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最強の魔王が異世界に転移したので冒険者ギルドに所属してみました。  作者: 羽海汐遠
イダラマの同志編

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1452/2231

1435.どうしようもない力の差

※加筆修正を行いました。

「むっ!」


「ほう……?」


「シゲン総長!」


 この場に現れた『ソフィ』『ヌー』『ミスズ』は三者三葉に違う反応をみせたのだった。


 ミスズはシゲンに注意を促す言葉をあげて、ヌーは『イツキ』の『瑠璃』と『金色』の併用の練度と効率度に着目して、ソフィはその先の膨大な『魔力』の高さから繰り出される『捉術』に意識を向けたのであった。


 ――しかし。


「……」


 シゲンは足を止めてチラリと背後を振り返ってイツキを一瞥すると、再び腰鞘の刀に手を充てる。


 ――僧全捉術、『』。


 再びイツキから『魔波空転(まはくうてん)』と呼ばれるモノに似た波状に魔力を飛ばす『捉術』が放たれるが、まるで前回の焼きまわしのように『シゲン』が何やら呟くと、その『捉術』がそっくりそのままイツキに跳ね返されていく。


「何度行おうとも結果は変わら……!?」


 シゲンはイツキの目を見た事で、自身の放つ言葉を最後まで言い終える事が出来なかった。


 ――何とこれまでとは違いイツキの両目が『青く』光り輝いていたのであった。


「アンタから飛ばした『魔力』を跳ね返す事を学ばせてもらったからな。アンタに出来て俺に出来ない道理はないだろう――?」


 ――僧全捉術、『』。


 再び最初に放った『イツキ』の捉術は、勢いを更に増してシゲンの元へ向かっていく。


 どうやらイツキの『青い目(ブルー・アイ)』によって元々の魔力が増幅されたのだろう。


 一瞬の内にイツキの目の前からシゲンの間合いにまで、恐ろしい速度で衝撃が駆け抜けていく。


 もちろんこの『捉術』もまた、イツキがこれまで使ったことがない『捉術』であり、それだけに留まらず『魔瞳(まどう)』も今開眼したモノであり、これまではイツキは使えなかった代物である。


 そしてこの『魔瞳』の開眼によって、イツキの『特異(とくい)』である『ラーニング』の発動と合致する事が出来て、相手の『反射』の力をそっくりそのまま真似る事を可能としたのである。


 奇しくも全く違う体現方法ではあるが、このシゲンの『反射』の『力』を『ラーニング』する事でイツキも疑似の『反射』を可能としたが、この『魔力』の『反射』の効果と似ている『捉術』は既に存在しているのであった。


 ――それこそは『最上位妖魔召士』にして、かつての妖魔召士の組織の『長』を務めていた『シギン』と、暫定の長を務めた『ゲンロク』の双方が使っていた『返魔鏡面掌へんまきょうめんしょう』という僧全捉術である。


 僧全捉術の『返魔鏡面掌へんまきょうめんしょう』の方は、確かにこの『反射』と同効力といえる相手の『力』そのものに干渉して跳ね返す代物ではあるが、このイツキの『反射』は、妖魔退魔師『シゲン』の扱っている『反射』を真似たものである為に、その『シギン』や『ゲンロク』の使う『返魔鏡面掌へんまきょうめんしょう』とは似て非なるモノであるといえた。


 そして真似た相手である『シゲン』の反射の『力』ともまた少し違っていて、この元々の『イツキ』の波状に放つ『魔力』の塊は更に勢いを増すという効力が付与されている。


 これは『魔瞳(まどう)』によって『速度の増幅』という形が体現されたものであり、跳ね返す前の『魔力』とは全く別の代物へと変貌を遂げており、殺傷能力も上がっているのであった。


「――なるほど。お主はやはり侮れぬ存在だったな」


 一度はイツキに対して『所詮はこの程度だったか』と失望の念を抱いた『妖魔退魔師』の総長『シゲン』であったが、自らの使っている『力』をそっくりそのまま使われた事で、再びその目は『興味』の光によって彩られているのであった。


 そして一気に迫りくる波状に放たれたイツキの『捉術』が間近まで迫ったのを確認した『シゲン』は、腰鞘から刀を抜くと、コンマ数秒で『瑠璃』をその得の刀に纏わせ始める。


 そしてその刀を真一文字に振り切って見せた――。


 ――刀技、『桜花統崩(おうかとうほう)』。


 それは多くの妖魔退魔師達や、あの九大魔王であった『イリーガル』の放つ衝撃波と同一の代物であるといえたが、威力の桁が違い過ぎた。


 まるで『暴風』という言葉はこの刀技の為にあるような、吹き荒れる程の風が付与された衝撃波が、全てを飲み込むかの如くイツキの『捉術』ごと呑み込んだかと思うと、その術者であるイツキをも呑み込もうと『桜花統崩(おうかとうほう)』の衝撃波は駆け抜けていく。


「……ば、化け物め!」


 イツキは自分の跳ね返した筈の『捉術』が、掻き消された上に衝撃波が向かってくるのを見て、脱力するように片膝を地面について、もうどうしようもないとばかりに苦笑いを浮かべるのであった――。

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