1501.怪しい赤い狩衣の集団
※加筆修正を行いました。
コウヒョウの北門で『予備群』と『はぐれ』の妖魔召士達の戦闘が開始されて、町の商人や住人達が中央の方へと避難を開始していた。
そして先程『予備群』の隊長から指示を受けた数名の『予備群』が南の門へとその『予備群』の身体能力を活かしながら駆けて行く。
彼らの目的は近場の『旅籠町』や、更にはその近辺で最近『特務』から命じられた任務で、駐屯している『妖魔退魔師』組織の妖魔退魔師衆達に『コウヒョウ』の町に出現したランク『６』相当の『妖狐』の討伐を頼みに向かっているのであった。
元々のコウヒョウの町役人達の足では、いくら『予備群』達が妖魔を抑えているとはいっても、決して間に合うとはいえないところではあるが、この『予備群』達が全力で向かえば、仲間達があのランク『６』相当はあるであろうと思われる高ランクの狐の『妖魔』であっても抑えている間に、応援を呼べる確率がはね上がる。
こういった不測の事態に備えて『妖魔退魔師』組織の内部にある『特務』は、それぞれの町に派遣している『予備群』同士の力量を考えて任務に送り出しているのであった。
だが、流石に今回の出来事は、そんな『特務』の者達の思惑を飛び越えてのランク『６』の『妖狐』の出現である為に『コウヒョウ』の護衛隊の『予備群』達にも普段とは違う緊張感に包まれている様子であった。
『妖魔山』のある方向。北側の門から二人の『予備群』は、南門へ向かう為に中央のエヴィ達が揉め事を起こした居酒屋付近を駆け抜けて行く。
この町の中央付近でも先程の騒ぎの一件で多くの者達が集まっていたが、二人の『予備群』は器用に立ち並ぶ店の壁などを足蹴に宙を飛び、そのまま屋根の上へ飛び移ったりして速度を緩めずに疾走を続ける。
やがてあっという間に『コウヒョウ』の町の『南門』がある場所に到達すると、そのままの速度を維持したまま屋根の上を移動していた一人の『予備群』は、下で町の門を守っていた番屋の町役人を空中で一瞥したが、そのまま何も言わずに視線を前に向けて『コウヒョウ』の外へと出て行った。
「なっ！？」
元々の自身番といえる『コウヒョウ』の自警団の役目を担っていた町役人は、何の手続きや説明もなく門を飛び越えていった『サカダイ』からの派遣されてきた護衛隊である『予備群』の男の背を見上げて素っ頓狂な声をあげた。
次いでもう一人の『予備群』がその町役人の居る番所に到着すると、直ぐに緊急事態である事が伝えられるのであった。
そして町役人は慌てて門を開放すると、町民達を避難させ始める。
その様子を見たもう一人の説明を行った『予備群』は、直ぐに踵を返して自分達『予備群』の屯所がある方へと戻って行き、自分と同様に派遣されている他の任務についている『予備群』達の応援を集め始めるのだった。
……
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コウヒョウの南門から外へと飛び出した『予備群』の男は、そのままここから近くに駐屯している『旅籠町』の妖魔退魔師衆の元へと勢いそのままに駆けていたが、そこでふと目の前の数十人の人間達が列をなしているところを見ると、直ぐに速度を緩めて前方の集団の確認を行い始めるのだった。
（商人の一団の者達かと思ったが、あの赤い狩衣は『妖魔召士』の方々か！ 北側に現れた高ランクの『妖狐』が突如として出現した事に加えて、これだけの数の『妖魔召士』が『コウヒョウ』に何の伺いもなく現れているというのも偶然とは思えぬが、まさか……？）
『予備群』の男は物陰に身を隠しながら、気配を殺して前を歩く『妖魔召士』の集団を訝しそうに観察を行うように視線を送るが――。
しかし、そんな彼の視線に気づいたのか、直ぐに数人の赤い狩衣を着た『妖魔召士』達は、進めていた歩を緩めたかと思えば、その場で背後を振り返って『予備群』の男が居る場所を的確に睨みつけてくるのだった。
（き、気付かれたかっ！？）
……
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