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最強の魔王が異世界に転移したので冒険者ギルドに所属してみました。  作者: 羽海汐遠
イダラマの同志編

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1532.襲撃者の対応に出る特務のタツミ

 この『サカダイ』の町に現れた『妖魔召士』達は、流石にあの『妖魔山』へ乗り込もうとしていただけはあり、万全の状態を喫している様子であり、先に戦闘を終わらせて意気揚々と『本部』へと歩を進める『サクジ』達だけではなく、至る所で『予備群』や『妖魔退魔師衆』と戦闘を行っていた『同志』の『妖魔召士』達もあっさりと『妖魔退魔師』組織の者達を蹴散らして同様に『本部』へと向かっていた。


 ランク『4』から『4.5』の領域に到達している本部付けの『予備群』や、ランク『5』に足を突っ込んでいる『妖魔退魔師衆』も居たのだが、流石に『同志』や『式』の『妖魔』と連携を取りながら自らもランク『5』以上はある『守旧派』の『妖魔召士』達が相手では分が悪すぎた。


 ――この者達は前時代の『妖魔召士』組織の中枢を担っていた者達なのである。


 流石に前時代の『妖魔召士』組織の者達をこれだけ相手にするのであれば『妖魔退魔師』組織側も『予備群』や『妖魔退魔師衆』達だけではなく、主力の幹部達の力も必要といえるだろう。


 そしてその戦力といえる『妖魔退魔師』の者達も準備を終えて、この襲撃の首謀者である『サクジ』達の元に遂に現れ始めるのだった――。


「そこで止まれ! お前達は一体自分達が何をしているのか、その理解は出来ているのか?」


 そう告げたのは『妖魔退魔師』組織の『特別専門部署(とくむ)』に所属する『タツミ』であった。 


 彼女は『特務』の上役である『カヤ』の命令で、同じ『特務』の隊士と数多くの本部付けの『妖魔退魔師衆』を連れて本部前で動きを止めにこの場に現れたようである。


「何だお前は?」


 もう本部の建物の目と鼻の先というところで、ゾロゾロと『妖魔退魔師』を従えて現れた女性を訝し気に睨みつけるサクジであった。


「私は『特務専門部署』所属の隊士『タツミ』と申す者! 貴方がたのその狩衣を見るに『妖魔召士』とお見受けするが、まさかゲンロク殿の差し金というわけではないのでしょう? つまりはヒュウガ殿の一派で間違いないでしょうか!」


(ほう……? こいつらが当代の副総長『ミスズ』とやらが新たに作った『特務』という部署か。当然ワシらの時代には存在しなかった連中だが、間諜達の報告では『妖魔退魔師』組織の最高幹部の一つ下である『副組長格』に匹敵するという話だったな。となればランク『6』から下という事はあるまい? 話の通りでは侮れぬが、さてどう攻めるか)


 サクジはタツミの言葉を完全に無視して、どう蹴散らすかを考え始めるのであった。


「だんまりですか……。どうやら図星のようですね。こちらの事情を知って今が攻め時だと考えられたのでしょうが、あまり我々『妖魔退魔師』を舐めないで頂きたい!!」


 タツミはそう告げると、得の刀に『天色』のオーラを纏わせ始めるのであった。


 そして彼女が戦闘態勢に入ったのを見た他の『妖魔退魔師衆』や『特務』の隊士達も同様に『青』の創成付与を行い始めていく。


 しかしサクジを含めた他の『妖魔召士』達は警戒こそしているのだが、皆一様に動こうとはしなかった。


 『妖魔退魔師』側の面々は気づいては居ないが、既にこの場に居る『妖魔召士』全員が『魔力』の『スタック』をし終えていて、戦闘になった瞬間に各々は『捉術』や『魔力圧』を用いて対処を行える状況且つ『式』の展開も直ぐに行える状態であり、それを踏まえた上で彼らはサクジの指示を待っている状況であった。


 そして『タツミ』はゆっくりとサクジに対して半身になり、得の刀に指をあてて息を吐くと同時に、刀を鞘から抜いて思いきり真横に振り切る――。


 三日月の衝撃波が前方に居るサクジに恐るべき速度で迫っていくが、サクジはそれを見ても無表情のまま動かない。


 しかし『タツミ』はサクジの無防備な態勢を見ても何も驚きもせず、そのまま抜いた刀をクルリと逆手に持つとそのまま自分の衝撃波を追うように前方へと駆け出し始める。


「むっ――!?」


 そこでようやくサクジはタツミの行動に反応を見せると、自身に向かってきている衝撃波を先に『スタック』させていた『魔力』を用いて、そのタツミの衝撃波に合わせるように『魔力波』で掻き消すと同時、斜め後ろへと一気に距離を取り始める。


 そして入れ替わるようにサクジの背後に立っていた『土蜘蛛』が前方へと駆け出すと、準備動作すらなくいきなり口から糸を吐き出す。


「!?」


 タツミもまたそれを見て行動を変えると、後方宙返りを行って元の場所へと戻って行く。


 しかしそれを見た『サクジ』は視線を周囲の『同志』達に向けると、自らも同時に高速で手印を結び始める。


 『同志』達は『サクジ』から合図を受け取ると、直ぐ様こちらも用意していた『スタック』を四人一斉に同時に開放する。 


 その狙いの先はまだ地上に足をつける事が出来ずに空中を舞っている『タツミ』である――。


 だが、今度は『タツミ』を守るために『妖魔退魔師衆』達も一斉に『天色』を纏わせた得の刀を振り切って、タツミの初撃に出したモノと同様となる衝撃波を一斉に送り『妖魔召士』達の『魔力』を伴った『魔力圧』に対応を行って打ち消そうとする。


 そしてそのまま互いの衝撃波と魔力圧がぶつかり音を立てると同時に消えるが、すでに『妖魔退魔師衆』達は驚くこともせずに刀を振りかぶったり『後の先』を狙うように『抜刀の構え』を取る者がいたりと、各々が戦闘態勢に入り始める。


 こうしてサクジ達『妖魔召士』と、タツミ達『妖魔退魔師』の殺し合いは、少ない会話の後に勃発するのであった――。

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