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最強の魔王が異世界に転移したので冒険者ギルドに所属してみました。  作者: 羽海汐遠
イダラマの同志編

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1520.上座

 ゲンロクが管理する里は『改革派』の『妖魔召士』達が大勢居て、現在の『妖魔召士』組織の総本山と呼ぶべき場所であるが、その里に現在は当代の『妖魔退魔師』組織の総長であるシゲンと、副総長であるミスズ。更には組織の最高幹部である一組から三組までの『組長』と『副組長』がこの場に集結していた。


 ほんの少し前の武力による戦争状態から考えればとても信じられない状況ではあったが、現在は『妖魔山』の『禁止区域』の調査という名目で戦争状態はひとまずのおさまりを見せて、そのまま互いの組織は、かつてのような協力関係が築かれ始めていた。


 今回起きたような武力を伴うような戦争状態に持っていった首謀者である『ヒュウガ』が『妖魔退魔師』達によって取り押さえられた事による影響が、やはり大きかったといえるだろう。


 しかし武力を伴った戦争状態が沈静化したからといって、これまでの利権絡みの取り決めが全てこれまで通りとなったわけではなく、まだまだ『妖魔召士』組織側が『妖魔退魔師』側の組織に対して、当分の間は風下の立場になる事は否めず、また『ゲンロク』が引退する事になれば、今後はこの両組織がどう変化していくかは誰にも分からない状況ではある。


 既にゲンロクは暫定の長という立場から、次の長が決まるまでの間の代理の長という立場になっていて、今回の『妖魔山』の調査の一件が終われば、少なからず表舞台からは遠のいていき、近い将来引退する事は間違いないであろう。


 謂わば今回の両組織共同の『妖魔山』の『禁止区域』の調査は、図らずもそんなゲンロクに対する最後の大仕事の舞台となったわけであった。


 そして現在、ソフィ達は里にあるゲンロクの屋敷で用意された部屋に集められていた。


 その部屋に集められたのは『妖魔山』の調査に向かう者達だけであり『妖魔召士』側は、代理の長である『ゲンロク』と『エイジ』だけであった。


 当然、部屋の外には側近や幹部達が控えているのだろうが、中の会話などが漏れないように、ゲンロクによって『結界』が張られている。


 ここまで行うゲンロクに対してシゲンやミスズ達は、ここに居る彼の覚悟を理解するのであった。


 そしてこのソフィ達の居る広い畳張りの部屋の『妖魔召士』側の上座に、これまでの両組織で行われた会合の中で、常に座っていた『ゲンロク』ではなく『エイジ』が座っている事からも『ミスズ』や『シゲン』は、この後にゲンロクから伝えられるであろう内容を悟るのであった。


 この部屋に居る者達に酒と軽くつまめる食べ物の準備を終えたゲンロクの配下達が、最後に会釈をして部屋を出て行ったのを見計らい、ゲンロクが遂に口を開くのであった。


「さて、まず最初にこちらの意向で里に留まって頂いたシゲン殿達や、ソフィ殿達には感謝をさせて頂く」


 そう言って頭を下げるゲンロクに、ミスズやシゲン達は首を振った。


「いきなりこちらが押し掛けた形なのですから、そのように頭を下げる必要はありませんよ、ゲンロク殿。このような歓待までして頂き、我々はむしろ感謝をしております」


 ミスズがそう口にするとゲンロクは、ほっとしたような表情を浮かべた。


「それで『妖魔山』の調査に向かう前に、我々に話をしておきたかった事とは一体何なのでしょう?」


 ミスズはちらりと上座に座っている『エイジ』の方を一瞥しながらそう告げると、ゲンロクはここでようやく笑みを浮かべた。


「ふふっ、既に察しはついておられるご様子ですな。それではエイジ、お主から挨拶を頼む」


 ゲンロクの言葉に頷くとエイジは、堂々とした表情を浮かべながら口を開くのだった。


「この度、先代『妖魔召士』の長から命ぜられて、私『エイジ』は当代の『妖魔召士』組織の長になりました。なにぶん急な決定となり、正式な書状などを回す事も出来ず、この場を借りてお詫び申し上げます」


 一度は『はぐれ』の身となり『組織』を去った『妖魔召士』である『エイジ』は紆余曲折の末に、暫定ではなく当代の正式な『長』となった事を『妖魔退魔師』組織の主だった者達、そしてソフィやヌー達にこの場で伝えるのであった――。

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