1397.妖魔退魔師ミスズVS妖魔召士ヒュウガ
※加筆修正を行いました。
最初の攻防の後、後方へと距離を取ったミスズであったが、今度は『ヒュウガ』が仕掛けるより先にミスズが動くのだった。
そして走りながら再び『瑠璃』を纏った得の刀を十字に振ったかと思うと十字に衝撃波が放たれた。
妖魔退魔師の多くの者達が『遠距離』で戦う時に使用する刀技の一つであるが、ミスズはそれに留まらず衝撃波の後を自ら追従するように駆けると、そのまま再び刀技『幻朧』を用いて刀の切先を隠しながら、真正面から突っ込んでいく。
「振り切って放った衝撃波に身を隠しながら再びその切先を隠した刺突を行うつもりですか? 少しばかり戦型を変えただけで同じ手段を用いるとは芸がないですねぇ? 残念ですが私にそう何度も同じ攻撃手法は通じませんよ?」
向かってくるミスズから視線を外さず、両手で手印を結び始めたヒュウガは、どうやら先程とは異なった新たな『捉術』を使おうとしているのだろう――。
ミスズは駆ける速度を全く緩めずにギリギリまでヒュウガの『捉術』の種類を見極めようとする。
魔力を可視化されない為に、感知が出来ないミスズは目で見て確認を行おうとしているのだろうが、それでも全く速度を緩めていないために、そのままヒュウガの間合いに入ろうとするかのように思える程であった。
ヒュウガも既に最初に用意した『捉術』の準備は整え終えていたが、向かってくるミスズに合わせて手印を結び直し、用意していた『捉術』とは違うモノを使おうと企んでいるようである。
ヒュウガは『遠距離』用の『捉術』から『中距離』用の『捉術』へと結び直して、遂にその『捉術』を発動させた。
その判断を下した理由には、ミスズが一度目の時に行った、全体重をかけて刺突行動を再び今回も取ると考えたからであった。
ミスズは『ヒュウガ』がようやく『中距離』用の『捉術』を行う決断を下したのを見計らい、そこから最速で行動を変更させた――。
ヒュウガとの距離のギリギリのラインを見極めながらミスズは、そこから一気に加速して先に放っていた衝撃波に恐るべき速度で追い越したかと思うと、そこで左足を地面に擦らせながら強引に減速を行う。
そして何と自身に向かって迫ってきている自らの衝撃波を『前』を向いたままミスズは飛び乗って見せたかと思うと、強引に真上に跳躍を行い強引に軌道修正を行って見せるのだった。
「なっ……!?」
信じられない曲芸じみた動きを見せたミスズに、タイミングを完全に狂わされて『魔力』を波状に前に飛ばす『捉術』を見当違いの方向へと放たされてしまった。
誰も居ない地上の場所に『ヒュウガ』の捉術が放たれたのを見たミスズは、器用に空中へと身体を押し上げて強引に軌道を変えた状態から、空中に居るままで脚をピタリと揃えて落下の場所を見定めると、更にそこからヒュウガに向けて衝撃波を放つ。
――まるで空を自由に飛べない筈の人間が、刀技を駆使して自在に空間を操るかの如く器用に身体を空中に固定させる。
そしてミスズはそのまま地上に居る時に放った衝撃波と、空から斜め下に居るヒュウガに向けて二度目の衝撃波の同時攻撃を行いながら、自らは更に『幻朧』で隠した得の刀の切先を斜め下に居るヒュウガに目掛けて放った。
「ば、化け物め……!」
一番最初の衝撃波を躱したヒュウガは、次に空中から襲い掛かってくる衝撃波を再び『魔力』を波状に飛ばす捉術『魔波空転』で相殺を成功させると、今度は本命である『ミスズ』の空からの襲撃に合わせてカウンターを行おうと『魔力』をそのままぶつけようと魔力圧を放つ。
流石にこの至近距離ではもう『捉術』を使う為の手印は間に合わないと判断して、魔力をそのまま単純にぶつけるだけに過ぎない『魔力圧』で対抗しようとしたようである。
だが、そんなやぶれかぶれのヒュウガの魔力圧に対して、不自由な空の上とはいっても自在に動けるミスズが既に準備を整えて得の刀に『瑠璃』を纏わせて攻撃準備万端で仕掛けているのである。
準備に大きな差が生じたこの結びの一番は『ミスズ』に軍配が上がったようであった――。
――刀技、『光撃裂火』。
ヒュウガの『魔力圧』を空中で回転しながら回避を行ったミスズは、地面に着地すると同時に『幻朧』で切先を隠した状態で二の刀技である『光撃裂火』でヒュウガの身体を斬りながら焼いてみせた――。
「ぐっ……!!」
ミスズはヒュウガを斬り付けた直後、そのまま動きを止めることなく身体を変転させたかと思うと、ヒュウガに背を向けたまま前進を行い、更にそこから無理矢理に身体を反転させながら重心をそのまま前傾させて抜き身の刀を鞘に戻し直すと、ぐいっと身体をさらに突き出すように前のめりに傾倒させる。
そのまま一気にヒュウガの元へ戻るように向かい、そのまま『抜刀の構え』から刀を抜いて、まだ前を向いているヒュウガを後方から迫り斬りつけた。
「かっ……はっ……!」
ミスズの冷酷な目はそのまま『ヒュウガ』を捉えて離さない――。
更にヒュウガの前へと躍り出たミスズは『抜刀の構え』から放った刀を返し始めると、刀を逆手に持ち直す。
――刀技、『疾風』。
妖魔退魔師の副総長『ミスズ』が編み出した『疾風』は、他の剣技や刀技の『追技』として使われる事が多い所謂『トドメの一撃』として使われる。
数多の『ミスズ』の刀技をその身に刻まれたヒュウガは意識を失い、白目を剥いて倒れそうになる。
ミスズはそれを見ても無表情のまま……――いや、冷酷な目を浮かべて更に『霞の構え』を取る。
そして再び『幻朧』で切先が忽然と消えたかと思うと、一気に身体が崩れていくヒュウガに向けて突進を行った――が。
刺突を行って絶命させようと突進したミスズだが、その切先がヒュウガの身体を貫く事はなかった。
何とギリギリのところで『ミスズ』は冷静さを取り戻して無理矢理に得の刀を止めてみせたからであった。
「私情を優先するのは、私のやるべき事ではない……か」
静かにそう告げるとミスズは鞘に刀を収める。
そしてその直後に白目を剥いて意識を失ったヒュウガは地面に崩れ落ちるのであった――。
『ブックマークの登録』や『いいね』また、ページの一番下から『評価点』を付けていただけると作者のモチベーションが上がります。宜しければお願いします!




