表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
最強の魔王が異世界に転移したので冒険者ギルドに所属してみました。  作者: 羽海汐遠
サカダイ編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

1409/2227

1392.ヌーの放つ魔神域の魔法

※加筆修正を行いました。

「――」(くそっ、ま、まずい!)


 テアは声を出せるようではあるが、身体が動かなくなったことを自覚する。


 どうやら『黄雀(こうじゃく)』にトドメを刺そうと考えていたテアは、自らに襲い掛かろうとする『キクゾウ』の存在に気づけなかったのだろう。


 最初から『黄雀(こうじゃく)』の近くで控えていたのであれば、また違ったのかもしれないが、少しでも距離を取られて姿を見せないだけで、その存在感の認識が出来なくなったようである。


 そして動けなくなったテアをもう脅威とは思わなくなったようで『黄雀(こうじゃく)』の元へ『キクゾウ』が姿を見せるのであった。


「何度か攻撃を受けたように思えたが、大丈夫か?」


「いや、どうだろうな……。外傷はそこまで酷いわけではないが、何かじくり、じくりと伝えづらい痛みのようなものを今も感じている。どうやら内臓系に直接干渉するような攻撃の類だったようだ」


「ほう……。珍しい攻撃手法だが、この者もどうやら人間ではないみたいだからな。どうやら我々とは違う攻撃を用いると考えて間違いなさそうだ」


 そう言って『キクゾウ』は『青い目(ブルー・アイ)』で動けなくなっているであろう『テア』を見ようと視線を向けたが、そこに居る筈の『テア』の姿が忽然と消え去っていた。


「な……、何!?」


 キクゾウが『魔瞳(まどう)』でテアの動きを止めて『黄雀(こうじゃく)』の元へ駆けよってから、まだ僅かと呼べる時間しか経ってはいない。


 それも先程まで何か呻いていたのを『キクゾウ』はしっかりと耳で聴いたばかりであった。その『テア』の姿がない事で周囲を見渡していた『キクゾウ』の元に声が届いた……気がした――。


 そして『キクゾウ』が最後にその声のする方を観ようと顔をあげたとき、目に見えたのは『黄雀(こうじゃく)』の顔ではなく、良く分からない黒い球体が自分に向けて襲い掛かってくるところであった――。


(何だこれは……!? か、回避を……!)


 キクゾウがそう決意を行って動こうとしたが、彼の身体は動く事はなかった。


 ――魔神域魔法、『(エビル)』。


 ――その()()()()は、大魔王ヌーの意思のままに動くモノ。


 ――その()()()()は、大魔王ヌーの残酷さを示すモノ。


 ――その()()()()は、大魔王ヌーの残虐ぶりを象徴するモノ。


 その黒い球体に呑み込まれた『キクゾウ』は、動くことを拒否されて『魔力』そのものを封じられた挙句、抵抗という抵抗を全て封じられたまま、この世を去る事になるのであった――。


「そ、そんな馬鹿な……! 主……!」


 大魔王ヌーの『禍』によってこの世から強制的に排除された『キクゾウ』を見て、彼に使役された妖魔である『黄雀(こうじゃく)』は驚きの声をあげるのであった。


 …………


 キクゾウの『青い目(ブルー・アイ)』によって動けなくされたテアを『逆転移』を用いて自分の近くまで『テア』を移動させた後、スタックさせていた『極大魔法』用の魔力を用いた魔神域の魔法である『禍』でキクゾウを葬ってみせた大魔王ヌーであった。


「おい、大丈夫かよ?」


 そして『キクゾウ』を葬ったヌーは、自身の隣に居る『テア』に声を掛けるのだった。


「――」(ああ……。またお前に助けられちまったよ)


「クククッ! てめぇら死神は確かに何度殺しても蘇られるみてぇだが、あの妖魔召士って野郎が行ったみてぇに『魔瞳(まどう)』で動けなくさせて放置しとけば、生き返れねぇみたいだからな。次からは気をつけろよ? 俺ら魔族が『代替身体(だいたいしんたい)』を用意していても対策されるような時代だ。お前ら死神も油断してると飼い殺されちまうぞ」


「――」(ちっ! 全く、下界の存在も侮れないな……)


 ヌーとテアがそんな言葉を交わしていると、呆けた表情で『キクゾウ』の居た場所に視線を送っていた『黄雀(こうじゃく)』が、意識を戻してヌーの方に視線を向け始めるのだった。


「――」(おい、ヌー。どうやらアイツ相当お前に苛立っているようだぜ? 恐ろしい殺意を向けていやがる)


「ククッ! 上等だよ。返り討ちにしてやるぜ。テア、お前は下がっていろ」


「――」(馬鹿言うなよ。私も一緒に戦ってや……る!?)


 まだ喋っている最中だったテアだが、最後まで言い切る前にヌーに抱きかかえられたかと思うと、その場から飛翔するヌーであった。


 そしてテア達が居た場所に恐ろしい速度と殺傷能力を持った衝撃波が突き抜けていくのであった。


「てめぇなら確かに何度死んでも戻ってこれるかもしれねぇが、あの野郎を殺す事は出来ねぇだろ。戻ってきても直ぐにやられるくらいなら、最初っから後ろに下がってろ。あの野郎は俺が仕留めてやる」


「――」(ちっ……! 分かったよ!)


 ヌーの言う通りだと自覚したテアは、素直に頷いて見せるのであった。 


 ……

 ……

 ……

『ブックマークの登録』や『いいね』また、ページの一番下から『評価点』を付けていただけると作者のモチベーションが上がります。宜しければお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ