1463.ソフィの結界、再び
※加筆修正を行いました。
「さて、それでは始めるとするか――」
『魔神』の張られてある『結界』の部屋の中でソフィはおもむろに『魔力吸収の地』を施し始める。
すでに『スタック』を終えていたソフィは『レパート』世界の『魔法』である『魔力吸収の地』を『アレルバレル』の世界の『理』を用いて発動を行うのであった。
そしてソフィの目が『金色』に光ったかと思うと、次の瞬間には『魔法陣』が出現し始める。
この状態ではまだ『魔力吸収の地』の効力は生じないが、スタックさせている『魔力』を注ぎ込めば『魔法陣』は回転を始めてやがては『結界』として機能させる事が可能となるだろう。
ソフィは最後の確認の意味を込めてちらりと『ミスズ』を一瞥するが、その『ミスズ』が大きく頷いた為に、ソフィはスタックさせていた『魔力』を『魔法陣』に込め始めるのだった。
スタックされていた『魔力』が『魔法陣』に注ぎ込まれた瞬間に、その『魔法陣』は高速回転を始めて『魔法』としての効力が発動する。
ソフィの『魔力吸収の地』は確かに発揮されたが、それと同時に全ての効力を覆い隠すかの如く『魔神』の『聖域結界』が鮮やかな光を発し始めるのだった。
「うむ。これでいいだろう」
「え!? も、もうソフィ殿の言っていた『結界』は張られたのですか?」
「本来の『結界』というモノとは少し語弊があるのかもしれぬが、確かに『魔力吸収の地』はこの場所でも張る事に成功しておるよ」
ソフィがそう告げるのを聴いたミスズだが『結界』を張る前と張り終えた後では、目に見える範囲においてではあるが、違いがあるように感じられなかった。
当然『牢』に居る者達もソフィの『魔力吸収の地』が発動された事を察知出来ずにいるようで『牢』の中ではまだ『魔神』の『結界』の方に驚いているモノが多くいた程であった。
しかし一見何も違いがないように思えるが、この場所はすでにヌー達が呼んでいたように『死の結界』が張られている状態であった。
普段であれば魔力に覚えがあるものは、もう少し『魔力吸収の地』を可視化出来る状態なのではあるが、今回は『魔神』の『聖域結界』が外側に張られている為に、より分かりずらくなっているようで、元々『妖魔召士』程に『魔力』を有してはいない『ミスズ』では、この場所と廊下では違いがあるようには思えなかった様子である。
「お前、そんなに心配なら今すぐこの場所で『瑠璃』でも纏わせてみろよ。だが、魔力配分を誤って死んでも文句言うなよ?」
本当にこれで大丈夫なのだろうかと考えていた『ミスズ』に、ソフィではなく横から『ヌー』が口を出してくるのであった。
どうやらソフィの『魔力吸収の地』が張られているこの場で、信用なさそうな表情をしている『ミスズ』にヌーは、少しだけ苛立ちを感じたようで黙ってはいられなかったようである。
「そ、そうですね……。私も総長に心配は要らないと報告した手前、検証もせずにこの場を離れるわけには参りませんので、ソフィ殿には失礼なのですが……」
眼鏡をくいっと上げながら、少しだけ申し訳なさそうにソフィの顔を見る。
「うむ。責任を負う者であれば当然の事だ。我は何も気にしておらぬよミスズ殿。しかしヌーが口にした通り、あくまで『魔力』の配分を誤るような真似はせぬようにな?」
「は、はい。ご心配して頂き、感謝致します!」
そう口にして『オーラ』を纏おうとするミスズであったが『魔神』は、言葉は分からぬともソフィの『魔力吸収の地』を前にして『魔力』を試そうとするミスズに、ソフィを信用していないのかとばかりに眉を寄せて呟いた。
「――」(何て失礼な……! 塵芥の小娘風情が一体何様のつもりなの? そのままソフィに生命ごと吸収されて、今すぐにでも消滅すればいいのに)
(その呟きは横に居るソフィにも聞こえてはいないようであったが、テアにはしっかりと聴き取れていたようで、普段の自分に対する扱いとのあまりの差に、再びテアは怯えるような目で『魔神』にこっそりと視線を向けるのであった。
(※実際にはソフィも聴き取れていたのだが、実はそのまま聞き流している)
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