表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
最強の魔王が異世界に転移したので冒険者ギルドに所属してみました。  作者: 羽海汐遠
イダラマの同志編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

1526/2239

1509.似て非なる思想と意思、故に下された結論

※加筆修正を行いました。

「物事には()()が存在する。確かにそれは貴方の言う通りだろうな」


「……」


 コウエンの言葉を肯定するような発言を行ったイダラマだが、コウエンは直ぐには頷かずにイダラマの方に視線を向けたまま無言を貫く。


 ここまで異常な程に我を通して生きてきたイダラマが、少しばかり諭されたからといって素直に言う事を聞くとは思えなかったからである。


 そしてイダラマはその続きを口にし始める。


「当初に抱いた『志』に重きをおいて、苦難と真っ向から向き合いながらも上手く現状を維持し続けて、それでもどうにもならない事に対しては納得の行く範囲で妥協を行い、それでも諦める事なく最初に抱いた『(こころざし)』に向けて準備を行う。やはり貴方は私と同じ見解で物事を見る事が出来る対等の立場の『同志』になり得た存在だったようだ」


「むっ……!」


 イダラマはコウエンを見る目が、少しばかり優しいモノになったかと思うと満足そうに頷く。


 そして何かを決心したような強い瞳へと変貌をさせ始めるのだった。


「貴方の考え方は確かに理解が出来るし納得も出来る。貴方は『妖魔山』で目的を抱くに至り、そこから数十年もの間に渡って辛抱を行い続けて、ようやくその大望を叶えるに至るところまで迫る事が出来た。だからこそ、私は今回貴方を『妖魔山』に誘おうと思えた。何故なら私と貴方の考え方は過程は違えども結論は同義のモノになり得ると理解したからだ」


 イダラマにしては珍しく真剣な目をしながらコウエンに真意を語りかけ続ける。


 そこにはあまり他者に興味を感じない『エヴィ』でさえ、イダラマの()()()()()()()()()()()という心の熱意が伝わってくる程であった。


「だが、それでも私は貴方のように大望をなす為に数十年も待ってはいられない。もし貴方がその『志』を抱き続けて尚、今も私が目指した頃の『コウエン』殿の強さのままであったならば、私は納得をして『サクジ』殿達と『同志』を救出する為に行動を共にしたかもしれなかった。しかし今の貴方は全盛期の頃の強さを取り戻せない程に老いてしまっている。技術自体は全盛期の頃よりも上回っているだろうし、(とし)を重ねた事でその『技』自体にも磨きがかかっているだろう」


 そこでイダラマは一度言葉を切って、大きく息を吸い込んだ。


 ――それは、次の吐き出す言葉の中に、印象をより一層強くさせようとする狙いが含まれているようであった。


「それでもその『技』自体を繰り出す『体力』が衰えている。それはつまり『志』を継続させる為に必要な『体力』()()()()が失われてしまっている事に他ならないのだ。コウエン殿、それは貴方自身も存外『後悔』している事なのではないのか?」


「!」


 先程イラダマに諭すような言葉を吐いたコウエンだが、今はそのイダラマの言葉に衝撃を受けるように絶句するのであった。


「貴方は()()()()()()()()()()()()()という諺を知っているか? 確かに物事には順序があり、大望を叶える為には必要な経路というモノはあるだろうが、ここぞというところで妥協を行っていては、本当に必要なモノは手に入らないのだ! ()()()()()()()()()()()で、今この時に私の前で現れていたならば、私は唯一貴方だけを尊敬し、貴方に付き従ってみせていただろう! だが、そんな見るにも堪えない情けない姿で『力』を失った貴方に用はない! この場で私が直々に『妖魔召士』の時代を変えてみせよう!」


 イダラマはそう言い放った後、自身に見る者が可視化が出来る程の膨大な『魔力』を纏わせ始めるのだった。


 どうやら今のイダラマが纏っている『魔力』こそが、今の彼が持ち得る『魔力』の最大数なのであろう。


 あの『蔵屋敷』で見せた時の彼の『魔力』とは、もはや比較にもならない程の『魔力』であった――。


「ふんっ、確かに全盛期の頃に比べれば、ワシの『体力』は衰えているだろう。じゃが、その分『魔力』の使い方はまだまだお主ら程度の半人前には劣っておらぬわ!」


 啖呵を切るように叫んだコウエンもまた、大魔王エヴィが目を見開く程の『魔力』を纏わせ始める。


 しかしこの『妖魔山』の麓には既に『イダラマ』が魔力の感知を妨げる『阻害系』の『結界』が施されている為、この場に居る者達以外には、この恐ろしい『魔力』を感じ取れる者達は、誰一人として居なかった。


 ……

 ……

 ……

『ブックマークの登録』や『いいね』また、ページの一番下から『評価点』を付けていただけると作者のモチベーションが上がります。宜しければお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ