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最強の魔王が異世界に転移したので冒険者ギルドに所属してみました。  作者: 羽海汐遠
イダラマの同志編

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1565/2232

1548.想定内

 ユウゲ達が『サカダイ』の本部に向かう少し前――。


 その『妖魔退魔師』の本部内では、想像を絶する死闘が繰り広げられていた。


 サクジ達『守旧派』の『妖魔召士』達の『結界』によって、ユウゲ達の居る『サカダイ』の町の中ではそこまで大きな騒音も届いてはいないが、この本部内は凄惨(せいさん)たる状況であった。


 それもその筈、中で戦っていたのは『守旧派』の『妖魔召士』達と、この現在の『サカダイ』の町を任せられている幹部を含めた『妖魔退魔師』達が本気でぶつかっていたからである。


 本部外で行われていた『予備群』や『妖魔退魔師衆』と同『妖魔召士』との戦闘も激しいモノであったが、この本部内での闘争は更に熾烈を極めるものだった。


 しかし『妖魔召士』達が本腰を入れた辺りから形勢は一気に『妖魔召士』達に傾く。


 『妖魔召士』達の放つ主戦力の『式』は、その全てがランク5を下回る事はなく、更に援護を行うようにランク6に到達している『守旧派』の『妖魔召士』達が捉術を用いるため、妖魔討伐を生業とする幹部の『妖魔退魔師』であっても後手後手に回る事となってしまい、一人で対処が行えないところに二人目が入ったりして何とか対応を行ったが、人員を割かされてしまったことで結局は不利を被った挙句、その対処すらもが『サクジ』の狙いだったのであった――。


 …………


「お、押されていた分は巻き返せました! ま、まだやれます! 皆さん、諦めないで下さい!」


 この場の指揮を執っている『特務』の『カヤ』は全身フラフラの状態でありながら、圧倒的に不利な状況から五分五分といえる状況まで押し戻した事を大っぴらに叫ぶ事で、場の士気を一気に高めようと皆の鼓舞(こぶ)するように声をあげた。


 しかし、この死闘が一気に終結に向かう出来事が起きたのは『カヤ』隊士の言葉の直後であった――。


 いつの間にか中央の一箇所に寄せ集められていた『妖魔退魔師』に向けて、サクジが勝負を決める『捉術』の準備を行い始めるのだった。


 しかしサクジのその『捉術』の効力が発揮される直前、たった一人だけサクジの行動を察知して動いたものが居たのだった。


 ――その察知した者の名は『ナギリ』。


「カヤ!」


 彼はサクジともう一人の『妖魔召士』が同時に取り囲まれている自分達に視線を向けて手印を結び始めたのを見て、戦っていた『狗神』の『妖魔』を一刀の元に斬り伏せた直後に『カヤ』の名を叫ぶと、彼は脇目も振らずに『サクジ』達の元に駆け出すのだった。


「えっ、な、何……、はっ――!?」


 そしてカヤも戦っていた目の前の『妖魔』を蹴散らして、突然に自分の名を呼んだ『ナギリ』の方に視線を向けた後に直ぐ彼の駆け出した先に居る者達を見て、直ぐに彼女もまた『ナギリ』の後に続くのだった。


 ――僧全捉術、『空空妨元(くうくうぼうげん)』。


 彼女達以外の『妖魔退魔師』達は、その全員がサクジ達の狙い通りに円で囲むように寄せられてしまっていたために、まともに『空空妨元(くうくうぼうげん)』の影響を受けてしまい、戦いを継続させる事は不可能となって幻覚に包まれてしまっていた。


 間一髪、まさにそれ以外に表す言葉がない程の僅かな秒間で『サクジ』の『空空妨元(くうくうぼうげん)』の『捉術』の影響にかからなかった『カヤ』と『ナギリ』は、勢いそのままに互いに同じ標的を目指して突き進んでいく。


 背後では幻覚に苦しむ仲間達の声が聴こえていたが、彼女達は振り返る事をせずに、今自分達だけが出来る事を正確にやり遂げようと行動するのだった――。


「ほう? あれだけ意識を逸らされて尚、ワシの狙いを『組長格』でもない単なるいち隊士が感じ取るとはな。これまでの報告よりも余程、当代の『妖魔退魔師』達は優秀だったというわけだな」


 サクジは恐るべき速度で迫ってくる『カヤ』と『ナギリ』の二人の『妖魔退魔師』を視界に入れながら感心するようにそう言葉にするのだった。


 そこに『サクジ』に向かって『妖魔退魔師』達が斬ろうと迫ってくる事に対して、彼は怯えや恐怖など一切感じられなかった。


 別に『ナギリ』達が自分の『捉術』を躱すだろうと判断をしていたわけではない――。


 ――単に『サクジ』はこういった不測の事態に対する備えが、常に出来ているだけの事であった。

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