1449.九大魔王エヴィの特異
※加筆修正を行いました。
「……」
イダラマは自分が『麒麟児』と呼んでいた少年の転がっていく首を眺めながらも先程張った『結界』を解除を行わないどころか、これからが本番だとばかりに『魔力』を増幅させていくのであった――。
「ふんっ! コウエン殿に失礼な口を利いた報いだな!」
この場に居る一般の者達の意識がイダラマの『結界』によって認知されていない状況の中、コウエンの『同志』の一人の『妖魔召士』がそう口にした瞬間であった。
「……っせ、……、ぇっせぇ……!」
「は?」
「返セ かエせ カエセ カえセ 返せ カえ―せ、えカ せ、かえ、セえ かえせ か えせ 返せ――!!」
何と首だけとなった『エヴィ』の口が、呪詛のようにひとりでに呟き始める。
最初は掠れたような声だったが、徐々に彼独特のソプラノボイスに戻ったかと思うと、首だけとなった彼の目がギロリと動いて憎悪の孕んだ目は『コウエン』が手に持っている『金色のメダル』を捉えて離さない――。
「ふ、はは……! ふはは! アコウ! ウガマ! それにお前達も私の背後へこい!」
「「はっ、はい!!」」
「「はっ!」」
イダラマの目が何処か期待に満ちた目を浮かべ始めたかと思うと、直ぐに彼は先程張った『人除けの結界』とは別の『結界』を張り、その中に自分の護衛達を守るように入れるのであった。
――次の瞬間、居酒屋の居た全ての人間達を対象に『エヴィ』の『力』が発動されるのだった。
彼が『死』と同等の苦痛を味わった時や、実際に『死』をその身に体感した時に発動する彼特有の『金色の体現者』としての『力』。
それこそは敵や味方を問わずに、その場に居る全ての存在を対象に、彼が受けた苦痛と同等の苦しみや激痛を与えるという性質を持つ『特異』であった――。
「ひぎあっ!」
「ぎゃああああっっ!」
「く、くるし……っ!」
居酒屋に居た『耐魔力』がほとんどない普通の人間達は、エヴィの『特異』によって即座にその影響を受けて頭を抱えて苦しみ始めたかと思うと、次の瞬間には心臓を押さえて意識を失って倒れていく。
そして当然、彼の憎悪の塊であるその『力』は『コウエン』やその『同志』達にも向けられていく。
「な、何だこの面妖な『捉術』は……!?」
コウエンの『同志』である『妖魔召士』は『金色の体現者』という存在を勿論知らない。
だからこそ『特異』という『力』がある事も知らないのは当然である。
エヴィの『特異』の驚異的な『力』に対して居酒屋に居た普通の人間達とは違って『妖魔召士』達は比較にもならない程の『耐魔力』によって、即座に意識を失ったりする事はなかったが、それでも何らかの対策を取らなければならないと感じさせるには至らしめられるのであった。
そして多くの『妖魔召士』達がイダラマと同じように『結界』を張って、少しでも耐久力を上げようとする中で『コウエン』は自身が『捉術』で引き千切ったエヴィの首に向かって駆けだし始めていく。
「「こ、コウエン殿!?」」
この面妖な状況下を作り出した根源である『エヴィ』の首に向かって手を伸ばそうとする『コウエン』に『同志』達が声を掛け始める。
「身を守るのも大事な事だが、我々『妖魔召士』は守ってばかりいては始まらぬのだ。妖魔のような『敵』が使う不可解な攻撃に対して重要なのは、その根本となる脅威を取り除くことが先決だ!」
前時代の『妖魔召士』組織の中でもその存在感を示した『最上位妖魔召士』の一人である『コウエン』はそう『同志』の妖魔召士達に告げると、この状況を生み出している『エヴィ』の『首』に更に攻撃を加えようと試みようと迫っていく。
――やがて、コウエンはエヴィに手が届くところまで迫ると、自身の膨大な『魔力』を用いた『魔力波』と呼べる捉術の『魔波空転』を発動するのだった。
「! 麒麟児……!!」
イダラマは自身とその周囲に居る者達を守るために『結界』を展開しており、更にはこの居酒屋にも別の人除けとなる『結界』を同時に展開しているため、コウエンが行おうとする攻撃からエヴィを守る事が出来そうにないと判断して、その場で叫ぶのだった――。
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