1444.ユウゲの思いつき
※加筆修正を行いました。
この場に集結してきていた『妖魔退魔師衆』達は『ヒイラギ』達の亡骸を回収した後に去っていき、彼らの当初の標的であった『テツヤ』達『妖魔召士』もこの場から居なくなった。
その様子を見計らって『結界』を解いてこの場に姿を見せ始める『ユウゲ』であった。
「先程の方々は『ライゾウ』と『フウギ』様か……。確かあの方々は『ゲンロク』様ではなく『ヒュウガ』様につき従っていた筈。しかし外に出ているという事は『一派』として行動を共にはしていなかったという事だろうか」
ブツブツと独り言ちるユウゲであったが、そのユウゲの『結界』で共に姿を隠されていた『ミヤジ』と『ヤエ』も姿を現すのであった。
「とんでもない事になっちまったっすね……」
「ああ……。テツヤ様達の本当の狙いは捕縛された『ヒュウガ』様達だろうから、またここに乗り込んでくるつもりかもしれないな」
「は? あ、いや、あいつらの今後の事じゃなくて、アンタの仲間達の事を聞いたつもりだったんだが……」
「む?」
そこでユウゲは『ヤエ』の表情を見て、ようやくミヤジが『退魔組』達の事を言っているのだと理解するのだった。
「あ、ああ……、そうだな。こちらも咄嗟に『結界』を強めたおかげで何とか存在を隠し通せたようだが、テツヤ様達が最初から我々だけを狙っていたならば、ワシらも気づかれて今頃やられていただろうな……」
少し遅れて取り繕うように、あのまま見つかっていた時の場合を口にする『ユウゲ』であった。
「はぁ……。しかし何でまた『退魔組』の連中を狙ったんすかね。ヒュウガとかいう仲間を助けるつもりだったのならば、そのヒュウガに付き従っていた筈の『退魔組』の連中を襲う理由が分からないんだけど……」
確かに『退魔組』はあのままヒュウガの指示通りに動き『サテツ』を含めた『退魔組』の者達はその全員が『加護の森』に向かった以上は『ゲンロク』ではなく『ヒュウガ』の一派についていたと見るべきだろう。
そのヒュウガが捕縛されて彼らが脱獄させることを目的にこの場に現れたというのであれば、仲間であるはずの『退魔組』を狙う理由がないと見るのが普通でこのミヤジの言う通りだろう。
だが『ユウゲ』はライゾウ達が『退魔組』を狙った理由に見当がついていた。
それは『ヒイラギ』達が中でテツヤに伝言を頼まれたという事を門前でユウゲ達と話をしていた事が、どうやら『ライゾウ』達に聴かれでもしていたのだろう。
そしてあくまで『ユウゲ』の推測に過ぎないが、あのライゾウとフウギは『コウヒョウ』の同志と同じくテツヤの同志なのだろう。
それをヒイラギが頼まれた伝言を無視して田舎へ帰ろうとしたことで彼らは苛立ち、その報復とばかりに彼らを襲ったのではないだろうかと『ユウゲ』は考えるのだった。
(根拠などというモノは何もないが、コウヒョウ出身の者やそのコウヒョウと繋がりのある『同志』と呼ばれる者達は仲間意識がとんでもなく強いという噂は耳にしたことがある。その『同志』である『テツヤ』様から伝言を頼まれたにも拘らず、無視をしたという事が普通では考えられないかもしれないが、彼ら『同志』達にとっては何物にも代えがたい程の出来事だったのかもしれないな……)
そこまで考えたユウゲはそこである事に思い至るのであった――。
(待てよ……? それだけ繋がりが根深いものであるならば、ライゾウ様やフウギ様は必ず『コウヒョウ』の同志にこのことを伝えて『ヒュウガ』様達を救出しようと考えるのではないか? つまり増援を行った上で再びこの『妖魔退魔師』の組織に襲撃を行おうと考えるのであれば、これはイツキ様を外に出せる好機なのではないだろうか!)
彼はコウヒョウ出身というわけではないが、彼のイツキに対する思いもまた『信仰』に近いモノである。
その思いは『コウヒョウ』の者達の『同志』意識に負けずとも劣らないモノであった。
そんなユウゲは頃合いを見て彼らの襲撃に合わせて自分達も『妖魔退魔師』組織に乗り込んでイツキを救出しようと思いつくのであった。
――そして。
「ミヤジ殿! 貴方も私と同じ気持ちをイツキ様に抱いているのならば、是非聞いてもらいたい事がある……」
「ん?」
…………
そしてユウゲは同じ志を持っているであろうミヤジへ、先程の思いつきを口にし始めるのであった――。
……
……
……
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