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最強の魔王が異世界に転移したので冒険者ギルドに所属してみました。  作者: 羽海汐遠
サカダイ編

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1366.捜索を続ける者たち

※加筆修正を行いました。

「それでしたら、ここで『ミスズ』様を待って合流を行いましょうか?」


 二組の隊士がそう提案するが、サシャはそこでは即答せずに首を捻って考え始めるのだった。


「それは止めておいた方が良いかもしれないわね」


「え……? 何故です?」


「さっきの妖魔召士と妖魔の『空』の上での会話を口元の動きで確認をしていたのだけど、全部は読み取れなかったけど、一部分は内容を理解出来たのだけど、どうやら奴らは『ヒュウガ一派』の中でも相当に役割を担っている連中だったみたいでね。ここを離れた後に『ヒュウガ』殿に報告を済ませた後は、どうやら『スオウ』組長か『ミスズ』副総長の方へと向かって戦おうとしていたようなのよ」


 何事もないかのようにそう口にする『サシャ』だったが、あんな空高くに居る連中の唇の動きから一部とはいっても『会話の内容』を把握出来ていたという事に、この場に居る他の者達は驚きを隠せなかった。


「スオウ組長の方に向かうのならば問題はないでしょうけど、もしミスズ副総長が戦いになられるのなら、我々はその邪魔をしない方が良い」


「む、むしろ我々がミスズ様に加勢した方が良いのではないでしょうか?」


 二組の隊士は当然の疑問を口にしたが、どうやら『特務』に所属する『カヤ』と『タツミ』は『サシャ』の言葉の意味を理解したようで口を挟まなかった。


「貴方はうちの組の所属だし、直接ミスズ様の戦闘を見たことがないようだから、分からなくても仕方ないのでしょうけど、ミスズ様に加勢は不要なのよ。むしろ我々が居る事でミスズ様の戦闘の邪魔をしかねないのよね」


「そ、そんな事あり得るんですか?」


 この場に居る者達は全員が腕に覚えのある『妖魔退魔師』である。二組の隊士は自分は強いと堂々と言うつもりはないが、それでも『サシャ』副組長程の力量であれば、邪魔にはならないだろうと考えるのだった。


「最高幹部の『組長格』の方々や『副総長』に『総長』達を私達と同じように考えては駄目よ? まだスオウ組長は我々と協調する戦い方をして下さるけれど、ヒノエ組長やミスズ副総長はもう住む世界が違う。足手まといになるとかそういう話じゃなくて、副総長達の戦い方の邪魔にしかならないのよ」


「は、はぁ……。な、なるほど?」


 まだよく理解が出来ていない様子のサシャの部下だったが、副組長がここまで仰るのならば従おうと、渋々ながらに頷くのであった。


「ではカヤ殿を含めた上でこのままこれまで通りに捜索を続けながら、スオウ組長達の後を追いかけるという事でよろしいでしょうか?」


「ええ。そうしましょう。道中で妖魔召士を見つけたら単独で戦おうとせずに、大声で仲間に知らせなさいね」


「分かりました!」


 ひとまずは仲間に声を掛ける事を優先すれば、たとえ場を支配するような『妖魔召士』の術や魔瞳を用いられたとしても、全員が一網打尽になる確率は下げられるだろう。


 そう考えたサシャはカヤをチームに加えながら『ヒュウガ』を探す為に森の捜索を再開するのであった。


 ……

 ……

 ……


 そして『妖魔退魔師』側の『ヒュウガ一派』の捜索で先頭を歩いている『スオウ』のチームは、遂に『加護の森』の最奥付近まで近づいてきていた。


 これまで遭遇した『妖魔召士』の『式』とみられる妖魔は全て倒してきたが、肝心のその使役者である『ヒュウガ一派』の『妖魔召士』の姿は見られなかった。


 どうやら『妖魔召士』側も先頭グループが『隊長格』の『スオウ』が居る事に気付いている上で『式』をぶつけながら今後は腰を据えて戦うか、それとも避けるかを考えながら様子を窺っているというところであろう。


「スオウ様。このまま真っすぐ奥へ向かうと『加護の森』を出て、我々『サカダイ』の町が管理する『森』の方へと出てしまいますが……」


「うん。そうなんだよね。怪しい洞穴なんかも色々調べてみたけど奴らが潜んでいる様子はなかったし、もしかすると俺達はあえて避けられているのかもしれないね」


 スオウは見た目は背も低く童顔で、元服前の子供のようにしか見えない。


 しかし彼はこれまで数多くの妖魔を討伐して『ケイノト』や『サカダイ』の町に生きる者たちを守ってきた『妖魔退魔師』の『組長』なのである。


 そんな『スオウ』の事を『妖魔召士』達はだれも侮ってはいない。これは『ゲンロク』が暫定の長を務めていた『妖魔召士』組織だけではなく、離反した『ヒュウガ一派』や『イダラマ一派』それに、前時代の多くの引退した『妖魔召士』達のだれをとっても同意見を述べるだろう。


 それほどまでに『スオウ』という組長は『妖魔退魔師』組織に貢献してきており、その名を全国に轟かせてきているのであった。


 ヒュウガ一派の妖魔召士たちも『スオウ』を自由に探させたくはないと考えてはいるのだろうが、精々今は『式』を嗾けることくらいしか動きを見せられないという事であり、このスオウの前に『妖魔召士』達自身が姿を現す時は、本腰を入れて『組長格』を狙いにきた彼らが隠していた切り札を切る時であるだろう。


 ――そしてその時が来るのは、そこまで遠くない未来の事であった。


 ……

 ……

 ……

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