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最強の魔王が異世界に転移したので冒険者ギルドに所属してみました。  作者: 羽海汐遠
イダラマの同志編

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1447.イダラマの狙い

※加筆修正を行いました。

「それはワシがここ以外では会わぬと申したからだ少年」


 赤い狩衣を着た集団の先頭に立っていた男がエヴィにそう言うと、慌てて『アコウ』と『ウガマ』は席を立って頭を下げた。


 そして『イダラマ』だけは席に座ったままで顔だけをその『妖魔召士』の男に向けるのだった。


「やけに遅かったじゃないですか『コウエン』殿」


「こちらも色々と準備が忙しかったのだ『イダラマ』」


 『コウエン』と呼ばれた男はそうイダラマに告げると、アコウ達が空けた席にどかりと座り込むのだった。


 コウエンは店で一番きつい酒を人数分注文すると、再びイダラマに視線を向けて口を開いた。


「それで手筈通りに『妖魔山』に入る手立ては作れたのか? 当代の長候補であった『ゲンロク』が失態をおかして『妖魔召士』組織から『妖魔退魔師』へと管理権を移されたと諜報からの情報にはあったが……」


「ええ。サカダイの管理する土地にゲンロク殿が設立した『退魔組』の退魔士が入り込みましてね。当然『妖魔団の乱』以降は取り決めを行った土地への立ち入りは互いに禁じております故、ゲンロク達『妖魔召士』側の罰則が生じる事となったので、それならば『妖魔山』の管理権を移す事を条件にすればよいではないかと私が直に『サカダイ』の『シゲン』殿達に伝えたのですよ」


「ほう……? お前もゲンロクの『妖魔召士』組織を抜けた『はぐれ』ではあるが、よくあの『妖魔退魔師』の総本山である『サカダイ』に乗り込んだものだ」


 コウエンは顎をコリコリと右手で擦りながら感心するようにイダラマを見るのだった。


「ふっ……。総長のシゲンは『妖魔山』に深い関心を持っているだろうと存じていたのでね。その話を出せば必ず乗ってくるだろうという確信はありましたし、何かあったとしても『妖魔退魔師』達もいきなり武力でこの私に手を出すような馬鹿な真似はしないと考えておりましたので」


「ククククッ! 流石は『最上位妖魔召士』の『イダラマ』だな。その蛮勇さ加減も昔と変わってなくて安心したぞ?」


「ふふっ。私を蛮勇というのであれば『ヒュウガ』殿はどうなりますやら」


 イダラマがそう告げると上機嫌だったコウエンは、少しだけ眉を寄せて笑みを消した。


「……アイツも馬鹿な真似をしたものだな。知らぬ存ぜぬを貫き通しておけばいいモノを自分から墓穴を掘って挙句に『旅籠町』予備群共の屯所を襲撃するとはな。例の二人組の『妖魔』だか『人間』だかに上手く利用されたか?」


「そこまでは分かりませんが、しかしその襲撃があったからこそ我々はこうして、ここまで奴らの見張りの目を掻い潜る事が出来て『妖魔山』に近づき、入る事すらも可能となったのです」


「『妖魔山』か……。あの『禁止区域』の化け狐は確かに恐ろしいモノだったが、あそこで若造の『ゲンロク』が喚いたせいで戻らざるを得なくなったが、ワシや『イッテツ』や『ノマザル』……。それに『サイヨウ』に『シギン』様が居たあの時であればランク『9』の『化け狐』を粉砕して、更に奥にまで入り込めただろうに……!」


 そう告げる『コウエン』は心底悔しそうな表情を浮かべるのであった。


(コウエン殿がいう『化け狐』とは、あの『禁止区域』の入り口を守っているといわれる『妖狐』の事か……)


 イダラマはその『禁止区域』の『妖狐』が話題に出た事で目を鋭くさせるのだった。


「しかしその『ゲンロク』のおかげで新たな『術』の数々が生み出されたのも事実。長い年月はかかりましたが、今度こそ我々は『妖魔山』の『禁止区域』へと足を踏み入れる事に加えて、我々の野望を成し遂げられる事になるでしょう……!」


 ゲンロクの編み出した『術』は、前時代の『シギン』が編み出した術式に改良を加えたものだけではなく、ゲンロク自身が『妖魔山』の『禁止区域』で遭遇した『妖魔』から感じた恐怖の経験からその『恐怖』を払拭するために数々の新術を編み出し続けた。


 イダラマは更にその『ゲンロク』の編み出した術から改良を加えて独自の『術』へと昇華させている。


 その術は同じようにゲンロクの編み出した『術』を用いていた『退魔組』の者達が使っていたような、お遊びの延長上の『術』ではなく、高ランクの妖魔でさえ条件付きではあるが、契約を行い『式』とする事も可能となった。


 ランクが『8』に達しているであろう『王連』や『黄雀(こうじゃく)』を更に越えるランク『9』の件の『妖狐』。


 その『妖狐』でさえも理論上は『式』にする事が可能となるだろう。


 そしてそれだけに留まらず『禁止区域』の更に奥に居るであろう()()()()()』とされる『妖魔』達でさえもである――。


 そしてそれこそが『イダラマ』の本当の狙いであり、成し遂げようとしている『野望』なのであった――。

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