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最強の魔王が異世界に転移したので冒険者ギルドに所属してみました。  作者: 羽海汐遠
イダラマの同志編

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1545/2236

1528.ついに始まる、サカダイ襲撃

「来たぞ! 報告通り、どうやら『妖魔召士』達で間違いない!」


 次々と『予備群』が『一の門』の櫓の上に集まって来たかと思えば、一斉に門の上から抜刀して飛び降りてくる。


 これだけの『妖魔召士』達が一斉に『式』の『妖魔』を出している以上、襲撃以外の何物でもないと判断したのだろう。


 ――この『妖魔退魔師』の本部がある『サカダイ』の町では、コウゾウの居たような『旅籠町』での『妖魔召士』との言葉のやり取りなど挟むことはない。


 『妖魔召士』であろうが何であろうが、あれだけの『式』の『妖魔』を出現させて、この町へ強引に入ろうとしているところをみれば『敵対行為』と断定する事は彼らにとって当然の事である。


 町を守る為に、そして脅威を払うために抜刀するのは必然のことであるといえた――。


「ちっ! 小童(こわっぱ)どもが群を成しおって! 上空から死角を突くように飛び掛かられては面倒だ『白狼』、思いきりお前の力をぶつけて『門』を壊してしまえ!」


「ガルルルッ!」


 『白狼』と呼ばれた『サクジ』の契約している『式』の『狗神』は、門の上から次々飛び降りてくる『予備群』達を無視して、その奥の大元の『一の門』を目掛けて思いきり助走をつけながら体当たりをするのであった。


 ミシッ! という音と共に門にひずみが出来たかと思えば、その『白狼』の背後から次々と『狗神』の群れが続々とサクジの『式』と同様に『門』にぶつかっていき、どんどんと『門』のひずみが大きくなった瞬間に、トドメとばかりに『幽鬼』の集団がその大きな図体を捻るように、拳を思いきり振りかぶったかと思うと、一気に門を目掛けて振り切ってみせる。


「ちっ! お前達、止めろ!」


「仕方あるまい!」


「応!」


 先程門から飛び降りて町の外側へと降りてきた『予備群』達は、当初は『妖魔召士』を狙おうとしていたが、門が破られると判断するや否や、踵を返して再び飛び降りた門の方へと駆け寄って、狗神や幽鬼達に斬りかかっていくのだった。


 しかし恐るべき速度で駆け寄る『予備群』達より『幽鬼』の振り下ろす拳の方が少しだけ早かった。


 すでに『狗神』達の体当たりによって門は大きくひしゃげていた門は『幽鬼』の拳に耐えられる筈もなく、そのまま一気に門は壊されてしまうのだった。


「土蜘蛛! 今だ、やれ!」


 多くの『予備群』達が門を壊そうとしていた『幽鬼』を止めようと駆けて行ったのを狙っていた『サクジ』は『土蜘蛛』と呼ばれる『妖魔』に指示を出すと『土蜘蛛』は『予備群』達に向けて糸を放つのであった――。


「「ぬぁっ!?」」


「し、しまった! た、謀られた!」


 『幽鬼』達がぼんっという音と共に式札に戻されるが、その『幽鬼』達を斬り伏せた『予備群』達は、その全員が一箇所に集められたせいで『土蜘蛛』の糸によって動きを止められてしまう。


「門は開いた! 皆の衆、一気に奴らの本丸へ急ぐのだ! 最初に告げた通り、町の者には手を出すなよ!」


「「応!!」」


 そして『土蜘蛛』の糸によって動きを封じられてしまった『予備群』達の横を次々と赤い狩衣を着た『妖魔召士』達が駆け抜けて行く。


「ふふっ『土蜘蛛』、そやつらはお前の好きにしていいぞ?」


 『サカダイ』の町の外に残り『結界』を張る者達以外の『同志』達が全員町の中へと入ったのを確認した後、何とか糸を外そうと齷齪していた『予備群』達にサクジが笑みを見せたかと思うとそう告げる。


 次の瞬間――。


 『土蜘蛛』の身体が肥大化し始めたかと思うと、口を大きく開いて動けない『予備群』達に近づいていく。


「ひっ! や、やめ……!!」


「ふはははっ! 『土蜘蛛』、お前の手柄だ。存分に味わうといい」


「あ、ああっ……!!」


 『土蜘蛛』はその言葉に『予備群』達を捕食し、そして次々と手や足、更には頭とその場に居る『予備群』達を食いちぎって咀嚼を始めて行く。


 サクジは門の前に居た『予備群』全員が『土蜘蛛』に呑み込まれる最後の瞬間まで見届けた後、満面の笑みを浮かべながら『土蜘蛛』を式札に戻して口を開いた。


「さて、それではワシも『同志』を救出しにいくとするか。奴らにワシらの『妖魔召士』の恐ろしさを思い出させなければならぬ」


 そう言ってサクジは、ゆっくりと『門』を抜けて『サカダイ』の町へと入り込んでいく。


 ――どうやら『一の門』で『予備群』達を相手に一戦交えた事で『旅籠町』で臆病風に吹かれていたサクジは、本来の『上位妖魔召士』としての自信を取り戻す事に成功したようであった。

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