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最強の魔王が異世界に転移したので冒険者ギルドに所属してみました。  作者: 羽海汐遠
サカダイ編

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1228/2220

1211.狂人のようなイツキ

※加筆修正を行いました。

「何にせよ俺は少し出るが、まだ表には妖魔退魔師達がうろついている事だろう。お前は大人しくここで待っていろ」


「わ、分かりました……!」


 ミヤジの返事に頷いた後、イツキはそのまま自分の長屋を出ていくのだった。


 ……

 ……

 ……


「ユウゲ、まだアイツらは居るのか?」


「顔ぶれは変わっておりますが、数も変わらず『退魔組』を見張れる位置から動いていませんな」


 日が完全に落ちて肌寒い夜の中、虚空に向かってイツキは一人喋ったように思えたが、その言葉には返事があった。裏路地の長屋の屋根の上に姿を現した『特別退魔士(とくたいま)』である『ユウゲ』であった。


「そうか。サテツはどうしている?」


「サテツ様自体はいつもの通りに奥の部屋に居ますが、既に私以外の『特別退魔士(とくたいま)』はケイノトの外へ出ております」


「これまでも『退魔組』を見張る妖魔退魔師組織の輩の存在はあったが、流石にこれだけ長い期間見張られていると『妖魔召士』組織側で何かあったと察して行動を取り始めたか。まぁ力だけの馬鹿でもそれくらいは理解が出来てもおかしくはないか」


 『退魔組』の頭領のサテツに対しての口振りとはとても思えないイツキの言葉に、ユウゲは苦笑いを浮かべるのだった。


「昼間に屯所の方へミヤジさん達が来ていたようですが、どんな内容だったのですか?」


 今も長屋にミヤジが居る事には気づいている様子のユウゲだったが、イツキの長屋には気付かれない場所に『結界』が施されており、中での会話等は傍受が出来ない為にどんな会話が繰り広げられていたのかユウゲも分かってはいないようであった。


「ああ……。どうやらヒュウガ殿が『妖魔召士』組織を()()()()()()()()()()()()


「……()?」


 飄々とした態度でとんでもない事を口走ったイツキに、ユウゲは信じられない言葉を耳にしたとばかりに目を丸くして、疑問の声が喉から漏れ出るのだった。


「里でゲンロク様とどういうやり取りがあったとか、そういった経緯は俺も分からないんだが、どうやら旅籠町の屯所で捕らえられていたミヤジからの説明だと、前回の予備群襲撃を起こしたヒュウガ殿の取り巻きを外へ出す為に、旅籠町の護衛隊の屯所を襲撃して予備群を殺害したらしいぞ。ククッ、まじで意味分からねぇよな?」


 何が可笑しいのか、イツキはユウゲに説明を行っている途中に笑い始めるのだった。


「そ、それで……? ヒュウガ殿はどうされたのですか?」


「ああ……。当然予備群を殺害したんだから、前回の襲撃を起こした妖魔召士達の比じゃない事は予想がつくだろう? 『退魔組』の見張りがこれだけしつこいのもヒュウガ殿が『退魔組』に寄り付くと思って派遣されたんだろうな。それで『妖魔召士』組織の方も『妖魔退魔師』組織に尻を叩かれて動いたのか、それともゲンロク様自身がヒュウガ殿に裏切られた事で頭にきたのかまでは分からないが、躍起になってヒュウガ殿を捕縛しようと探しているみたいだ。く、くははっ……! どうやらヒュウガ殿は四面楚歌みたいだぞ?」


 今度はもう我慢が出来ないとばかりにイツキは手で腹を押さえながら、長屋の壁にもたれ掛かりながら大笑いを始めるのだった。


(な、何で笑っているんだ? ヒュウガ殿とサテツ様が裏で繋がっていたという事をゲンロク様に知られたって事なのだろう? ならば『退魔組』は今後サテツ様の意向でヒュウガ殿につく事になるという事だ……! つ、つまり我々も『妖魔退魔師』と『妖魔召士』の二大組織から、い、命を狙われるという事なのではないか!?)


 そんな状況で何故笑っていられるのかさっぱり分からないユウゲは、目の前のイツキを狂人でも見るような目をして呆然としていた。


「く、くくッ! ああ、笑った笑った。で、お前これからどうする?」


 ようやく一頻笑い終えたようでイツキは、首をポキポキと鳴らしながら壁にもたれていた状態から立ち上がると、そんな事をユウゲに問うてくるのであった。


「『退魔組』に属している以上はサテツ様の意向に従うのが当然なのでしょうが、俺は『イツキ」様にこの命を預けている身ですからね。そりゃ当然貴方に従いますよ……。しかしイツキ様はどうされるのです? 逃げるというのであれば、このタイミングでしかないでしょうけど……」


 今はまだ直接ヒュウガから事情を説明されたわけでもない為に、このまま逃げてほとぼりが冷めるまで姿を晦ましていれば、ヒュウガに協力していた『退魔組』の一味という扱いからは逃れられるだろう。その代わりにこれまで築き上げてきた全てを放棄する事に繋がってしまうのは避けられないであろう。


「ふーむ……。さて、どうするかなぁ……? 俺としては今すぐにトウジに会って話がしたいんだけどね」


 腕を組んで悩む素振りを見せながらそんな事を口にするイツキであった。

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