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最強の魔王が異世界に転移したので冒険者ギルドに所属してみました。  作者: 羽海汐遠
サカダイ編

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1272/2220

1255.命がけの挑発

※加筆修正を行いました。

 妖魔退魔師の連中が一箇所に集まって、何やら談笑を始めていたのを見ていた天狗の妖魔『王連(おうれん)』は、少し気を遣うように傍からその様子を眺めていたが、(つい)ぞ彼はヒサト達の元へと歩き始めていく――。


 王連が近づいて来たのを見たヒサト達は、会話を強引に止めて各々が自身の得の刀を強く握り始める。


「カッカッカ、楽しそうに談笑しているところを止めてしまってすまぬが、儂とて契約している人間に呼び出されてこの場に居るのでな? 役目を果たさねばならぬ以上は残念な事だがお主らには死んでもらわねばならぬのだ」


 少しも残念そうに見えない笑顔を顔に張り付けながら、天狗の『王連』はヒサト達に告げる。


「語るに落ちるぞ天狗。本当は人間を殺したくてウズウズして山を下りてきたのだろう? それにしても妖魔召士と契約をしているという事は、人間を殺めたいとは思っていても、自分だけでは我々妖魔退魔師に討伐されるかもしれないと怯えて手が出せず、それで仕方なく妖魔召士に縋って共に行動をしているといったところか? ランクが高い癖に()()()()()()()()()だな」


「……」


 ヒサトは自分に『王連』を引き付ける為にワザと挑発を行い始める。


 どうやらその効果は覿面だったようで、先程まで笑顔だった『王連』から笑みは完全に消えていた。


「これでいいな、見てみろ。先程まであの天狗は俯瞰するようにこの場に居る全員を視線に入れていたが、今は確実に俺だけを見ていやがるぞ、相当に頭にきたんだろうな。どうやら俺が思っているよりもずっと自尊心が高い妖魔だったようだ」


 そう口にしながらもヒサトは額に汗を浮かべている。


 ――しかしそれは当然の事だろう。


 狙い通りに挑発が成功したという事は、あの素の状態でランク『7』とされている高ランクの妖魔、大天狗の『王連』の殺気を一身に浴びているという事に他ならないのだ。


 術式を施していない状態の素の妖魔ランクであっても、ランク『6』までならば少なくとも『妖魔山』以外でも年に数回は『ノックス』の世界の至る場所で確認が取れる事もあるが、これがランク『7』となれば『妖魔山』以外に現れるという偶然は有り得ない――。


 この世界の妖魔ランク表記『3』の妖魔でさえ、アレルバレルの世界の人間界に『皇帝』が現れた時期の時代であれば、ソフィ達の居る『魔界』で十分に大陸の支配者となれる程の戦力値に値する事になり、ランク『3.5』で群雄割拠の時代で十分に顔役を張れる程であり、ランク『4』ともなれば『九大魔王』と真っ向からぶつかっても苦戦を強いられるだろうが最後は勝ち残れるだろうというレベルとなる。


 ランク『6』で『大賢者』エルシスが生前で自身が過去最高となる戦力値を手にした時の状態と肩を並べる事と同列程の強さであり、ランク『6.5』からは『アレルバレル』の世界では『大魔王ソフィ』を除けば、シスの中に眠る大魔王が目覚めて動き出した時か、この世界に来てめきめきと成長を遂げている大魔王『ヌー』くらいでしか、肩を並べられる存在は居なくなってしまう程である。


 そんな妖魔ランク表記であるが、今この場で妖魔退魔師、副組長『ヒサト』に殺意を向けている『王連』の妖魔ランクはアレルバレルの世界で言えば未曾有の領域となるランク『7』である。


 高ランク帯の妖魔ランク表記でたった『1』の数字が変わるだけで、戦力値換算で言えば大きく変貌を遂げてしまう。


 術式を施された妖魔『英鬼(えいき)』がソフィと『煌鴟梟』のアジトで戦った時に下限ではあるが、一応のランク『6』相当と呼べる強さを手にしていたが、その時の『英鬼』で戦力値は5600億程である。


 ――そしてこのランク『7』の『王連』の持つ戦力値は、少なくとも7000億を上回るだろう。


 妖魔召士が『王連』に対して何か術式を施さなくとも、ただの純粋な『大天狗』の『王連』の本来の力のみで戦力値が7000億を越える事になるのだ。


 この『王連』と妖魔退魔師組織に居る者で真っ向からぶつかれるとしたら、総長や副総長。それに最高幹部の面々である組長階級の者達だけだろう。


 ヒサト達副組長階級では残念ながら、ランク『7』以上の存在と対等に渡り合う事は不可能である。


 問題はこの王連を相手に如何に時間を稼げるかにかかっている。既にヒサトは自分が生き残る事はもう考えてはいない。考えたところで万が一にも『王連』に勝てる筈が無いからである。


 そんな『王連(おうれん)』が明確な殺意を抱きながら、挑発を行った『ヒサト』に視線を送っている。


 ヒサトは部下の手前、強気な発言を繰り返してはいるが、隠している裾の下では刀を持つ手が震えているのだった――。


 ……

 ……

 ……

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