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最強の魔王が異世界に転移したので冒険者ギルドに所属してみました。  作者: 羽海汐遠
イダラマの同志編

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1522.一度進めば、二度と退けぬ者達

 ソフィ達が『ゲンロク』の里へと『高等移動呪文(アポイント)』で移動を行った頃、既にサクジ達は『サカダイ』の町近くの『旅籠町』に到着していた。


 このサクジ達は前時代の『妖魔召士』組織に所属していた『守旧派』の者達であり、同じ『はぐれ』となった『妖魔召士』の『イダラマ』からの招集で共に『妖魔山』へと向かおうとしていたが、決行直前となった矢先に、イダラマとは別の違う『同志』達が『妖魔退魔師』組織の者達に『同志』を助けて欲しいと『コウヒョウ』の町に居る彼らの元に訪ねてきた為、サクジは『妖魔山』より先にこの『同志』を『妖魔退魔師』達の元から救い出そうと提案したのであった。


 しかしそのサクジの提案をイダラマが断った為、彼らはイダラマと共に『妖魔山』へ向かうという話を反故にして『イダラマ』と決別を果たして『守旧派』の者達だけで『サカダイ』へと歩を進めてきたのであった。


 そして『コウエン』という前時代の『妖魔召士』組織で五指に入る程の実力者もこのサクジ達と共に向かう筈であったが、そのコウエンは現在、突如として町に現れた『妖狐』を相手にする為に『コウヒョウ』の町に残った事で彼らとは別行動となっている。


「よいか? コウエン殿が戻って来るまでには『妖魔退魔師』の総長、副総長、それに組長達の居場所を突き止めておき、その上で被害が最小限ですむように放っている間諜共を使って経路を確保し、救出後の退路までの構築を済ませて報告させるのだ」


「しかしよいのですか、サクジ殿。奴ら『妖魔退魔師』達も決して馬鹿ではない。当然、我々はそれぞれが自分達の間諜を持ち合わせているが、いきなりその者達を派手に動かすと、その貴重な者達の大半が今後は機能を持たせられなくなり、先を見据えると相当不利益をもたらして制限を余儀なくされると思われるが……」


 サクジに意見を口にした『同志』の妖魔召士は、今回は上手くいったとしても次からは『サカダイ』では活用出来なくなるだろうと懸念を口にするのだった。


 彼らは前時代ではその存在感を示した『守旧派』の『妖魔召士』達ではあるが、現在では大きな後ろ盾がない『はぐれ』の『妖魔召士』でしかないのだ。


 個々が『上位妖魔召士』乃至は『最上位妖魔召士』クラスでの強さはあるが、それでも『妖魔退魔師』の母体そのものを敵に回す以上は、そんな彼らであっても個人互助の世界で『組織』を敵に回す事は相当なリスクを覚悟しなければならない。


 そうではなくても今の『妖魔退魔師』組織は、彼らが現役で『妖魔召士』組織で活動をしていた頃に比べると、この『ノックス』の世界での影響力はその比ではなくなっているのである。


 全国に護衛の『予備群』を派遣し、更には『妖魔退魔師』側の間諜の質も前時代とは雲泥の差といえる程に跳ねあがっている状況である。


 拮抗する程とまでは言わぬまでも、一度大袈裟に動かした間諜を見過ごすような真似はしないだろう。


 そんな中で大事な足場の一つを用いる『間諜』の力を失う事は、この世界で表を歩く事すら困難になるという事と同義となる。


 ――彼らの有する『戦闘を行う力』と『情報を得る力』。


 この二つが強大であるからこそ、彼らは『組織』の後ろ盾がない『はぐれ』の身であっても、その存在感を抱きつつもこうして表で堂々と『赤い狩衣』を着て行動を起こしていられている。


 『ヒュウガ一派』とこの『コウエン』を頭とする『守旧派』の『同志一派』とでは、それはそれは内実に雲泥の差があるといえるだろう。


 だが、そんな彼らであってもその『妖魔退魔師』組織を相手にするという事は、その全てを失い兼ねない程の一大事変なのである。


 『同志』がサクジに本当にやるのかと、その覚悟を今一度確かめる事は理解が出来るというモノであった。


「安心するがよい。我らには『コウエン』殿も居る。それに我ら『守旧派』が大きく行動を起こすという事は、既に組織を去った前時代に共に力を合わせた『同志』達にも我らの意向が伝わる事だろう。今いちど我らが『妖魔召士』組織を一つの束ねさえすれば、あの『妖魔退魔師』組織と十二分に渡り合えるは間違いない。これは我らが悲願をなすために必要な試練なのだ! ここで二の足を踏んでいては叶えられる願いを自ら放棄する事だぞ? この好機を無下にしてどうする? お主は何をしようと考えてここまで頑張ってきたのだ?」


 自分というモノをしっかりと持っている『イダラマ』のような芯の強い者であれば、このサクジの穿った正論が凝り固まった理想主体の具体性のない演説を本気にしないだろうが、迷いが生じている上にここまで信用してついてきた立場が上の『サクジ』にそう言い放たれてしまえば、彼らも自分を強引に納得させてしまう他なくなるのであった。


「そ、そうですな……! 後の事を考えるのならば、ここは推して進むべき好機!」


「そうだ! 安心するがよい。ワシは必ず成功すると確信を持っている。お主らは何も心配せずにワシを信じてついてきてもらいたい!」


「わ、分かった! サクジ殿がそう言うのならば問題はないですな!」


 他の者達もサクジの堂々とした言葉とその態度に徐々に気が大きくなっていき、もはや反対意見を口にする者は、この場に誰も居なくなるのであった――。

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