍』の役割を担う『概念跳躍(アルム・ノーティア)』が行えない事が、何より致命的なのである。


 …………


 『()』というのはその一文字に対して、決して一言で表す事の出来ない数多くの要素が詰め込まれている。


 そしてその『()』を大いに発揮させられるのが、元となる『魔力値』なのである。


 いくら『(ことわり)』や『()』の知識を理解したところで、その『()』を利用するには燃料となる『魔力』を持ち得る事が必須事項となるからである。


 『()』に対する知識という点では、この目の前の『妖魔召士』よりも遥かにセルバスという『大魔王』が上をいっているだろう。


 それを疑うことは確実に出来ない――が、知識では上をいっていても現時点において、この『結界』を張った『妖魔召士』の『魔力量』に抗う事が出来ないのが現状であり、その影響下に入ってしまった以上は、いくら対策を講じる知識を持っていたとしても、どうしようもないのが実状であった。


 …………


 セルバスは『魔』に対して八方塞がりとなった現状を省みて、どうやってこの場から離脱が出来るかを頭の中で模索し始めるのだった。


(この部屋に現れたのが一人だけだったのが不幸中の幸いだが、何故こいつだけがこの場を確認してきたんだ? さっきこの部屋に訪れた時にこいつは微弱な『魔力』に反応したとか抜かしてやがったが、俺達『大魔王』は潜伏する時は必ず『魔力』が体内から漏れだすような無様な真似は晒さない。つまりこいつは俺じゃなく『シグレ』殿の持っている僅かな『魔力』を感知してこの場に現れたという事か? つまり、こいつは『漏出』や『魔力感知』といった俺達の『魔』の類を持っているわけではなく、この世界独自の『魔』の感知類を駆使している事に他ならないんだろう)


 そこまで考えたセルバスは、この『結界』が張られている範囲を部屋の中だけだと絞り、どうにかこの部屋から抜け出す事が『結界』外へと抜け出せるのだろうとアタリをつけるのだった。


 『結界』の外へ出る事が出来れば、セルバスもまた『魔力』を伴うあらゆる『魔法』や『呪文』、それにソフィ達に助けを求められる『念話(テレパシー)』を再び使うようにできるだろうと、あくまでセルバスの希望的観測ではあるが、そう結論付けるのであった。


(だが、こいつの隙をつける方法が思いつかねぇ。それに腕の傷がじくじくと痛むせいで、思考が少しずつ乱されているのも自覚している。このまま時間が過ぎちまえば、今以上にもっとどうにもならなくなっちまうだろう。どうするか……)


 セルバスがそう考えて『妖魔召士』を睨みつけていると、これまで自分を庇って腕を吹っ飛ばされてしまったセルバスの腕を辛そうに見ていた『シグレ』の目が、徐々にどす黒いモノに変わっていくのだった。

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