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最強の魔王が異世界に転移したので冒険者ギルドに所属してみました。  作者: 羽海汐遠
イダラマの同志編

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1477.外れた期待と高評価

※加筆修正を行いました。

 イダラマが『守旧派』の妖魔召士に奪った根本の『魔力』を戻すと、その男は大層喜びを露にしたが、直ぐに我に返ると慌ててイダラマから距離を取り始めるのだった。


「すまなかったな、イダラマ。お主達も軽はずみな行動は控えるのだ」


「は、はぁ……」


 多くの者が納得が出来ないといった表情を浮かべていたが、前時代から組織を支えて『守旧派』の『妖魔召士』達の中でも存在感を示し続けてきた『コウエン』の言葉には、仕方がないといった様子で返事をするのであった。


「さて、それでは皆の衆、これから大急ぎで『サカダイ』の町近くの旅籠に潜伏するぞ。シゲン達の動向を窺いながら本部へ乗り込むが、ある程度の距離がなければ奴らはすぐに戻ってきてしまう。気を付けてる点は『組長格』以上の足が早ければ直ぐに離脱を行い、間に合うと判断すれば本部を襲撃して『同志』達を解放して再び『コウヒョウ』を目指すのだ。それまでは各々必ず『式』を使役するでないぞ!」


「「承知!」」


 コウエンの号令にその場にいた『妖魔召士』の『同志』達が一斉に声を上げるのだった。


「ではイダラマよ、ワシ達はここで別れるが、先に『妖魔山』に向かうお主達の武運を祈っておるぞ」


 イダラマの肩に手を置きながらコウエンはそう告げると踵を返し、アコウ達の居る入口の方へと歩を進めていくのだった。


「ふんっ! せいぜい『禁止区域』の妖魔達に()()()()()()()()()()!」


 そして『サクジ』もまたイダラマに吐き捨てるように言葉を発すると、彼もまたそのまま出ていくのであった。


 話が終わった後、続々と蔵屋敷から『同志』達が出ていき、その場にはこの『コウヒョウ』に来る前の面子である『イダラマ』達だけが残されるのであった。


「まぁ確かに今更戻るわけにもいかねぇけど……、本当に良かったんですかい? イダラマ様」


 蔵屋敷から『同志』の最後の一人が出ていったのを見届けてから、長いピアスが印象的なイダラマの護衛の『予備群』の『アコウ』がゆっくりとこちらに向かって歩きながらそう口にするのだった。


「ああ……。この際だから正直に言っておくが、どうやら私は『同志』達を過大評価しすぎていたらしい。はぐれとなってから彼らが衰えたのか、それとも私が強くなったのかは存ぜぬが、あんな程度の者達をいくら連れて行ったところで『妖魔山』では何の役にも立つまい。精々が『コウエン』殿とあの威勢のよかった『サクジ』殿くらいだな」


 イダラマは取るに足らないとばかりに告げたが、それでも『上位妖魔召士』としては、充分な程の力量を有しており、今の『ゲンロク』の『妖魔召士』組織であれば、この場に居た全員が例に漏れずに幹部クラスに匹敵する程である事は間違いはなかった。


 一括りに『妖魔山』とはいっても『中腹』付近までならば、確かに彼らも十分だといえる戦力ではあるのだが、それでもイダラマが向かおうとしているのは、その『中腹』よりも更に進んだ『禁止区域』である為に、ランクが『8』を今でも超えているであろう『コウエン』と、それに近しい力量はもっていそうだった『サクジ』くらいまでが戦力として数えられるといったところなのであった。


「さっき私が相手をしたあの『妖魔召士』もランクでいえば、良くて『6』から『6.5』くらいはあったのだろうが、あの山では何をしようとあっさりとやられてしまうだろう。数が多くなればなるほど確かに助かる事も増えるだろうが、逆に邪魔になる事もある。とくに『同志』を助けるためにわざわざ『妖魔退魔師』組織の本部に乗り込もうとするような連中では、足手まといに成り得る確率の方が高いと判断する。そうでなくとも一人やられてしまえば、士気が下がるのが人間達の常なのだ。人一倍仲間意識が高いとなれば火を見るより明らかだろう」


 イダラマは冷静なつもりで口にしていたようだが、実はその口数も普段より幾分と多く、更にはその表情は曇っていて付き合いの短い『エヴィ』からみても、余程に同志達が()()()()()()()()()()()と悟れるくらいであった。


「でもイダラマ、他の連中はどうだか知らないけど、あの長い髭のおっさんは相当にやると思うよ? 僕が酒場で本気で殺そうとした時でも平常心……、とまでは流石にいかなかったかもしれないけれど、十分にあのおっさんは普段通りに動けていたし、何より僕じゃなければ()()()()に居る『()()()』達だとやられていたと思えたしね」


 どうやら『エヴィ』は実際に手を合わせた事で『コウエン』の事を高く評価しているようであった。


「馬鹿かお前! そりゃコウエン殿っていったら前時代の『妖魔召士』組織じゃ()()()()()()()()()()の一人だったんだぞ! 強くて当たり前だろ!」


 エヴィの話を聴いていた『アコウ』は黙ってられなかったようで、間髪入れずにエヴィにそう告げるのだった。


「そんな事を言われても知らないよ。僕はこの世界の住民じゃないし。そもそも僕は今のおっさんの力を客観的に判断しただけだしさ」


 アコウの言葉に口を尖らせてそう口にした後、頭の後ろで腕を組んで溜息を吐くエヴィであった。


 ……

 ……

 ……

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