表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
最強の魔王が異世界に転移したので冒険者ギルドに所属してみました。  作者: 羽海汐遠
サカダイ編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

1403/2233

1386.ヒュウガへの報告

※加筆修正を行いました。

 空からジンゼンを抱えて降りてきたナギリを見て、ヒイラギはその場でひっくり返るように尻もちをついた。


「どうやらそっちも片付いたようだな?」


 そして時同じくして『ヤヒコ』もまた、前方にいたランク『5』の妖魔と、それを使役した『妖魔召士』を片付けて戻ってきたようであった。


「ええ。それよりも『ヤヒコ』さん。妖魔召士の方はちゃんと生かしてますか?」


「もちろんだ。副総長の命令を忘れたわけじゃないさ。それよりそっちはまだ残っているようだが」


 そう言ってヤヒコがナギリから視線を尻もちをついて倒れているヒイラギへと向けるのだった。


「う、うう……!」


 どうやらヒイラギは『妖魔退魔師』と戦う事が如何に馬鹿げていることなのかを改めて理解したのだろう。


 『退魔組』内では圧倒的な魔力を誇り、同じ退魔士達からは尊敬の目を向けられるヒイラギ達『特別退魔士(とくたいま)』だが、そんなものは結局『妖魔退魔師』の前では何の役にも立たない。


 禁術を用いる事で一時的に下位の『妖魔召士』と並ぶような『式』を手にする事が出来るようにはなったが、それでも『妖魔退魔師』が相手とあっては、あっさりとやられてしまう。それが現実のようであった。


「何やら絶望しているところ悪いが、お前も縛らせてもらうぜ? これも任務だからな悪く思わないでくれ」


 そう言いながらナギリは抱えていた『ジンゼン』をヤヒコに預けると、ゆっくりとヒイラギの元に近寄ってくる。


「俺に逆らうつもりはない。勝手にしてくれ」


 あんなに有利な状況で戦局を覆されたとあっては、もうヒイラギは抵抗する気力も湧かなかった。


 そもそも『魔力枯渇』を起こしかかっているヒイラギには最初からそんなつもりもないようだったが。


 その言葉を聴いてナギリは頷くと、この場に居る『退魔組』の者達と『ヒュウガ』一派の妖魔召士を全員捕縛するのであった。


 クキやジンゼンを含めた『退魔組』の護衛剣士達も全員が意識を失ってはいるが、誰も死なせてはいない。


 あれだけの数を相手に全員を生かして捕らえる難しさは、いったい如何程であろうか――。


 それを行ったのが『組長格』ですらない妖魔退魔師達だというのだから、黙って縛られながらも胸中では『こんな化け物集団を敵に回して勝てるはずがなかった』と改めて実感する『特別退魔士(とくたいま)』の『ヒイラギ』であった。


 ……

 ……

 ……


 スオウやナギリ達がまだ戦っていた頃、森の奥側の洞穴で報告を待っていた『ヒュウガ』は、自分の元に近づいてくる魔力を感知するのだった。


 その魔力の持ち主が誰のものかを察したヒュウガは、警戒心を解いてその魔力の持ち主がこの場に姿を現すのを待つのであった。


 そしてヒュウガが感知してから数分後、待っていたその魔力の持ち主の『キクゾウ』が『黄雀(こうじゃく)』を連れ立ってヒュウガの前に姿を見せるのであった。


「お待ちしておりましたよ『キクゾウ』。ある程度の事情は『ジンゼン』から伺いましたが、貴方は魔力枯渇を起こしていた『ジンゼン』の代わりに『妖魔退魔師』を屠って頂いていたようですね?」


「え? い、いや……、それが……」


 その妖魔退魔師と戦って敗れそうになった事を伝えにこの場にやってきた『キクゾウ』は、出鼻をくじかれた格好となってしまい、言葉に詰まるのであった。


 キクゾウからいい知らせが聞けるだろうと、信じて疑わなかったヒュウガだったが、歯切れの悪い返事をしたキクゾウに眉を寄せるのだった。


 そして一体何があったのかを詳しく追及しようとしたところに、キクゾウの傍にいた『黄雀(こうじゃく)』が先に口を開くのであった。


「ヒュウガ殿。確かに我々はあの忌々しい天狗の『王連』の代わりに『妖魔退魔師』の襲撃に向かったのだが、情けない事にこの通り、返り討ちにあってしまったのだ」


 そう言って『黄雀(こうじゃく)』は自身のなくなった方の腕を見せながら『キクゾウ』の代わりに報告を行うのであった。


「なっ……!? そ、それは誰にやられたというのですか? ま、まさか……、私の命令に背いて『ミスズ』殿を襲撃したわけではないでしょうね!?」


 『黄雀(こうじゃく)』から事情を聞かされたヒュウガは血相を変えながら、そう口にするのだった。

『ブックマークの登録』や『いいね』また、ページの一番下から『評価点』を付けていただけると作者のモチベーションが上がります。宜しければお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ