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最強の魔王が異世界に転移したので冒険者ギルドに所属してみました。  作者: 羽海汐遠
サカダイ編

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1360/2241

1343.とある森の中での会話

※加筆修正を行いました。

 加護の森の中で遂に『妖魔退魔師』組織と、ヒュウガが束ねる『妖魔召士』の組織との戦闘が開始された。


 最初に行われた『戦闘』の場所は、ヌーと行動を共にしているミスズ達の位置からはだいぶ離れた場所で行われたようだが、ミスズ達の位置から離れているだけであり、妖魔退魔師の行動は最初にミスズが指示をした通りに近くに別の仲間が直ぐに駆けつけられる位置をしっかりと保ちながら、行動範囲を移動しているようであった。


 このつかず離れずの数珠繋ぎのような位置確保を行ながら索敵を続ける理由は、敵となる『妖魔召士』側が特殊な攻撃方法。つまり『捉術』と呼ばれる技法と『魔瞳』を使ってくるであろう事を踏まえての行動であった。


 この戦闘行動指針を定めたミスズ自身は、この場に居る他の隊士達と同様に『妖魔退魔師』組織と直接戦った経験などはないが、互いに肩を並べて『妖魔』を相手に戦った事はある。


 その時の経験から『妖魔召士』がどういった攻撃を行うかの手立てとなる手段や、あらゆる『式』に施す『術式』というものを情報として頭に入れている。


 その情報を省みて相手が嫌がる距離を保つ事を優先して、このような距離感を部下達に取らせているのだった。


 しかしあくまでミスズの持つ『妖魔召士』の扱う戦闘知識は、基本となる『捉術』と『魔瞳』と『式』の妖魔に施す『術式』までである為、前時代まで扱ってきた『妖魔召士』達の対抗策しか取れてはいないと彼女自身が理解していた。


 当然この森に居るであろう『ヒュウガ』という男も、すでに先代となった『妖魔召士』の長であった『ゲンロク』も、過去の『術式』から新たに『術式』を改変、改善を行って更なる『術式』の『技法』を生み出しているだろうから、過去の情報に頼りきることは危ないと分かっている。


 ――そして特に懸念すべき事は『式』に対して施される『禁術』の類だろう。


 前時代までの『妖魔召士』は妖魔を『式』として使役はするが、大半の妖魔召士が自らの『魔力』を用いて『捉術』を主戦力としていたものだが、ゲンロクの時代から『妖魔召士』達の戦闘方法はガラリと変わってしまった。


 もちろん『エイジ』のような昔気質な『妖魔召士』も居て、妖魔召士の全員の戦い方が完全に変わったという意味ではないが、今回の『ヒュウガ』達のような妖魔召士に、既に脱退を果たして前回は『サカダイ』にまで足を運んできた『イダラマ』殿も従来の戦いをする妖魔召士ではないのは確かである。


 今はまだ前時代までの妖魔召士か、ヒュウガやイダラマのような戦い方を行う妖魔召士が主流になるか、そこまでは見当が付かないが、まず間違いなく選択肢はこれまでのように一つではなくなるであろう。


 そして何よりも今回で『妖魔退魔師』と『妖魔召士』が戦うという前例が、この『ノックス』の歴史に生まれてしまった。今後は事ある毎にこういう前例を踏まえて『抗争』も視野に入れて会合を行わなくてはならなくなるであろう。


「おい、物思いに耽るのは勝手だがよ? 襲われても知らねぇぞ? 何かあれば俺に助けてもらえると考えてんなら、そんな考えは今の内に捨てておくんだな」


「ふっ、分かっていますよ。そんな甘い考えは持ってはいませんし、それにたとえ考え事をしながらであっても、十分に対処を行える程度には、自信は持っていますのでご心配なく」


 ヌーは足を止めてミスズの方を振り返ると、その自信が虚仮脅しなのかどうかを探ったが、どうやらミスズは本心からそう思っているのだとヌーは理解をするのだった。


「……可愛げのねぇ女だが、その自信の有り様は嫌いじゃねぇよ」


「それはどうも」


「ちっ!」


 ミスズがズレ落ちかけている眼鏡をくいっと上げながらそう言うと、ヌーは舌打ちをして再び前を向いて歩き始めるのだった。


「――?」(ヌー。私は可愛げがある女だろ?)


「うるせぇ。お前は黙っていろ」


「――」(照れるなよ! おい、待てよヌー!)


「ふふ、仲がよろしいようで何よりです」


 ミスズは前を歩く『ヌー』とその後を必死に追う『テア』を見て、温かい目を向けながら彼女もついていくのだった。

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