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最強の魔王が異世界に転移したので冒険者ギルドに所属してみました。  作者: 羽海汐遠
サカダイ編

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1261.落胆と大きな溜息

※加筆修正を行いました。

 部下と話をした事で気分を良くしながら『旅籠町』へと入ったヒノエ組長だが、入り口近くにある予備群の屯所の建物に近づくと、何かに気づいたようで眉を寄せていく。


「これはまた()()()『結界』が張られているな……? 妖魔召士の連中の『結界』のようでもあるが、何かこれまでとは明確に違う『結界』のようにも感じられる」


「ええ、確かに。我々は妖魔召士のように場に満ちる『魔力』を測るような真似は到底出来はしませんが、それでも感じる違和や経験である程度理解出来ます。これは間違いなく『妖魔召士』の連中とは違う、もっと邪悪な気配ですね」


 ヒノエの言葉に同調する隊士達だが、彼らも妖魔退魔師の幹部達であり、これまで何度も死線を潜り抜けて来た経験を持つその道の達人達である。どうやらこの屯所周辺に二つの異なる『結界』が張られているのを察する事が出来たようだった。


「確かに嫌な気配は感じるが……、別段やばいって言う感覚までは感じられないな。入る事で危害を加えられるようなモノじゃない事は確かだ」


 そう言うとヒノエはあっさりと『結界』の内側へと足を踏み入れて、そのまま予備群の屯所の中庭に入って行ってその先の戸を叩き始めた。


「御免! 誰か居ないか? 手前は妖魔退魔師『ヒノエ』だ。本部の命令で『旅籠町』の屯所の調査を行いに来た。誰か居たら返事をしてくれー!」


 ヒノエが大声で屯所の戸を開け放ちながらそう告げると、直ぐに中から慌てて人が集まってくる足音が聞こえた。


「お、お待たせいたしました!」


 『旅籠町』の屯所に居る予備群の隊士達が勢ぞろいしたかと思うと、ヒノエ組長の姿が目に入ると同時に全員が頭を下げた。


「おう! 急に来ちまって悪いな。こっちも火急の用件だったもんでよ、何も連絡する余裕がなかったんだ」


「は、はぁ……。ひ、ひとまず中へどうぞ! 本部のお連れの方々も!」


 『一組』の面々がヒノエ組長に視線を送ったが、そのヒノエ組長が軽く頷いた為に一同は、予備群達に軽く挨拶をしながら中へと向かうのだった。


 …………


 大広間に通されたヒノエ達は座布団の上に腰を下ろすと、直ぐに本題に入り始めた。


「それでここに来た理由だが、お前らのところの隊長……だった『コウゾウ』の事だ」


 ヒノエがそう告げると、予備群達は直ぐに頷きを見せた。流石にこのタイミングで本部から組長格が来るという事に理由があるとすれば、ヒュウガ一派の襲撃の一件以外には関連性が思い当たらない。 


「私達も知ったのはつい最近の事でな? お前のところの副隊長だった『シグレ』隊士が『サカダイ』の本部に来た事で判明したんだが、ヒュウガ一派がこの屯所を襲ってコウゾウを殺めちまったらしいな?」


「はい……。間違いありません。我々は実際にコウゾウ隊長が殺められた後の姿を確認しております……。やった主犯格はヒュウガ一派の妖魔召士です」


 ヒノエは悔しそうな表情を浮かべている予備群の男の言葉に頷くと、シグレがサカダイの妖魔退魔師の本部で話をしていた内容と旅籠町の予備群達の話を照らし合わせながら、順々と事実確認を進めて行く。


「つまり奴らがここを襲撃したのは、地下の座敷牢に閉じ込めている仲間を回収するのが目的だったからで間違いねぇな? それでそれを阻止しようとお前達やコウゾウが抵抗して、それで奴らに殺められちまったという事か」


「恥ずかしながら我々は妖魔召士達の放った妖魔の『式』に全員気を失わされちまいまして、気が付いた頃には奴らは居なくなっていて……、その地下の牢には、た、隊長が首を落とされて倒れていたんです」


(こいつらが殺されずに気を失っているだけなのに対して、コウゾウの奴が首を落とされちまっていたって事は、コウゾウはこいつらを人質に取られちまって、奴らに上手く雁字搦めに嵌められちまったって事だろうな)


 ヒノエは畳の上に置かれている旅籠宿用の大きめに用意されている座布団の上で、お尻を動かしながら胡坐をかき始める。


(コウゾウは役職的には『()()()()()()()』で、地位的にはそこまで組織でも高くない立場ではあったが、既にやつの潜在的な力に気付いていたのは、私やクソガキだけじゃなくて、あの『キョウカ』殿も気付いていた。こんな地方の護衛なんかを希望していなければ、今頃は私らと『妖魔退魔師』として肩を並べられていただろうに。全く惜しい事をしやがった……! 私もミスズ副総長もアイツをみっちり鍛え上げて強くしてやろうって意気込んでたのによ!)


 近い内に本部に戻って来る筈だった『コウゾウ』の未来に思いを馳せながら、彼女は胡坐をかいて猫背気味に体を前にしながら手を口元にやったかと思うと、そのまま大きく溜息を吐くのだった。

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