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最強の魔王が異世界に転移したので冒険者ギルドに所属してみました。  作者: 羽海汐遠
イダラマの同志編

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1526.妖魔召士組織の改革派の歴史

 このサクジやコウエンからして『守旧派』の『妖魔召士』ではあるが、この場に居る『妖魔召士』達も全員が前時代の『妖魔召士』組織に在籍していた『保守本流』の『妖魔召士』達である。


 彼らを束ねていた前時代の長であった『シギン』は『ゲンロク』達と共に『妖魔山』の『禁止区域』から帰ってきた後に姿を消してしまった。


 この出来事によって当時は『妖魔召士』組織の本拠地であった『ケイノト』だけではなく、この『ノックス』の世界の代表的な町々である『コウヒョウ』や『サカダイ』なども大混乱に包まれる程であった。


 しかし当時の混乱や騒ぎを治めたのは『シギン』の側近と呼ばれた『サイヨウ』『イッテツ』『コウエン』『ノマザル』の四天王と呼ばれた『妖魔召士』達であった。


 この四天王全員が『シギン』に次ぐ程の『魔力』を有しており、その中でも『サイヨウ』は更に群を抜いていた。


 サイヨウはシギンが居なくなった後、直ぐに他の四天王達を集めて指示を出し、他の四天王達も直ぐにその指示を元にあらゆる町々に仲間達を派遣して、必死に平和維持を努めてみせたのである。


 そしてその時の『サイヨウ』の采配で動き、現場で活躍したのがこの場に居る『妖魔召士』達であり、サクジ達でもある。


 もちろんこの場に居る彼らは『サイヨウ』を含めた四天王に比べると、実力的には劣るところはあるが、それでもこの『妖魔召士』達は、全員が現在の『最上位妖魔召士』クラスの『魔力』を有しており、誰もが『禁術』や『外法』などを用いる事もなく、正式な順序を踏んで『妖魔』を『式』にしたり、懸命に努力を重ねて『魔力』を磨き『捉術』を会得している者達だ。


 互いが互いの強さと励んでいる研鑽を認めた上で力を合わせていた為、その絆は今の時代の『妖魔召士』組織とは比べ物にならない。


 そしてそれは同じ『妖魔召士』達だけではなく、今では袂を分かつ事となった護衛の『妖魔退魔師』達や『式』にしていた『妖魔』に対しても結びつきは相当なモノであった。 


 今の時代ではほとんど考えられない事であるが、この時代の『式』の妖魔達は、契約主の『妖魔召士』の人間を守る為に怪我を厭わずに守ろうとする程であり、その『妖魔』の中には、契約主の人間の為に死んでも構わないとばかりに身代わりをする程に結びつきが強い者達も居た程なのである。


 そんな前時代の組織を生き抜いてきた『守旧派』の『妖魔召士』達は、やはり今の時代の『妖魔召士』達に対しては並々ならぬ思いを抱いていた。


 このサクジ達のような今の『守旧派』を生み出した『シギン』の教えとは『サイヨウ』と同様に『邪』に染まった『妖魔』を更生させる目的で自らの『式』として選び、そして次の世では『聖』の存在へと転生させたり、その『邪』に染まった『妖魔』から人間達を守る為に『妖魔召士』は存在しているという教えであった。


 確かにこれこそが昔から受け継がれてきた『妖魔召士』の志であり心得ではあるが、誰もが自分の気持ちを正当化して、本当の自分と呼べるモノや感情を心の奥底に封じ込め続けられるわけではない。


 シギン達のような『妖魔召士』の思想を長い歴史を辿って受け継ぎ、志を引き継いでいる者達こそは『保守本流』であり『守旧派』と呼ばれていると前述したが、今回の『ヒュウガ』達や『ゲンロク』達のような『改革派』と呼ばれる思想を持つ『妖魔召士』達もまた過去の歴史上には同様に存在していた。


 そしてその『改革派』にも種類があり、ゲンロク達の生きた時代のように『妖魔』に対抗する『妖魔召士』達の数が減ってしまい、仕方なく『禁術』を使って生き残る事を優先し、自分達のように『妖魔』と戦えるように、戦士となる『退魔組』を作り出さざるを得なくなった者達の事も『改革派』とは呼んでいる。


 しかし古き時代から『改革派』と呼ばれている者達もまた、ゲンロクと同様に仕方なく『禁術』を用いざるを得なくなった者達の事を指すが、その在り様は前述したようにまた様相が違う。


 『改革派』と呼ばれる者達とて、最初から『改革派』と呼ばれたくて『妖魔召士』になったわけではない。


 ――『妖魔召士』は同じ人間達の為に力を尽くす。


 守られる側の人間からすれば『妖魔』が襲撃してきた以上は、力があるものが対応するのが当然だと考えている。


 確かにその考えは間違ってはいないし、その為に『妖魔召士』達は存在しているといえるであろう。


 ――だが勘違いをしてはいけないが『妖魔召士』とて、守られる側の者達と同じ『人間』なのである。


 人間として生きている以上は、まるで便利な道具のように扱われる事に、不満やストレスを感じる事は決しておかしいことではないし、ましてや常に死と隣り合わせでいつもギリギリで生きているのである。


 その中で取り返しのつかない怪我を負ってでも彼ら『妖魔召士』は、何とか力の弱い者達を守ろうと奮闘している。


 感謝を求めているわけではないが、それでも素直に喜んでくれていれば、少しは彼らも報われる事だろう。


 だが、現実はそんな守るべき人間達の中には、彼ら『妖魔召士』に対して『守る事が当然』だと、それが『お前達の仕事だろう』と考えるだけではなく、実際に目の前にして口にする人間達も昔から存在するのであった。


 そんな連中は『妖魔』が攻めて来た時に『もっと早く対処を行わないから子供達が怖い思いをしたのだ』とか『屋敷に傷が出来てしまったのはお前達が不甲斐ないからだ』など心ない言葉を口にして、守ってくれた『妖魔召士』達にぶつけ続けてきた。


 ――先程も述べたが『妖魔召士』とて、一人の人間である。


 ぶつけられた不満を上手く自分の中で消化して、気にせずに行動を続けられる者も居るだろうが、出来ない者はずっと心に抱え続ける事となる。


 そうして同じ不満というモノを投げかけてきた者と同様に、ぶつけられた彼らも自分の中に生み出してしまう事になるのだが、その不満を守るべき人間達にぶつけるわけにもいかず、その不満の向ける矛先を『妖魔召士』達は、更生させる為の『妖魔』へと向けてしまうのであった。


 決して褒められるべき事ではないが、これ以上守るべき人間達に悪意ある言葉を投げかけられずに済み、そして自分達が安全に『妖魔』から身を守る為に、どうすればいいかと彼ら『妖魔召士』達は独自に考えて編み出した結果。


 それこそが、現代の『妖魔召士』達が『禁術』としている物であり、多くの『妖魔』に望まぬ契約を結ばせて苦しめる『術式』であり、それらを用いて自分達の安全を確立させながら、守るべき者達から称賛を受ける事となり、抱えた悩みを独自に解決して『妖魔召士』のあるべき姿を一新させて者達こそが――。


 ――『改革派』という言葉を『妖魔召士』の中に定着させた最初の者達である。

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