1484.大魔王ソフィの絶殲
※加筆修正を行いました。
ソフィの左右の手から同時に生み出された『絶殲』が、一つに纏められて放たれた瞬間に、連続して十数秒に渡って『真っ白な光の束』が『魔力吸収の地』に向かっていった。
先程と同様に数人規模の『極大魔法』と目算される数百発までは、細分化させて消滅させられはいたのだが、それが新たにソフィの両手分の『絶殲』が加算された事によって、あまりにソフィの『絶殲』の光りの束の数が多すぎて、途中から消滅速度が遅くなってしまい、細分化までは可能としたモノのその全てまでを消滅させる事が出来なくなった。
そして逆に『魔力吸収の地』の方が、音を上げるように消滅してしまった。
しかし『魔力吸収の地』が消滅したからといって、左右の両手で同時に生み出されて一つに纏められて放たれている『絶殲』を即座に止められることは出来ず、残っていた凡そ三百発分程の『絶殲』の光りの束は、その背後に張られていた『魔神』の『聖域結界』に向かって放たれ続けていたのだった。
――だが、そこは流石に『力の魔神』と呼ばれる所以か。
ソフィの『魔力』を用いて全力で『結界』を展開している『魔神』は恐ろしい程に冷静に『聖域結界』の『再生』を繰り返し続けていく。
一発、また一発とソフィの『絶殲』が『魔神』の『結界』に直撃するたびにその『結界』は粉々に打ち砕かれるのだが、その次の一発が届くまでの間の僅かコンマ数秒で完全に元通りに戻して、再び粉々に破壊されてを延々と繰り返して、見事に三百発分程のソフィの『絶殲』を『力の魔神』は防ぎきってみせるのであった。
「――」(ソフィ。貴方の『力』を全て受け切って見せたわ! 褒めてちょうだい!)
「うむ、見事だ。そしてすまぬな……。やはりお主が居なければ危ないところであった」
「――!」(いいのよ! 貴方の役に立つ為に私はこの場に存在しているのですから。まだ試し足りないというのであれば、あと数百でも数千でも数万発でも付き合って見せるわ!)
「いや、うむ……。もうだいたいの耐久性は理解が出来たから大丈夫だ。あの新しい『魔力吸収の地』は、凡そ『魔神級』の数十人前後で、連続で『極大魔法』を同時に展開でもしない限りは突破は難しいだろう。つまり新たな『魔力吸収の地』と従来の『魔力吸収の地』を同時にこの場に発動しておけば、この二つの『魔力吸収の地』を消滅させられるまでの間に、従来の『魔力吸収の地』の効力が発揮して我の元に『魔力感知』の結果が届く。つまりはその瞬間にこの場に転移して戻り、全ての者達をその時に無力化させてしまえばよかろう」
「――」(ええ。それでいいと思うわ。その時はまた私が『結界』で全力で支援して支えてみせるから『絶殲』でも『転覆』でも……、いえ、貴方に迷惑をかけるような存在なら、その全ての愚か者の魂を全て奪える『終焉』を使ってくれても構わないわ)
「うむ。その時はよろしく頼む」
「――」(任せてちょうだい! この身に宿る貴方の『魔力』を存分に有効活用してみせるわ)
…………
「成程。イツキ殿が言っていた事の全てが、真の事であったと今であれば信じられるな」
この場に居る者達の大半が唖然とした表情を浮かべて『ソフィ』の放った『魔法』の結果を見ていたが、そこで『妖魔退魔師』組織の総長である『シゲン』は静かにそう告げるのだった。
(俺の『力』をある程度本気で使ってみせても、先程のソフィ殿のあの白い螺旋状に連続して放たれる光を反射させることは難しいだろうな。しかしあの一撃の威力の高さは異常だ。あんなモノが一発でもまともに直撃すれば俺でも戦闘不能になりそうだ。それが数十、数百発と連続してあの速度で打ち続けられるのだからとんでもない事だな……)
そこまで考えたシゲンは、肩を揺らしながら静かに笑うのだった。
「なぁ? 旦那は『魔神級』とやらが数十人くらいが集まって、一斉に『極大魔法』を放てばとか言ってたけど、そんな出来事が本当に起きると思うか?」
「知らねぇよ……。ただ一つ分かっている事は、さっきのソフィが使っていた『絶殲』とかいう『魔法』を俺やお前に放たれちまえば、その場で何をしようが終わりだって事くらいだ」
「確かに間違いないな……。あの『空間除外』を使ったとしても追いつかねぇよ。かといって『絶対防御』や『魔力障壁』で軽減を図ったとしても、数発直撃すれば終わりだろうな」
「何を言っていやがる。数発どころかお前じゃ『絶対防御』を張ってようがなかろうが、関係なく一発であの世行きだ」
「ちっ! 分かってるよ! 今の『代替身体』の身じゃ一発でも耐えられないくらい理解し……? あ? お前大丈夫かよ?」
「――?」(ヌー! 少し休んだ方がいい! お前顔面蒼白だぞ?)
「何ともねぇよ……。ただ……、ちょっと眩暈がしただ、け……だっ……」
「――!」(ヌー!)
次の瞬間、その場でヌーは貧血を起こしたようにフラフラと身体が揺れるように動いた後、その場で倒れそうになるのをテアが必死にヌーの身体を支えるのだった。
「おい! ヌー!? だ、旦那!! こっちに来てくれ、ヌーの野郎が!!」
「むっ?」
何やら『魔神』と会話を続けていたソフィは、そのセルバスの声に振り返ると、直ぐにヌーの異変に気付いて駆け寄っていくのであった。
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