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最強の魔王が異世界に転移したので冒険者ギルドに所属してみました。  作者: 羽海汐遠
イダラマの同志編

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1512.イダラマVSコウエン

 イダラマがコウエンを警戒していたのと同様に、コウエンもまた蔵屋敷でのイダラマの『透過』技法の一端をその目で見ていた為に、コウエンは闇雲に向かったところで意味はないと判断して、少しの間は様子を見ていたが、やがてはこのままでは埒が明かないと判断したようで、両手に均等となるように纏わせていた『魔力』を少しずつ右手に多く集約させはじめていった。


 当然この様子をイダラマは見逃す筈もなく、このままコウエンが何らかの攻撃態勢に入ったのだろうと予見してイダラマもまた『魔利薄過(まりはくか)』を行えるように準備を整えていく。


 もちろん『魔利薄過(まりはくか)』は一つの選択肢に過ぎず、このまま普段通りの対応も行えるように『魔力コントロール』で自身の『魔力』を『スタック』させていて、如何なる攻撃を行われようとも反撃は可能な状態である。


 そしてイダラマが感じた通り、右手に『魔力』を集めていたコウエンは、先に行動を開始して『魔力』を伴った『捉術』を使う気で駆け出し始めていく。


 既にイダラマも先程『魔利薄過(まりはくか)』を瞬時に行えるように全身に『魔力』を行き渡らせてはいるが、相手の攻撃の威力規模が分からぬ内から全身に『透過』技法である『魔利薄過(まりはくか)』を使うような真似はしない。


 明らかな格下が相手なのであれば、前回の蔵屋敷の時のように最初から『魔利薄過(まりはくか)』を用いて相手の攻撃を完全に遮断させた後に反撃の一手を用いて即座に勝負を決める事も可能だが、今回の相手はイダラマが認める程の『最上位妖魔召士』である『コウエン』である為に、ごっそりと『魔力』が失われる『魔利薄過(まりはくか)』を開幕から使うつもりはないイダラマであった。


 そしてコウエンもそんなイダラマの行動を読んでいたかの如く、いきなり消費の激しい『捉術』を使うような真似をせず、小出しするかのように『捉術』と呼ぶ程でもない『魔力』を放出させる程度に留めた『魔力圧』を用いるのであった。


 もちろんこんな攻撃で勝負が決まるというわけでもなく、たとえ直撃したとしても致命傷を負うような事もあるわけではないが、戦闘を有利に持っていくという観点からみれば初撃にはもってこいの定石といえる一打であった。


(最初に大技を持ってくるような愚かな真似をしないとは思っていたが、まさかこんな教科書通りの『魔力圧』をこの私に用いるとはな。しかしこの私を侮っているというようなわけでもなさそうだ。定石通りといえば聞こえはいいが、その実他に手立てが思いつかない程にまで持ち札を減らしてしまったという事だろうか? あえてノリに乗らせてやってもいいが……)


 迫ってくるコウエンの放った『魔力圧』を避けるでも防御をするでもなく、イダラマはあえてその攻撃を無抵抗のまま受け入れるように動かず、その目の視線だけを放たれている『魔力圧』の奥に見えるコウエンの動きに照準を合わせるのだった。


 そしてそのままコウエンの初撃の『魔力圧』がイダラマに直撃したかと思うと、後ろへと身体が吹き飛ばされていくのだった。


 そのまま後ろへと吹き飛んでいくイダラマの身体を追って、コウエンも直ぐ様追従するように追いかけてくる。


 イダラマは風の衝撃のあおりを受けながらも両目をしっかりと開けて、とばされながらも両手を前に出して再びあらゆる攻撃に対する対応の準備を行う。


 やはり初撃の『魔力圧』に対してのダメージは無に等しく、単にイダラマの身体を背後へと追いやるに留まる結果となった。


 だが、どうやらコウエンにとっては、防御や回避を行わずに直撃することも予測の範囲内だったようで、今度はイダラマの身体を追いながらも追撃を行う為に両手で『印行』を結び始めて静かに唇を動かし始める。


(今度は間違いなく捉術だな。流石に次も無抵抗のままではまずいだろうが、どういう構築パターンの攻撃をコウエン殿がこの私に対して組み立てていたのか、それを知る為にもギリギリまで見定める必要があるな)


 今度もまたイダラマは反撃や抵抗の攻撃などを行わず、再び防御の選択肢を取るように『魔力』を両手に集約させる。


 ――その狙いはあくまでもコウエンの攻撃の狙いを見極める為であった。


 イダラマという『妖魔召士』の戦い方は、あくまで『守』に長けたものであり『攻』に転じる時は確実に仕留められると判断する時である。


 つまりこの一連の攻撃から『コウエン』の起こす戦闘の始終の戦術構築と性格を見定めていき、今後の攻撃の定石を完封する為に、あえて敵に攻撃を出させ続けてノリに乗らせようとするのが『イダラマ』という『妖魔召士』の定石の戦い方であった。


 まさに戦闘スタイルが真逆の二人であり、この両者の戦いは大いにかみ合う戦いと呼べるものであった。

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