1483.ソフィが見せる新たな魔神域の魔法
※加筆修正を行いました。
まずソフィの放った『普遍破壊』が『魔神』の『意識阻害系』の『結界』を最初からなかったかのように吹き飛ばすと、次に『魔神』が今しがた張った『聖域結界』を貫いてその中へと更に影響を及ぼそうする。
――しかし。
『魔神』が自身の張った『聖域結界』を再生する須臾と呼べる程の短い時間の間に、そのソフィの『魔法』に対してソフィの『魔力吸収の地』がその存在を示すかの如く発動するのだった。
ソフィの『普遍破壊』で生じた大爆発の中で『魔力吸収の地』は、その場に満ちる『普遍破壊』に使われている『魔力』を全て排除を行うかのように干渉を始めると、眩い程の金色の光が場を覆いつくした。
そして『普遍破壊』に使われている『魔力』をその細部に至るまで金色の光が包み尽くすと、あっという間に『普遍破壊』の爆ぜようとする力が呑み込まれて消え去ろうとする。
「うむ……! 単一高火力の『魔法』であれば、流石に『妖魔召士』の魔力であってもそれなりに対応は可能そうであるな。では今度は多勢から一気に高火力の『魔力』が用いられた場合と仮定するか……」
『普遍破壊』が全て『魔力吸収の地』によって無効化された瞬間を見計らい、ソフィは更に『魔力』を増幅させていく。
四翼の生えた状態のソフィだが、その周囲にバチバチと雷のようなエネルギーの余波が迸り始めたかと思うと、そこからまた一つ明確に段階が『上』へとあがった。
そして四翼のソフィの魔王形態がこれまでとは桁違いの強さに変わる。
――それこそは、完全なる大魔王化である。
次の瞬間に『魔神』はこれまでより更に真剣な表情を浮かべると、次々と余波を外に出さぬように、粉々にされ続ける『聖域結界』を張り直し続けていく。
流石は『力の魔神』と呼ばれる程の最上位神である。
ソフィの四翼状態の『完全なる大魔王化』によって迸る恐ろしい『魔力』がこの場に体現したことによって、その余波でこの場が粉々になってもおかしくないというのに、その『聖域結界』のみでソフィの起こす影響を全て耐え忍ぶことが出来ているのであった。
――しかし、本番はこれからである。
ソフィはまだこの状態から試そうといっていた事を行ってはいない。
単にその試す為の『力』を出せる準備段階に入っているだけに過ぎないのだ。
その状態でさえ、もはや『魔神級』に達していない存在であれば、余波で消し飛ぶ程であった。
「『魔神』よ、大丈夫だとは思うのだが、我の魔力コントロールが少しでも違えた時の為の補助を頼むぞ」
「――」(大丈夫よ、ソフィ。この身に代えても貴方の『力』を私の『結界外』に出させはしないわ)
「すまぬな、頼むぞ。それでは仮想の存在が『魔神級』に達していると仮定して、その数を複数人と想定とする……」
ソフィの目が金色になり、左右の手に恐ろしいまでの『魔力』が集約され始めていく。
ソフィは更にその両手を少しずつ照らし合わせるように正面へと掌を向け合わせながら前へと持っていく。
そしてソフィの両手が身体の正面で交わるように重なると『真っ白な光りの束』が生み出され始めるのだった。
その『真っ白な光りの束』は、まるで発射の瞬間を今か今かと待つように、次々と螺旋状に重なっていく。
「では……、いくぞ?」
――魔神域魔法、『絶殲』。
それは『極大魔法』の最上位に位置するモノといっても過言ではない『魔法』であった――。
螺旋状で待機状態となっていた『真っ白な光りの束』の魔力エネルギーが、ソフィの合図と同時に次々に発射されていく。
――ドンッ! という衝撃が音より先にその場を駆け抜けた。
これまでにない程の衝撃によって後ろに立っていた『ヌー』達は、一斉に爆風で後ろへと吹き飛ばされて、尚も衝撃の音が後から耳をつんざくように追従を行い始める。
当然、ソフィの魔力コントロールに『魔神』の『結界』があるために、ヌー達に被害は一切出ていないが、それでもソフィの『絶殲』の発動によって、爆風だけはそのあおりを受けざるを得なくなったようである。
先程ソフィ自身が口にした通りに『魔神級』に達している存在が数人規模で一堂に会して、一斉に全力で『極大魔法』を放つのと、同規模以上の威力を誇っていると断言してもいいだろう。
螺旋状に放たれたその白い光のエネルギーは、その一発、一発が先程の『魔神域魔法』であった『普遍破壊』と同等か、もしくはそれ以上の殺傷力を誇っているが、ソフィの言うように単一の高火力ではなく『絶殲』は、その他大勢から一斉に『極大魔法』が放たれている事を仮定としている為に『真っ白い光りの束』は次々と『魔力吸収の地』へと放たれ続けていく。
――その数は最早数百を越えて、今も尚の事放ち続けられているのであった。
一発、一発が放たれ続けるごとに、先程の衝撃と衝撃音が重なって続けられていく為に、この部屋に『結界』が張られているとはいっても、建物全体が大きく揺れ動いていずれは亀裂が入って崩壊するのではないかと思われる程の振動を引き起こし続けていた。
その対象となっている『魔力吸収の地』という通称『死の結界』と呼ばれるソフィの『結界』は、その同じ詠唱者であるソフィの『絶殲』を次々と呑み込んでは細部に至るまで分解をするように『完全な消滅』を行い続けていく。
「ふむ『魔神級』に達しておる者が数人規模程度であれば、まず問題はなさそうだ。それでは数十人規模ならどうかな?」
ソフィを覆っている『三色』の光りがこれまで以上に鮮やかに輝き始めたかと思うと、バチバチと雷のようなスパークがソフィのオーラの外側で巻き起こり始めていく。
「や、野郎……! こ、これ以上何をしやがるつもりだ!?」
もう我慢が出来ないとばかりに『ヌー』は脂汗を流しながら、自分の前方で恐ろしい事をしでかしている『化け物』に対して疑問符を投げかけるのであった。
四翼の更に戦闘態勢に入っているソフィは、待機状態にある『絶殲』の真っ白な白い光の束を更に一つに集約していくと、同時に左手で全く同じモノを生み出して、更にその白い光の束を一つに集約し、この場に二つの『絶殲』が展開される。
「『魔神』よ、流石にこれだけの規模の『魔力』を込めた『魔法』を我の『魔力吸収の地』に放ったことはない。悪いが、全力で『結界』を展開しておいてくれ」
「――!」(ええ、もちろんよ。先程も言ったけど、この身に代えても何とかしてみせるわ!」
「クックック! では、いくぞ……」
――次の瞬間、ソフィの両手から想像を絶する程の『魔力』が放たれる事となった。
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