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最強の魔王が異世界に転移したので冒険者ギルドに所属してみました。  作者: 羽海汐遠
サカダイ編

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1263/2219

1246.三組副組長ヒサトの生き方

※加筆修正を行いました。

 ヒサトの号令によってケイノトの門前では、遂に妖魔召士と妖魔退魔師の戦闘が開始された。


 妖魔退魔師側の狙いは『キネツグ』であった。


 彼は少し前まで魔力の準備すら行わず、場に『式』すら出していない様子であった為に『妖魔退魔師』側に狙うべき穴はここだと判断されたのである。


 今は何とか『チアキ』という女の妖魔召士に一体の『鬼人』を護衛に回してもらったようだが、それでも他の妖魔召士達よりも狙いやすい事には変わりはない。


 そう考えた妖魔退魔師達が一斉に駆けて行ったのだが、そこに妖魔退魔師達の狙いを理解しているかの如く、妖魔召士側の者達も行動を阻止しようと動きを見せて来た。


 ぼんっ、ぼん、という音と共に、図体のでかい妖魔達が使役されたかと思うと、妖魔退魔師の行く手を阻もうと壁になり始める。


「こんな奴らで俺達妖魔退魔師を止められると思うなよ!」


 先頭を駆けていた妖魔退魔師はそう言い放つと共に、得の刀を横凪ぎに斬り捨てる。


「グルァァッ!!」


 妖魔退魔師の男の背丈の二倍はあろうかという『幽鬼(ゆうき)』は、あっさりとやられて式札へと戻される。そして直ぐに妖魔退魔師はその札を掴むと手で破り捨てて見せるのだった。


「ちっ……!」


 妖魔の契約を強制的に破棄させる手段を心得ている妖魔退魔師の男は、新たに魔力を注ぎ込まれて契約自体を続けている今の妖魔を再度出される事を防いで見せたのであった。


 先程の『幽鬼』を使役した妖魔召士が舌打ちをする表情を見たその妖魔退魔師の男は笑みを浮かべたが、直ぐにその表情は曇り始める。


 何と別の妖魔召士達も次々と『幽鬼』を出現させ始めたのである。


 直ぐに悔しがる表情を見せた妖魔召士の顔も見えなくなる程に、巨躯の『幽鬼』が壁のように連なって行く。


 妖魔退魔師の男にはこの『幽鬼』は図体がでかいだけのランク『2』程の妖魔という認識であったが、当然この妖魔達も次々と光が包み込んだかと思うと、最初に向かってきた『狗神』と同じく術式で強化が施されていった。


 そこで先頭に居た妖魔退魔師の男がちらりと背後を振り返ると、すでに彼の仲間達も向かってきているのが見えた。


「へっ! 残念だったな? 流石に『式』の数を含めればあんたらの方が数は上だが、それだけじゃ恐れるに足りぬ! 少しばかり強化が出来る術式を扱えるからと言って、こんな妖魔達で俺達を止められるとは思わない事だ!!」


 どうやら仲間が次々と参戦して妖魔と戦い始めるのを見た先頭に居た男は、勇気づけられたのか意気揚々とそう言い放つと、手に力を込めて刀にオーラを纏わせて再び近くに居た『幽鬼』を斬って捨てるのだった。


 次々と使役出された『幽鬼』を妖魔退魔師達が物ともせずに倒していくが、図体のでかさもあってか、妖魔が密集するともう妖魔退魔師側からは、目標であった『キネツグ』の姿が見えなくなるのであった。


 しかしそれでもランク『2』から『3』相当になっている『幽鬼』を豆腐のようにスパスパと斬っていく妖魔退魔師は、いずれ繰り返していけば確実に届くと信じて『幽鬼』を倒して式札に戻していくのであった。


 …………


 ヒサトは部下達が妖魔召士の使役している『式』達を次々と倒していく姿を眺めながら、相手の妖魔召士達の出方を窺い始める。


 彼はキョウカの代わりを務める指揮官として、冷静に局面を見定めながら正確に指示を出せるように極力は自らが打って出るような真似をせずに居た。


(俺の役目はキョウカ組長が戻ってこられるまで、彼らを生かしながら奴ら妖魔召士をここで足止めする事だ。絶対に町の中には入れさせず、退魔組の元へは行かせない!)


 あくまでヒサトはそう考えるだけに留めてこの場に居る妖魔召士達を全滅させる等という、自分の裁量を越えるような高望みは抱かなかった。


 ――このヒサトという男はこれまでもこういう生き方を続けてきていた。


 どれだけの好機が彼の元に訪れようとも一定の成果を得られたならば、それ以上に欲を張るような真似をせずにあっさりと引く。


 何度同じことが起きても出来るだけ同じ結果を残せるだろうと彼が確信を持てる行動を取り、不明瞭な好機や事故を防ぐ為に、自分に自信が持てない事は極力避けて通る。


 他人から見れば面白くも何ともないような、無難な生き方こそが彼が必死に求める人生観なのであった。そんな彼が抱いたここでの使命は、キョウカ組長が戻って来るまで現状維持を貫く事――。


 部下達が戦闘を行っていく中で、加熱していく興奮を抑えて普段通りに振る舞わせる事や、部下の隊士達の生存を第一優先に考えてそれ以上の功や章に望みを持たないのが、この『ヒサト』という妖魔退魔師組織の『副組長』と呼ばれる地位に居る男であった。 


 ヒサトは部下達の攻撃によって壁と見紛う程の巨躯の『幽鬼』の数が減って来た事で、少し遠くが見渡せるようになり、そこで妖魔召士達の動きを窺おうと身を乗り出したところで目を丸くする。


 そしてこの後に妖魔召士達が行おうとしている事を先読みしたヒサトは、直ぐ様多くの妖魔と戦い続ける部下達に指示を出すのであった。


 ……

 ……

 ……

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