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最強の魔王が異世界に転移したので冒険者ギルドに所属してみました。  作者: 羽海汐遠
サカダイ編

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1346/2226

1329.ソフィと出会うキョウカ組長

※加筆修正を行いました。

 キョウカがケイノトの門で気絶して倒れていた『三組』の隊士の『サブロウ』を発見した後、彼女は彼を休ませようと考えたのだが、ここから直ぐ傍にある『ケイノト』には、まだ『退魔組』に合流しようとしている『妖魔召士』達が残っているかもしれないと考えて、先程南の森で別れたばかりの『ヒサト』が向かった旅籠町へ一度戻ろうかと『キョウカ』が考えていた矢先の出来事だった。


「え?」


 ――キョウカは一瞬で彼女の居る場所の上空を何かが吹っ飛ばされて、その僅かコンマ数秒後に、再び別の何かが通り過ぎて行ったのを感じて空を仰いだ。


「い、今のは何?」


「きょ、キョウカ組長! 行ってみましょう。もう俺は大丈夫ですから!」


 サブロウも目が覚めてからキョウカと言葉を交わしていた事で、ようやく意識がしっかりして普段通りに会話が行えるようになっていた。


 そしてキョウカと同様に今空を通り過ぎて行った何かが気に掛かり、追いかけようと提案をするのであった。


(今の彼を向かわせることは良くないかもしれないけど、確かに何かを確認しておくことは重要だと感じた。それにこのまま彼を連れて『ケイノト』に行くのも危険なことに変わりはないし、それなら今のを追いかけて、何も無ければ『旅籠町』へそのまま向かえばいいか……?)


「分かった……。行ってみましょう!」


 キョウカは今の自分の残っている体力的に何かあってもまだ、サブロウを守り立って戦えるだろうと判断して一緒に追いかける事を決断するのだった。


 同時に頷いて二人はそのまま急いで、ソフィ達の後を追いかけて南の森へと向かうのであった。


 …………


 そしてキョウカとサブロウの二人が南の森についた頃、森の変わり果てた姿に唖然とするのだった。


「い、いったい何が現れたというの? 私があの天狗と戦い終えて森を離れてから、そんなに時間が経っていないというのに、全然違う場所に居るみたい……」


 ケイノト方面の森の木々は全てが風圧で薙ぎ倒されて、奥側までもが見渡せる程の平地と化していた。


「きょ、キョウカ組長! こちらに!」


「何か見つけたの?」


 キョウカが呆けた様子で大木が転がっている様子を見ていた間に、かなり先へ向かって色々と見て回っていた様子のサブロウが、森の入り口まで戻って来てキョウカにそう告げるのだった。 


 サブロウに連れられて森の奥に進んでいくと、更に驚愕の景色がキョウカの目に飛び込んでくるのであった。


 ――森の地面に至る所に大きな亀裂が入り、地面が真っ二つに割れて森が分断されていた。


 まるで地盤沈下が起きたかのように地面に大穴があいていて、その場所の中心はキョウカ達が居る場所からは底が見えなくなっていた。


「こ、これ戦闘の跡なの? さっき大空を飛んで行った何かが、この僅かな一瞬で森をこんな風に変えた!?」


 キョウカは信じられないといった表情を浮かべながらそう告げる。


 あの『王連』の神通力も信じられない現象であったが、この森の原型を留めていないような有様をたった数分で作り出したとしたら比較にもならない驚きである。


 向こう側へ渡るのも大変な程の分断された地面に近づき、キョウカ達はその空洞となっている崖下と呼べる大穴の中を覗き込む。


「か、雷が落ちてもこんな大穴はあきませんよね……?」


 サブロウが目の前の信じられない光景を見ながら、そんな冗談を口にするのだった。


「よ、妖魔の仕業かもしれない……! サブロウ! 警戒だけは絶対に怠らないでね!」


「え……? は、はい!」


 単なる災害が起きてこんな風に大穴があいているのであれば、サブロウのように悠長に言葉を口にしていてもいいが、もし先程の上空を通った何者かの戦闘でこうなったのだとしたら、確実にランクは『8』を上回る妖魔達の仕業なのは間違いない。


 ――こんな地面を真っ二つに分断させる程の芸当を出来る者は、破壊力を自慢にしている『ヒノエ組長』ですら不可能である。


 つまり人間ではなく妖魔の仕業なのだとしたら、あの『王連』を上回る脅威が現れた事に他ならない。


 キョウカはまさか『王連』の他にランク『8』に匹敵。もしくはそれ以上の存在と連戦する可能性が出て来るとは思っていなかったため、流石に顔を険しくさせながら底を覗き込むのであった。


「!?」


 やがて大穴を覗き込んでいたキョウカ達の目は、何かが浮いてくるのを捉えるのだった。


「組長!?」


「サブロウ! 私の後ろへ居なさい!」


 瞬時に部下を下がらせたキョウカは、大太刀を構えながら『瑠璃』のオーラを纏わせ始める。


 ゆっくり、ゆっくりと大穴の中から二体の人型の存在が浮き上がってくる。


 片方の存在は白い狩衣を着ている人間を抱えて出て来た。


(狩衣を着ているという事は、あの男が抱えているのは『退魔組』の者か?)


 そして先に出て来たソフィを訝しむように見ていたキョウカだったが、その後に出て来た全身が真っ白い『人型』の存在を見て目を丸くする。


(な、何だあれは……!? 絶対に人間ではないのは分かるが、これまで見て来た妖魔のどれとも違う! そ、それに何か神々しさすら感じられる。一体この者達は何なの!?)


「何だお主らは?」


「そ、それはこちらの台詞よ。森をこんな風にして一体何が目的? あ、貴方が抱えているのは人間のようだけど、まさか人を襲いに『山』から下りてきた妖魔なのかしら……?」


「――――?」(弁えなさい人間。この方にそんな敵意を向けるのは私が許さないわ。消滅させるわよ?)


 女型の姿の白い存在が何を言っているかキョウカには分からなかったが、何かを口にした瞬間に、それまでとは比べ物にならない威圧が放たれたことを明確に悟るキョウカだった。


 動けない程の威圧ではないが、少なく見積もってもランクが『6』以下は有り得ないと思えるキョウカであった。


 そして威圧を放ってきたということは戦う意思があるのだろうと判断したキョウカは、いつでも飛び出せるように得の刀をぎゅっと握りしめて大きく構えをとるのだった。


 その瞬間であった――。


「我はソフィという者だ。ミスズ殿にとある用事を頼まれて、ヒノエ殿と共にこのケイノトの町にきたのだが、お主達も似たような服装をしておるし、どうやら『妖魔退魔師』なのではないか? もしそうであるならば我らは敵ではないと断言しよう」


 そう口では告げるソフィであったが、キョウカの前で突如彼が纏った『三色の鮮やかなオーラ』に、バチバチと火花が散っている姿は、戦うのならばそれはそれで構わないといった様子が見て取れるのだった。


 そしてキョウカはこの姿を見せつけられたことで、必死に身構えたままの態勢ではいるが、これまでの経験なのか、それとも彼女の本能なのか。どちらかまでは分からないが、彼女はここで戦うとろくなことにならないと感じるのであった。

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