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最強の魔王が異世界に転移したので冒険者ギルドに所属してみました。  作者: 羽海汐遠
サカダイ編

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1204/2219

1187.エイジの姿と珍しいヌーの態度

※加筆修正を行いました。

「お主ら一体どうやってここに入り込んだ?」


 里の入り口でヌーが三種のオーラの技法を纏っていた事で、膨大な『魔力』を感知したのだろう里の妖魔召士達が続々と集まって来るのであった。


「むっ? あ、あんたは……!」


 揃いの紅い狩衣を着た妖魔召士達の方へとソフィが視線を送ると、その中に居た妖魔召士の一人がミスズの姿を見て驚く声をあげる。


「数日振りですね、妖魔召士の方々」


 そう言って眼鏡をくいっと上げながらミスズが言葉を出すと、声を漏らした者以外の妖魔召士達も眼鏡を掛けた女性が、妖魔退魔師の副総長だという事を認識したようで、各々が身構え始めるのだった。


 妖魔召士達はまだ身構えているだけで、即座に攻撃を仕掛けようとはしてきてはいなかった。それを知ってかミスズは腰に差している刀に手をあてる素振りすら見せずに、じっと妖魔召士達に視線を送るだけに留まる。


 この場に居る妖魔召士達は誰もソフィ達を見てはいない。全員がミスズ一人に注目してどうするかと逡巡している様子であった。たった一人であってもミスズは妖魔退魔師の副総長であり、この場に集まっている妖魔召士達も自分達だけで副総長ミスズを取り押さえられるとは思っていない。しかしだからといって、自分達の里に入り込んだミスズを前にして、この場から離れるわけにも行かずに体裁を保つ為に、仕方なく身構えざるを得なくなっているのであった。


「使者すら送らずに突然現れて、このように騒がしくした事に関しては非常に申し訳ないと思っていますが、こちらも事が事であった為に無礼を承知で貴方がたの里に入らせて頂きました。どうかご理解願いたい」


 丁寧にそう告げたミスズにその場に居た妖魔召士達は互いに視線を交わし始めたが、そこで奥からもう一人紅い狩衣を着た男が近づいてくるのだった。


「お主ら、どうやら妖魔退魔師の副総長殿は話をしに来ただけのようだ。通してもよいだろうと小生は判断するぞ」


 その近づいて来た妖魔召士は『()()()』であった。


「え、エイジ殿。し、しかし……!」


「小生が判断したと言っている」


 エイジが同じ言葉を繰り返しながらぎろりとその視線を向けた。苦言を吐こうとしていた若い妖魔召士の男は、後ずさりながら悔しそうな表情を浮かべるのだった。


「くっ、くっ……!!」


「分かりました。おい、行くぞ!」


 エイジの目力に退かされた若い妖魔召士の男の肩に手を置いた別の妖魔召士の男は、この場はエイジ殿に任せようという意味を込めてそう告げた。


「は、はい……」


 どうやら若い妖魔召士に声を掛けた男が、この中では一番偉い立場の男だったようで、エイジに悔しそうな視線を送りながらも素直に従ってここから去って行った。


 エイジは自分以外の妖魔召士達がこの場から去って行くのを確認してから、ソフィ達に笑みを浮かべた後にミスズに言葉を掛けた。


「すまなかったなミスズ殿。まだ新体制に移行仕切れていないのだ。多少の無礼は目を瞑って頂きたい」


 そう言ってエイジが軽く頭を下げると、ミスズはやわらかい笑みを浮かべながら首を横に振った。


「こちらこそ使者も送らずに訪れたのですから、仕方がありません。感謝しますよエイジ殿」


 そう言って互いに笑顔を浮かべながら、握手を交わすのだった。


「クックック、久しぶりという程では無いかな? エイジ殿」


「そうだな、ソフィ殿。それにヌー殿達も」


「ああ、騒がせてすまなかったな」


「「え?」」


 ミスズとの握手を終えて手を離したエイジは『サカダイ』の町の前で別れたソフィ達と再会した事で、嬉しそうに挨拶をしていたが、突然のヌーが謝罪を行った事でエイジだけではなく、その場に居るミスズとテアを除いた他の者達が驚くような声を上げるのだった。


「ちっ、なんだよその反応はよ!」


「い、いや……。えらく殊勝な事では無いか? なぁセルバス」


「へ、へへ……! ですね旦那、こいつが素直に謝るなんざ明日は雨でも降るんじゃないですか?」


 珍しくヌーがエイジに真面目な態度で謝罪を行った為に、ソフィは純粋に驚きセルバスは揶揄するような言葉を口にするのだった。


「うるせぇよ。別にそういうつもりで謝ったんじゃねぇ。去り際に若い連中にコイツが睨まれてやがったから、迷惑をかけちまったと思って言っただけだ」


(だからそれが殊勝な態度だと言ったのだが)


 どうやらヌーは他者に素直に謝るという経験が乏しかったようで、それこそが『謝罪をする意思』だというソフィ達の意味が理解が出来なかった様子だった。

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