1406.妖魔退魔師ミスズの制止を振り切る悪魔達
※加筆修正を行いました。
ヌーやテア達が別の場所でそれぞれ戦い始めた頃。
妖魔退魔師の副総長ミスズも目の前で起きている『退魔組』の頭領である『サテツ』と悪魔と呼ばれる者達をこの場に使役した『セルバス』の戦いを止めようと動き出していた。
…………
そのミスズがまだ彼らの姿を見せる前。数多の襲い掛かってくる『悪魔』を蹴散らし続けていたサテツは、その『悪魔』のあまりの多さに辟易しながらも必死に数を減らしていたが、そこで『悪魔』達の行動が変わり、次々と自分に向かってきた後に自爆まがいの特攻を仕掛けられるのであった。
それでも何とか耐える『サテツ』の前に、遂にしびれを切らしたのか悪魔達の指揮官であろう男が自分に向かって飛び掛かってくる。
それを見たサテツは逆に好機だと判断してその『悪魔』を優先的に攻撃を行い消滅させたのだった。
――しかし。その瞬間に『サテツ』のこれまでの頑張り、その全て無駄にされるような出来事が生じるのだった。
『悪魔』達の指揮官であると『サテツ』が判断した『悪魔』を確実に仕留めた筈だというのに、何やら光りに包まれたかと思うと、その指揮官の『悪魔』が完全復活を遂げてみせたのであった。
「ば、馬鹿な……!? た、確かにこの俺がこの手で……っ!」
「ひゃはっ! ひゃははは!!」
蘇った悪魔は何かをサテツに告げていたが、その言葉は全くサテツの耳には入ってこなかった。
そして再びその『ロイトープ』と名乗っていた悪魔がサテツに向けて襲い掛かってくるが、再びサテツは『捉術』を用いて確実に殺してみせたが……――。
また光りに包まれて『ロイトープ』と名乗る指揮官の『悪魔』は笑いながら蘇ってくるのだった。
そしてそれだけではなく、最初に倒した筈の『悪魔』二体も完全に回復した状態で姿を現すと、今度は聴こえなくてもいいというのに、満面の笑みを浮かべていた『ロイトープ』の笑い声がサテツの耳に入ってくるのだった。
「も、もう勘弁してくれぇっ!」
そして再び戦闘が再開されて苦痛に歪みながらも次々と襲い掛かってくる『悪魔』の相手をさせられる『サテツ』だったが、そこに一人の人間が乱入してくるのだった――。
…………
「セルバス殿! サテツ殿! どちらも矛を収めて頂きたい。ヌー殿達の協力もあり『ヒュウガ』殿の捕縛に成功し、今回の任務は完全に果たしたものと私は判断しました!!」
「ミスズ殿……! おい『ロイトープ』! 襲わせている悪魔達を止めろ!」
「ふははは! 何を冗談を仰っているのですか、セルバス様! 先程までこの愉悦を貴方も楽しんでおられたではないですか! 我々『悪魔』の性分は『大魔王』の貴方もご存じの筈……! 私は最後まで楽しませていただきます!! さぁ、お前達、存分にやっておしまいなさい!」
「ちっ……! この馬鹿が……!」
契約内容がどういうモノかは契約を行っている張本人同士にしか分からないが、どうやら『セルバス』と契約関係を結んでいるこの『悪魔皇帝』は、少々厄介な性格をしているようであった。
サテツはミスズが乱入してきて口にした言葉の内容を信じられなかったが、ひとまずこの地獄のような展開は止まるかもしれないと淡い期待を抱いていた。
しかしどうやらそう上手くはいかなかったようで、これまで以上に『悪魔』達の襲撃の激しさが増したことで脂汗を流しながら『サテツ』は舌打ち交じりに、悪魔達を返り討ちにしようと再び『魔力』を拳に込め始めた。
――そんな時であった。
「さぁ、ペレアータにオグルエ! さっさと倒してし……まい?」
「――貴方がた悪魔という者達は、何度でも蘇るのでしたね? それでしたらもう容赦は致しません」
静かにミスズがそう口にしたかと思うと、得の刀に『瑠璃』を纏わせて『霞の構え』を取り始める。
そして上位悪魔の二体が同時に『サテツ』に襲い掛かっていった瞬間、一瞬で背後からその二体の手足を吹き飛ばしたかと思うと『サテツ』の前に立ちはだかるのだった。
「なっ……! み、ミスズ……殿!?」
『サテツ』は襲撃に備えて構えた拳を止めて、驚いた様子で敵である筈の妖魔退魔師の副総長の小柄な背中を見るのだった。
「ギッ……!!」
手足を跳ね飛ばされた上位悪魔達は、辛そうに顔を歪めながらもミスズを睨みつけていた。
「おい……、分かっただろ? そいつらの手足は俺が治してやるからもうやめとけ。その人は今の俺や、てめぇ如きが相手に出来る相手じゃねぇんだ。まだやるっていうならもうてめぇとの契約を切るぞ? てめぇに名付けを行っているのは俺だ。その俺が契約を切るって事がどういう事か分からねぇお前じゃねぇだろ?」
「わ、分かりました……。セルバス様の言う通りにします。お、お許しください……!」
『悪魔皇帝』の『ロイトープ』はそう告げると、一斉にこの場の悪魔達の姿が消えていき、その場には『ロイトープ』と、先程の上位悪魔二体だけが残されるのだった。
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