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最強の魔王が異世界に転移したので冒険者ギルドに所属してみました。  作者: 羽海汐遠
サカダイ編

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1347.キクゾウの観察力と、特務の洞察力

※加筆修正を行いました。

 この森で最初の襲撃が『妖魔召士』側から行われてから、徐々に両組織の戦いは激化していった。


 ヒュウガの思惑とは外れた戦闘となったが、それでも『妖魔退魔師』側と違って『妖魔召士』側は、明確に相手の居場所を突きとめる事が『魔力』の探知によって可能であるために、有利を活かして一方的に攻め立てる事が可能だと考えていた。


 しかし実際に戦闘が始まると、その考えていた有利差とは裏腹に、拮抗する戦闘となり激化していったのである。


 拮抗する要因となったのはやはり『妖魔召士』の想像以上に『妖魔退魔師』の各『組』に属する幹部達の洗練された動きがあったのと、洞察の優れた『特務』の隊士がある程度の距離まで接近してきた『式』や『妖魔召士』達に気づいて直ぐに指示を出せている事が大きいだろう。


 ヒュウガ一派の『中位妖魔召士』達の出している『式』や放たれる『捉術』。それに対抗する妖魔退魔師達。この激化した戦闘の均衡が崩れる時が来るとしたら、それはやはり今のところ直接戦闘に参加していない『スオウ』や『ミスズ』といった妖魔退魔師の主戦力達や、その妖魔退魔師側に加担する形でこの場に居る大魔王『ヌー』。そしてヒュウガ一派の『キクゾウ』や『上位妖魔召士』達が挙って表舞台に出て来た時となるだろう。


 それを考えれば森の中でのこの激しい拮抗状態の戦闘は、まだまだ始まりに過ぎないだろう。


 ――そして遂にこの戦いを大きく左右する程の『妖魔召士』が森の戦場の中心に姿を見せ始めた。


 妖魔ランク『8』に到達している『黄雀(こうじゃく)』という『雀』の妖魔を『式』にしている男が、ジンゼンの代わりに行動を開始したのである。


 その妖魔召士の男の名は『キクゾウ』。ヒュウガの右腕にして『妖魔召士』組織の中でも最高幹部の一人であった男である。


 魔力の高さでは『ヒュウガ』や『イダラマ』、それに『ゲンロク』達には及ばないが、それでも『王連』を『式』にしている『ジンゼン』よりも総魔力の値は高く、情報を集める事にかけてはヒュウガ一派の中でも彼の右に出る者は居ない。


 多くの『鳥類』の妖魔を同時に使役して、数多くの情報を空から集めては、その仕入れた情報から直ぐに作戦を立てる有能な参謀であった。


 ヒュウガの命令では『ジンゼン』の使役する『王連』で妖魔退魔師を襲わせて、相手の動きを遅らせるという話ではあったが、現状の『ジンゼン』の魔力では、それ程長くは『使役』していられないのは火を見るより明らかであった。それにどうやらこの森に居る『妖魔退魔師』達は、相当に優れた隊士達のようだった。


 キクゾウは『結界』を用いた上で、鳥の妖魔で『空』の上から『中位妖魔召士』達と戦う『妖魔退魔師』達の行動を観察していたが、何やら三人から四人で行動を共にする妖魔退魔師のグループの中に、一人だけが敵に襲い掛かるのではなく、相手の潜伏する位置や『捉術』を掛けようとする妖魔召士達の居場所を割り出して、回避や先手を取るように行動を促す存在が紛れているのを確認したのであった。


「奴ら妖魔退魔師に『魔力』を探るような真似は出来ない筈だが、どうやら物音や動く気配を強く意識しながら『目』や『耳』を使って、我らの動きを探っているのか。遠く離れた場所では、我ら妖魔召士ほどまでに精密に居場所を突き止められるような真似は出来ないようだが、少しでも戦闘が行える間合いまで近づけば、こちらの有利差を潰されてしまう。非常に厄介な妖魔退魔師達が、各グループに紛れ込まれている」


 ――それはミスズが長を務める『特務』と呼ばれる者達の事であった。


 序戦では『カヤ』という女性の特務の隊士が、妖魔退魔師の『組』の幹部達にその存在感を示して見せていたが、他の『特務』に属する隊士達も各々が、似たような洞察力を使って戦場を徐々に有利に運んで行っている。


 キクゾウはこの『特務』に属する妖魔退魔師達こそ、最初に潰さなければならないと空の上で観察を積み重ねていく事で、徐々に確信していくのだった。


「ヒュウガ様や、ジンゼンの居る洞穴の近くにはまだ、奴らは誰も近づいてきてはいない。この面倒そうな妖魔退魔師を含めて、奴らはどうやらこちらの『捉術』で一網打尽にはされないギリギリの範囲を見定めながら、ゆっくりとラインを上げていっているようだ。進行速度具合は大したことは無いが、確実に一歩ずつこちらの逃げ道を削っていく戦い方だな。やれやれ、緻密性に重視した戦場の足の運び方だ。どうやら向こうの指揮を執っている者は相当に場慣れをしている者のようだ。ふふっ、まぁその指揮者は、十中八九が副総長ミスズ殿だろうがな」


 キクゾウは直ぐにその場を離れたかと思えば、空の上からあらゆる戦場の様子を見て回り、他の場所も『鳥類』の妖魔に観察させて情報を蓄積させていく。


 彼自身は『妖魔退魔師』の進行速度を計算しながら、今はまだ少しでも情報を集める局面なのだとばかりに、焦る様子を見せずに確実に情報から作戦を組み立て始めて行くのであった。

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