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最強の魔王が異世界に転移したので冒険者ギルドに所属してみました。  作者: 羽海汐遠
イダラマの同志編

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1524.サクジの下した決断

(こやつの言う通りに『妖魔退魔師』達の動向を探るべきか? しかし相手は『妖魔退魔師』組織の最高幹部達だけではなく『シゲン』殿や『ミスズ』殿だ。下手をすれば『間諜』の存在から我々の事も明るみになるだろう。そうなれば『同志』を救出するどころか、我々全員も捕縛されかねぬ。クソッ、やはり『妖狐』の元に我々も向かうべきだったか! いや、そもそもこうなる前に『イダラマ』の言う通りに『妖魔山』へ向かえばよかったではないか! 『妖魔召士』組織を再び我々『保守本流』に戻す為に、少し欲を掻きすぎたか! 『同志』達と気持ちを一つにする為に『妖魔退魔師』組織の襲撃を優先させた以上、もはやもう後には退けぬが、この場に『コウエン』殿が居ない以上、このまま『妖魔退魔師』の本部を襲撃するのは相当なリスクだ。だが『シゲン』殿達の居場所を探る事も同じくらいのリスクである事は間違いない! こ、困った事になった……!)


「サクジ殿、ここまで来てなんなのですが、やはりここは『コウヒョウ』の町へと引き返しませんか? まだ今であれば少し計画に遅れが生じるくらいで何も失うわけでもないですし……」


 報告にきた男は『サクジ』が堂々と行えと口にしていれば、そのまま言われた通りに動こうと考えていたが、どうやら『サクジ』は相当に悩んでいると判断してそう口にするのだった。


「そ、そうかもし……」


「馬鹿を申すな! お主、先程『サクジ』殿が言っていた事を忘れたか! そうでなくとも我らが『妖魔召士』組織を『保守本流』に戻そうと、一世一代の賭けを行おうと考えてここまできたのだ! ここで『同志』達を救出する事で我らの士気は更に上がる事は間違いない! 我らが野望を成し遂げる為にもここは退く選択肢を選ぶ場面ではないわ! そうでしょう、サクジ殿!!」


 悩んでいたサクジが『そうかもしれない』と口にしようとした瞬間、この場に報告に来たもう一人の男が『サクジ』の言葉を遮るように大きな声でそう口にするのだった。


「う……! そ、その通りだ! し、しかし奴らの居場所を今から探る為に『式』を出す時間も惜しい。こ、このままもう少し待って『コウエン』殿が姿を見せなければ、我々だけで『サカダイ』へと向かう事にしよう。決行は、こ、今夜だ!」


「おお! 流石は『サクジ』殿だ! 確かにこれ以上時間をかければ、失敗をする可能性も高まるというもの! いやはや『サクジ』殿についてきてよかったですぞ! お主も聞いたな? 最後に『間諜』共を使って念入りに『サカダイ』の町を探らせようぞ!」


「応! それではサクジ殿、我らは早速『同志』達にも伝えてきますので、今しばらくお待ち願いたい!」


「わ、分かった。お前達、よろしく頼むぞ!」


 報告にきた男達はサクジに頷くと、勇ましい表情を浮かべて部屋を出て行くのであった。


 一人『旅籠町』の自分の部屋に残されたサクジは、扉を締めるとそのまま布団の上に腰を下ろして頭を抱え始める。


「も、もう後には引けぬ! コウエン殿が戻って来なければ、わ、我々だけで『妖魔退魔師』組織を襲撃する事になるのか。な、何故コウエン殿は戻って来ぬのだ!? い、いや……! 落ち着け! だ、大丈夫だ! ここには多くの『守旧派』の『同志』が集まっておるのだ! あ、あのシゲン殿やミスズ殿。それに『組長格』を含めた最高幹部達が居ない今であれば、問題はない。か、必ず上手く行くはずだ! そ、そうだ! これは、当初の予定通りではないか!」


 そう言って無理やり自らを納得させると、枕元に用意してあった水を手に取って、そのまま強引に飲み干す『サクジ』であった。


 ――もし、この時に『サクジ』が引き返す決断をしていれば、また違った未来が用意される事となったであろう。


 しかし現実は非情とよべるものであり、この時の彼が下した決断によって『サクジ』とその彼の『同志』達は、捕らわれている『同志』を救出するために、あの『最強の大魔王』が用意した罠が待ち受ける『妖魔退魔師』の本部へと向かう事となってしまう事となった。

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