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最強の魔王が異世界に転移したので冒険者ギルドに所属してみました。  作者: 羽海汐遠
イダラマの同志編

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1545.妖魔召士達の襲撃の裏側で

 ライゾウやフウギ達『妖魔召士』達が『旅籠町』を発った後、十分に距離を取りながら改めて『結界』を施して後を付いていく『ユウゲ』達。


 ライゾウ達が『同志』達を『牢』から解放するのと同様に、ユウゲ達も『イツキ』を『牢』から解放して合流を果たすために、この『妖魔召士』の集団を利用しようというのである。


 これから『妖魔召士』達が『サカダイ』の町を襲撃するにあたり、ユウゲ達も当然に命がけの行動を要求される事になるが、この『サカダイ』の町に向かうまでの尾行もまた命がけで行わなければならない。


 『ユウゲ』が張っている『結界』は確かに優秀で、同じ『退魔組』だった『特別退魔士(とくたいま)』達はおろか、あの『妖魔召士』である『ライゾウ』や『フウギ』でさえ、途中からでは探っても『ユウゲ』が何処に消えたか把握出来なくなった程である。


 それ程までに強力な『結界』ではあるが、この場に居る『妖魔召士』の数は多く、その誰もが前時代で『上位妖魔召士』とされていた『守旧派』の『妖魔召士』達である。


 尾行を行う者が『ユウゲ』だけであればまだリスクは少ないが、他にも『ヤエ』や『ミヤジ』も『ユウゲ』と共に居る。


 何かの拍子で『ユウゲ』の『結界』から外れる可能性も無きにしも非ずという状況で行動を起こさねばならず、彼にとっては気が気でないといえるだろう。


 そしてそんな『ユウゲ』達の前に居た『妖魔召士』達もまた、旅籠町から更に『サカダイ』の町近辺に近づいた場所で足を止めたかと思えば、何やら先頭に居た者達が小声で話を始める。


 ――どうやら彼らがこの一派の旗頭で間違いないのだろう。


 『ユウゲ』達の居る場所からは上手く言葉を聴き取れなかったが、彼らの話が終わった直後に一斉に『結界』を施し始めたため、どうやらここからが『襲撃』の範囲に入ったのだとユウゲは悟るのだった。


「ここからは奴らから更に距離を取るぞ。彼らがここまでの密度の『結界』を張り直したという事は、ここから『式』を使役して一気に襲撃行動を取る筈だ」


 目聡く彼らの行動を観察していたユウゲは、静かに同行者の『ヤエ』や『ミヤジ』達にそう告げるのだった。


 …………


 そしてユウゲの思惑通り、少し離れた先に居る『妖魔召士』達は『サカダイ』の町を取り囲むように包囲しながら『式』を使役し始めて、一気に門に向かって駆け出していく。


 当然ユウゲ達も現在の『サカダイ』がどのような町なのかという事は理解している。


 『妖魔退魔師』の本部があるという事もあり、警備が厳重なのは当然の事、その町の造りの在り方までが他の町とは比べ物にならない。


 町の外からの襲撃に備えてこの町は、石垣に囲まれたかつての城のような造りをしていて、その周囲は水の張られた堀があるために『サカダイ』の町に入るためには、掛けられている一本の橋を渡らなければならないのである。


 つまり空を自由に飛べる『妖魔』以外の襲撃には、この時点から難しい設計となっており、更に橋を進んだ先の町にあがる為に作られた階段は歩幅がそれぞれ異なり、非常に登りずらくなっている。


 そしてそこを抜けるとようやく『サカダイ』の町の名物の櫓門が見えてくるのだが、当然こちらも襲撃に備えての造りがされており、門は簡単には壊せない程に厳重に作られている。


 現在は『妖魔退魔師』の最高幹部達が町を離れているために、平時の時のように門は開放されてはおらず、入るには中に居る『予備群』に知らせなければならないが、すでに『ヒュウガ一派』達が襲撃に来るかもしれないという予想が『妖魔退魔師』達の間で立てられているため、赤い狩衣を着た『妖魔召士』がこれだけの数現れている以上、すんなりと門が開く事はないだろう。


 当然『妖魔召士』達もいちいち挨拶よろしく『予備群』達に知らせる筈もなく、この『サカダイ』の町の『一の門』に辿り着いた『ライゾウ』達は、門を壊して中に入る為に行動を開始するのであった――。


 …………


「何の躊躇もなしか……! やはり本気になった『妖魔召士』様がたの集団とは斯くも恐ろしいモノだ」


 『結界』の内側で成り行きを見守っていた『ユウゲ』が静かにそう告げると、ミヤジだけではなくヤエまでもが神妙に頷くのであった。


「それで、ここからどうする? こんなに堂々と派手に暴れ始められたんじゃ、サカダイの町の警備担当の『予備群』共だけじゃなく、妖魔退魔師衆の連中も多く集まってきて、このままだとやべぇと思うんだけど……?」


 襲撃にきた『妖魔召士』達に『妖魔退魔師』の目が向いている今ならば、こっそりと『妖魔退魔師』の本部に入る事は可能であると推測も出来るが、当然そこから先は『妖魔召士』に頼るのではなく自分達で行動をせねばならなくなるだろう。


 ――しかし中で見つかりでもしたら、彼らだけではどう足掻いても『イツキ』を助けられない。


 だからといって『妖魔召士』達が確実に『妖魔退魔師』を倒せるとも限らず、手を拱いて待っていればそれこそ取り返しのつかない事になるだろう。


 時間が経てば経つほどに選択肢は絞られていく現状で、ここまで見つからずにこれた『ユウゲ』の『結界』を信頼した上で、ここからどうするのかとミヤジはユウゲに尋ねるのだった。

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