1456.発言を利用される者
※加筆修正を行いました。
「さ、サクジ殿! それは一体どういう……?」
その場に居た『妖魔召士』の一人が『サクジ』に質問を行うと、直ぐにその『サクジ』は説明を行おうと口を開くのだった。
「ふむ。まだ分からぬか『同志』よ。先程ライゾウが申していた内容によるとだな、ゲンロクの作った『退魔組』の頭領補佐の『イツキ』だとかいう男の一声で『退魔組』に属していた全ての退魔士達が全員解放されたといっただろう? つまり奴らは『ゲンロク』と今後の『妖魔召士』組織との関係性を斟酌して、あくまでゲンロクの創設した『退魔組』の者達だけを無条件で自由にしたという事だ。現に自分に刃向かった『ヒュウガ一派』に対しては『妖魔召士』達を誰一人として外に出していないことからも奴らの狙いなど容易に想像できようが? そうだろう『ライゾウ』に『フウギ』よ!」
「は、はいっ! まさに『サクジ』殿の仰る通り! 先程も申した通りではございますが、我々が外で『妖魔退魔師』組織に捕らわれた『同志』達の様子を窺っている時に、その奴らの本部から姿を見せた『退魔組』に属していた『特別退魔士』の『ヒイラギ』と『クキ』と申す者たちから事情を詳しく聞いたところ、間違いなく『イツキ』という『退魔組』の頭領補佐の立場の人間の一声で、あっさりと『ヒュウガ』殿達に協力していなかった者達『全員』を自由にしたと口にしておりました。逆に『ヒュウガ一派』に協力的であった『サテツ』殿は『退魔組』であるにも拘らず、ヒュウガ殿と同じ『牢』に移動させられていたそうです。ここまであからさまだと疑うまでもありませんな!」
「然り! ゲンロク殿は自分に弓を引いた『ヒュウガ』を一派もろとも全て『妖魔退魔師』組織に押し付けて、自分に都合のいい者達ばかりで固めようとしているようだ。余程に側近であった『ヒュウガ』殿の裏切りに腹を立てておるようですな!」
この場での発言を『サクジ』から許可された事に対して、これ幸いにある事ない事を口にしながら場の流れをサクジの思案した内容の思い通りに作り変えていく『ライゾウ』と『フウギ』達であった。
「し、しかし……、ゲンロク殿がヒュウガ殿に対して目くじらを立てる理由は分かるにしても『妖魔退魔師』組織と裏で繋がっているというのは些か信じられぬのだが……」
「そうだよな。何か裏付けるような証拠でもあれば別なのだろうが……」
流石にあれだけの諍いを起こして袂を分かつに至った『妖魔退魔師』組織と『妖魔召士』組織が、再び手を組むなど『はぐれ』となった『妖魔召士』組織の『同志』達の間でも疑問が残っている様子であった。
しかしそこで再び『サクジ』が立ち上がって、両手を大きく開きながら口を開き始める。
「皆の衆! そこで『イダラマ』が最初に告げた言葉を思い出して欲しい!」
そう言いながら『サクジ』は腕を組んでじっと話を聴いていた『イダラマ』を指差すのだった。
「むっ……」
サクジの言葉を聴いてこの場に居る大勢の『妖魔召士』の『同志』達が唐突に『イダラマ』の方を見てきた為に、彼も意識せずには居られずに小さく言葉を漏らすのだった。
「イダラマは最初に『妖魔山』の管理権を『妖魔退魔師』に奪われたと申しておっただろう? その理由として『妖魔召士』組織の度重なるミスが招き『妖魔退魔師』組織に足元を掬われた格好となった事から、歴史的な出来事ともいえる『妖魔山』の管理権を当代になって、遂に『妖魔退魔師』組織に譲らされる事となったと」
「まぁ『サクジ』殿の言っている事に間違いはないが……」
イダラマは自分が告げた言葉を逆手に取るように利用されて多少の不満はあるが、サクジが本当に間違った事は告げてはいないために、渋々とではあるが認めるような声をあげるのであった。
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