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最強の魔王が異世界に転移したので冒険者ギルドに所属してみました。  作者: 羽海汐遠
サカダイ編

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1212.面倒な事

※加筆修正を行いました。

「トウジとはあの『煌鴟梟(こうしきょう)』のボスの名前でしたか?」


 うんうんと唸って悩む素振りを見せていたイツキは、ユウゲの言葉に意識を向けた。


「ああ、そういえば前にお前に様子を見て来てくれと頼んだ事があったな」


「はい。俺の記憶が正しければトウジ殿は、新たに『煌鴟梟』に加えた新人とやらに『魔瞳(まどう)』のような攻撃を受けて、意識を操られているように思いました。確かあの時はヒュウガ殿が旅籠町に向かった連中に何やら事を起こすかもしれないという事をイツキ様に教えて頂いた事で静観をしていましたが、どうやらその口振りでは意識が戻られたという事でしょうか?」


「今日『退魔組』の屯所で一目見ただけだが、俺が見た感じでは意識はまともに感じられたな」


 昼過ぎの事を思い出したイツキがそう告げると、ユウゲは何やら納得していない様子だった。


「何だ? 何か言いたそうだなユウゲ」


「その意識を操るという技法何ですがね、確かに我々の『青い目(ブルー・アイ)』のような魔瞳では『魔力』の渦に巻き込んで、相手の身動きを封じるといった効力はありますが、他者の意識を操るといった事を出来ないんですよ」


「それはないだろう? 昔とある『妖魔召士』が俺の目の前で他者の意識を強制的に落としたり、操っている姿を見た事がある。 『青い目』はそういう事の出来る『魔瞳』なんじゃないのか?」


 イツキ自体は『魔瞳』の『青い目』を使えはしないが、イツキが『煌鴟梟』の組織を立ち上げ始めた頃、妖魔を相手に戦う『妖魔召士』の戦いぶりを観察した事があった。その時の『妖魔召士』は間違いなく、相手の妖魔に対して『ユウゲ』が報告をしてきた時のような状態に陥らせていたのを直に見た事があった。


「それは妖魔召士の使う魔瞳の効果では……。 『青い目(ブルー・アイ)』ではないのですよイツキ様……」


 明確な否定をして見せるユウゲに、イツキは眉を寄せて先を話せとばかりに促すような視線を向けた。


「イツキ様の見たその意識を操っていた『妖魔召士』というのは『シギン』様か『サイヨウ』様ではないですか?」


「ああ。そのサイヨウって奴だったと思う。確か周囲の人間にそう呼ばれていた筈だ」


 やはりそうかとばかりに頷いて見せるユウゲだった。


「それは我々『妖魔召士』の魔瞳ではなく、サイヨウ様が独自に編み出された『術式』だと思われます」


「目を青くしていたのにか?」


「それはよく分かりませんが、妖魔召士の『魔瞳』の効力ではない事は確かですね」


「そうか」


 イツキはユウゲの言葉に全てが納得したわけではなかったが、それでも『青い目』を使えない自分よりも、ユウゲの方が魔瞳については詳しい事には違いはないと強引に納得をしたようであった。


「話を戻しますがトウジ殿が意識を取り戻していたというのは、一時的の可能性があります。トウジ殿を操ったのが妖魔召士ではなく、その謎の新人の『セルバス』というのは間違いはないでしょうが、仮に他者の精神を操る事が可能な程の技法を持っているとするならば、当然普段は元に戻させておくという事も可能でしょうからね」


「それは確かにその通りだな。特に『退魔組』のような、魔力を持つ『退魔士』が多く居るような場所に、操ったまま向かわせるような真似をしないか」


 ユウゲの言っている事が納得出来たイツキは、やはり今の『トウジ』はまだ操られている可能性があるのかと思い直すのだった。


(ミヤジが言うには『退魔組』に入る案を出したのもトウジだと言うし、実はヒュウガ殿とトウジを上手く操っているセルバスとやらが裏で手を組んでいる可能性があるか? 『退魔組』を利用しようというのもヒュウガ殿ではなく、その『セルバス』とかいう『煌鴟梟』の新人だった男の可能性も捨てきれないな。だとすると、そいつの狙いは『退魔組』に居る俺達だという事も考えられる。煌鴟梟のボスを操っていた程の奴だ、俺の事を聞き出していてもおかしくはない。まずいな、ヒュウガ殿とセルバスって野郎が情報を共有しながら『退魔組』を利用しようとしているのならば、迅速に行動を決めなければ、気が付いた時には八方塞がりで、雁字搦めにされて身動きが取れなくなるかもしれん)


「このまま屯所に戻ろうかと思ったが、少し情報を整理し直してからの方が良いな。よし、お前もうちについて来い」


「え?」


 二つ返事で同意すると思っていたが、実際のところは悩む素振りを見せるユウゲだった。


「どうした? この後に何か用があるのか?」


「ええ、最初にも言いましたが、我々『特別退魔士(とくたいま)』はサテツ様の命令で、ケイノトの外に出てこちらを見張っている『妖魔退魔師』を更に遠くから監視している状態で待機しているのです。俺だけが抜け出してイツキ様に報告を行う為に戻ってきていましたが、また直ぐに戻らなければ怪しまれてしまうでしょう」


「それもそうか。まぁどちらにせよ、サテツにこの事を伝えないといけないのは変わりがない。少し考えた後に俺がサテツに、ヒュウガ殿の事を報告しておくからお前はもう戻れ」


「分かりました、イツキ様。それでは失礼します……」


 その言葉を最後に、目の前からユウゲの気配が消えたのであった。


「ヒュウガ殿にサテツ、それに煌鴟梟の新人のトウジと色々と考える事が多くて面倒な事だよ全く……」


 そう言葉を吐き捨ててイツキもミヤジの待つ長屋へと戻って行くのであった。


 ……

 ……

 ……

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