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最強の魔王が異世界に転移したので冒険者ギルドに所属してみました。  作者: 羽海汐遠
サカダイ編

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1189/2224

1172.副総長ミスズの決意

※加筆修正を行いました。

 『妖魔退魔師(ようまたいまし)』の本部施設の屋上でミスズは、ソフィに届けてもらった『コウゾウ』の書簡を眺めながら思い耽っていたが、目に焼き付けるようにコウゾウの感情が込められた『最後の一文』を読み返した。書簡の最後には現在本部に居る『予備群(よびぐん)』シグレ隊士をたたえる言葉が記載されている。そしてその意味をしっかりと解釈したミスズは大事そうに手紙を筒に戻すのだった。


「貴方が私に伝えたかった事はしっかりと伝わりましたよ。いいでしょう。貴方の想いは私が引き継ぎます。それこそが私が出来る貴方への最後の手向けです……!」


 そう言ったミスズは静かに息を吐くと、口を開いた。


「当組織に多大なる貢献をもたらした妖魔退魔師組織『()()()()』である『()()()()()()に敬礼!」


 一の門の方角から視線を更に高い『空』へ向けた後、右手を顔から少し離して前の方へと挙げた後に指を揃えて出す。更にその後に足を揃えて背筋を伸ばしながらそう告げたミスズは、言い終えた後に素早い作法で手を下げた後、そのままゆっくりと頭を下げて45度のお辞儀を行うのだった。


 ――これは妖魔退魔師が予備群に対して行う敬礼作法ではなく、妖魔退魔師同士『()()』である者に対して、偉大な功績を残した者を()()()()()()()()()()であった。


 やがてミスズが顔を挙げた時、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()


 それは『妖魔退魔師』副総長ミスズの敬礼に対する、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()


 数秒もの間、妖魔退魔師の副総長ミスズは『空』を見上げて、妖魔退魔師のコウゾウを想って目を潤ませていたが、やがてその視線を『空』から切って意を決したように歩き始めた。その堂々とした表情と胸を張って歩く姿は、普段から組織を取り纏める最高幹部『妖魔退魔師』副総長ミスズの姿であった。


 …………


 妖魔退魔師本部の建物の中にある一室。ここ最近は医務室代わりに使われている部屋で、現在予備群のシグレは用意されている布団の中で横になっていた。近くには妖魔退魔師組織の最高幹部で二組の組長の座に就いているスオウの右腕で副組長の『サシャ』が、監視という立場でシグレの世話を行っていた。


 先程までここに彼女の組の長である『スオウ』組長も居たが、シグレから事情を聞いた後に彼女の代わりに本部に報告に行くと言ってここから出て行ったのであった。


 スオウが部屋を出ていった後は、サシャが一方的に話題を出してシグレがそれに相槌を打つという感じだった。シグレが別にサシャに対して思う所があるわけではなく、どうやら彼女は自分の代わりに、スオウに報告に行かせてしまったという事を気に病んでいる様子で口数が減っているのであった。


「もう入っていないわね」


「え?」


 心此処に在らずと言った様子でお茶の入っていた湯呑を眺めていたシグレにサシャが声を掛けると、何の事か分からないと言った様子でシグレはサシャの方を茫然とした目で視線を合わせた。


「貴方の手に持っているお茶よ」


 言われてようやく何の事を言っているのか理解出来たシグレだったが、そこでまた押し黙ってしまうのだった。


「私もまた喉が渇いたから淹れて来るけど、貴方もお代わりいる?」


「あ……はい。お願いします」


「はい、承りましたっと」


 シグレから恭しく一礼をする演技をしながら湯呑を受け取ると、二人分のお茶を淹れに行くサシャであった。ぽつんと一人残されたシグレは、この町に来て既に『妖魔召士(ようましょうし)』を殺めている自分を部屋に一人残された事に驚いたが、そもそもここは『妖魔退魔師』の本部の中であり、シグレが逃げ出そうとしても直ぐに腕利きの『妖魔退魔師』衆が駆けつけて来るだろう。そう思考が行き着いたシグレは、布団の中で体を起こした状態で、そこから出ようともせずに両手で顔を覆いながら俯くのであった。


 そしてサシャが出て行った後、直ぐに部屋の扉が開かれる音がした為、シグレははっと顔をあげて入り口の方に声を掛けた。


「えらく早いですね? それとも何か忘れ物でもあ……り、まし……!」


 最後まで言い終わる前にシグレは驚きで目を丸くするのだった。何と部屋の中に入って来たのは、お茶を淹れに行ったサシャではなく、()()()()()()』だったからである。


「ふ、副総長!」


 慌ててシグレがその場で立ち上がって挨拶をしようとするが、ミスズは眼鏡をくいっとあげて軽く手を挙げた。


「挨拶は結構。そのまま楽にしてちょうだい」


「は、はい!」


 まさかいきなりミスズが現れると思っていなかったシグレは頭の中が真っ白になってしまい、何も言えずにミスズの方を見続けるのだった。


 ……

 ……

 ……

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