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最強の魔王が異世界に転移したので冒険者ギルドに所属してみました。  作者: 羽海汐遠
イダラマの同志編

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1543.潜伏と殺気

「むっ、ミヤジ殿。やはり『ライゾウ』様と『フウギ』様は『同志』の『妖魔召士』の方々を連れて戻ってきたようだ」


「何! ど、何処ですか、ユウゲ殿!?」


 『サカダイ』の町からそこまで遠く離れていない『旅籠町』でユウゲ達は『妖魔召士』達が戻って来るだろうとアタリをつけて逗留を続けていたが、その狙い通りに多くの『妖魔召士』達が、自分達の居る『旅籠』の近くに現れた事で慌てて行動を共にするミヤジに声を掛けたのであった。


 ユウゲが指を差す方向に目を凝らし始めると、ようやくミヤジにもこちらに近づいてくる『赤い狩衣』の集団が見えたようで神妙に頷くのであった。


(しかし思った以上に多いな……! あの人数の規模だと単なる一派で収まる範疇じゃなく、それこそ『上』の方々の大半が結集したようなものじゃないか? ヒュウガ様の息のかかった者達の多くは『牢』に閉じ込められている筈だが、本当に『ライゾウ』様達はどうやってあれ程の『同志』を集められたのだろうか?)


 『退魔組』の中では『特別退魔士(とくたいま)』という位の高い役についていた『ユウゲ』だが、その母体である『妖魔召士』組織の中でいうならば、単なるいち退魔士でしかない彼では、組織の派閥にそこまで詳しいわけではなかったため、この場に向かってきている『妖魔召士』達が『ヒュウガ』一派なのかどうかすら分かっていない様子であった。


 そんな『妖魔召士』組織の『上』の情報に乏しいユウゲではあるが、それでも現在の『里』に居る当代の『妖魔召士』達の規模はそれなりに把握していたため、この場に居る『妖魔召士』の数を訝しく思ったようである。


「ユウゲ様、あの『妖魔召士』の方々が『旅籠』に来たという事は我々と同様に数日は逗留を行うつもりなのでしょう。いつものように存在を稀薄にする『結界』はお使いになられないのですか?」


 彼の護衛を務めるヤエは、ユウゲを想い『結界』を使わないのかと訊ねるのであった。


「ああ……。いや、流石にもう今からでは遅いな。この場で『結界』を張れば逆に怪しまれる事だろう。ここは下手な真似をせずに堂々としている方がいいだろうな」


「そうですか……」


「ヤエ、お主も刀に手をやるな。本当に少しだけだが、お主から殺気が漏れ出ている。まだこちらに気づいては居ないだろうが、あの方々は『妖魔召士』だ。この『旅籠』に一歩でも足を踏み入れた後では、お主のその微弱の気配からでも探られてしまうだろうからな」


「! こ、これは申し訳ありません!」


(う、嘘でしょう? 私が今更こんな半人前のようなミスを犯すなんて……!)


 『退魔組』の『特別退魔士(とくたいま)』である『ユウゲ』の護衛ともなれば『予備群』には届かないまでも、それなりに一流と呼べる程の剣客である。


 そんな彼女程の力量であれば殺気を隠す事も可能である筈だというのに、あの『ヒイラギ』達をあっさりと殺めた『妖魔召士』達が近くに居るという事に対する緊張からなのか、普段通りに隠す事が出来なかったようである。


「案ずるな。彼らの狙いはあくまで『サカダイ』の『妖魔退魔師』達の本部だろう。ここで下手な真似をせずに大人しくしていれば何も問題はあるまいて」


 ――『ライゾウ』や『フウギ』達が『ヒイラギ』達に手を出してからは、もうかなりの日数が経っている。


 彼らとて残っている『特別退魔士(とくたいま)』が今も尚、この辺に潜伏しているとは思わないだろう。


 先程のヤエのような明確な『殺気』を彼らに向けたりでもしなければ、少しばかり『ユウゲ』の『魔力』に気づいたところで『退魔士』のなり損なった者という程度の認識しか向けられず、他に目的がある今は見逃される筈であると考える。


 そして彼ら『妖魔召士』達が何時までここに逗留をするかは分からないが、ユウゲ達が『結界』を張るのは『妖魔召士』達がこの『旅籠』を発った後でもいいだろうと結論を出すユウゲであった。

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