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最強の魔王が異世界に転移したので冒険者ギルドに所属してみました。  作者: 羽海汐遠
イダラマの同志編

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1537.群集心理の働いた結果

「あぐっ!!」


 鬼人の『瑠慈(るじ)』の振り下ろした拳をまともに受けた『タツミ』は、そのまま壁に激突して意識を失ってしまうのであった。


 天色の『青』のオーラを纏った『タツミ』が一撃でやられた事で、後に続こうと動いていた『妖魔退魔師衆』達は愕然としてその場で足を止めてしまっていた。


「た、タツミさんが……!」


「く、くそ!!」


 二人の妖魔退魔師衆は互いに頷き合うと、そのまま『瑠慈』に向けて攻撃態勢に入ろうとしたが、いつの間にかそんな彼らの背後に『天狗』の『江王門(えおうもん)』が立っており、再び『呪詛』を放つとその場で『妖魔退魔師衆』達の動きが止められてしまうのだった。


「まだまだだな」


 『江王門』がそう言葉にした次の瞬間、二人の『妖魔退魔師衆』達は白目を剥いてそのまま倒れてしまうのであった。


「『耐魔力』の乏しいお主ら人間など、ワシら『天狗』の相手にもならぬ」


 ランク『7』に限りなく近い『天狗』の『江王門』の『呪詛』によって、あっさりと『妖魔退魔師衆』達は敗れてしまうのであった。


 そして続々と『サクジ』達の居るこの場に、入り口で別れた『同志』達が集まってくる。


 『妖魔召士』の『同志』達の周囲にはそれぞれ異なった高ランクの『妖魔』達の姿もあり、どうやらこの場以外で行われていた戦闘も終わり、この場に集まってきたという事だろう。


 流石に最高戦力を除いた町の護衛を行う『予備群』や『妖魔退魔師衆』達では、前時代でも『上位妖魔召士』として活動を行っていた『守旧派』の『妖魔召士』達の相手は難しかったようである。


 この場に居る『妖魔召士』の人間達や『式』は、その全員が最低でもランク『6』を上回っている。


 その上で当代の『妖魔召士』とは違い、各々が『式』や『同志』達と意思の疎通や連携を取る以上、本部付けの『妖魔退魔師』組織の戦力達であっても一筋縄ではいかなかった。


「さて、それではここからが本番だ。さっさと『同志』達を救い出して、この町から離れるとしようぞ!」


「「応!!」」


 この場の旗頭を担う『サクジ』の言葉に『同志』の『妖魔召士』達は声を揃えるのであった。


 そして一斉に『サカダイ』の『妖魔退魔師』組織の『本部』へと足を踏み入れて行くのであった――。


 …………


 サクジ達が『タツミ』達と戦い終えた頃、ようやく『カヤ』達は幹部や『特務』達の編成を終えて、これから襲撃犯の対応に向かおうとするが――。


「ぐぁっ……!!」


 しかしそれよりも先に襲撃犯である『サクジ』と『同志』達が大勢の『妖魔』を引き連れて、この『妖魔退魔師』本部に姿を現すのであった。


「も、もうこんなところにまで!?」


 入り口を守っていた数人の警備を担っている者も、外の警備より遥かに戦力値の高い『妖魔退魔師』ではあったのだが、それでもこの質の伴った『数の暴力』を相手にはどうすることも出来なかったようで、あっさりと『妖魔退魔師』本部内へと侵入されていたのであった。


 最高幹部達の抜けた『本部』を預かった『特務』の『カヤ』や他の組員に隊士達も、この『妖魔召士』達の襲撃を侮っていたわけではない。


 だからこそ、撃退出来るであろうと判断出来る程の編成に時間を掛けていたのである。


 ――だが、何処かでこの一派の首謀者である『ヒュウガ』を捕らえている事で、その一派を単なる残党でしかないと下に見ていたのかもしれなかった。


 ――『一派の首謀者』であった『最上位妖魔召士』とされる『ヒュウガ』。


 ――『王連(おうれん)』を『式』にしていた『ジンゼン』。


 ――『黄雀(こうじゃく)』を『式』にしていた『キクゾウ』。


 これだけの一派の幹部達を無力化出来たのには、決してこの場に居る者達だけの功績というわけではない。


 『妖魔退魔師』組織の『副総長』に、最高幹部や大魔王『ヌー』達といった者達が動いたからに他ならないが、それでも同じ『組織』に属する者達は、こうして自分達の居る『本部』内で、実際にヒュウガ達を『牢』に繋ぐところを見た事で、どこか『脅威を取り除く事が出来た一端を担っている』と無意識に思い込んでしまったようだ。


 何を勘違いしているんだと思う者も居るかもしれないが、これは人間の持つ群集心理の枠内にあるモノを突いたもので、同一の方向を見ている集団心理観点から省みると、たとえ自分でなく集団の中に居る誰かが手にしたモノ、或いは手にするであろうという感覚を自覚し、共有する事によって何もしていない者でもした気持ちになって感覚を得るものなのである。


 彼ら『妖魔退魔師』組織に属する者達は、全員が同じ『正義』を抱き『シゲン』の元に集まってきている。


 つまりこの群集心理の影響を受けやすい性質を持っている者達が、同一に共有している感覚を伝播させあってしまっているせいで、捕縛した『ヒュウガ』や、ランク『8』に匹敵する妖魔達を『式』にしている強い『妖魔召士』達を撃退した今は、後に残っている『妖魔召士』達も侮れない強さを持っているだろうが、この『ヒュウガ』達よりも強いという事はないという霞がかった妄信を勝手に確信してしまった結果が、この有様である。


 ――そしてこの『妖魔退魔師』達の対処の遅れによって『妖魔召士』達は、立ち回りに関して完全に優位に立つ事となるのであった。

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