108.ソフィの提案
※加筆修正を行いました。
時は少し遡り『ラルグ』魔国と『トウジン』魔国の戦争が開始される前『シチョウ・クーティア』は『ミールガルド』大陸に到着した。
彼の目的はここにいるという『レイズ』魔国の女王である『シス』を探し出す事であった。
ディアス王がラルグ魔国との戦争からシチョウを遠ざける為の方便だったが、シチョウにとってはそんな事は関係なく大事な任務である。
しかしシチョウはシスの安否を確認後、直ぐに『ヴェルマー』大陸に戻り戦争に参加するつもりだった。
「この大陸で一番戦力値が高い奴を探せばいいだろう」
『漏出』。
「一番高い戦力値を持っている奴の居場所は……、南か」
戦力値や名前を隠蔽されていようとも『漏出』であれば、高い戦力値を持つ者の居場所を知る事自体は出来るのである。
そして圧倒的に高い戦力値を持っている者の居る屋敷へと、空を飛んでいくシチョウだった。
……
……
……
その頃『レルバノン』の屋敷では、今後について話し合っていた。
「ラルグからお主を護衛するという依頼だったが、少しだけ変更してもよいか?」
ソフィは先程のシスの話を聞いて『ラルグ』魔国軍に対してある思いを持った。
「我々はソフィ君を信用しています。護衛さえして頂けるのであれば、そのやり方はソフィ君にお任せします」
レルバノンの許可を取ったソフィは、今後の事を静かに話し始めた。
ソフィは魔王レアの言っていた言葉がどうにも気になっていた。
――『もうすぐこの大陸に、ヴェルマー大陸の魔族が多く入り込んでくる』
つまり彼女がソフィに告げた言葉とは、レルバノンを狙うラルグ魔国が本気でこの大陸に攻め込んでくるという事なのではないだろうか。
そして追手がレルバノンに向けて送られてくるというのであれば、ソフィがレルバノンたちを連れて『ヴェルマー』大陸に向かえば、ミールガルドに魔族達を集めなくてすむという事である。
この大陸にもケビン王国や、ルードリヒ王国といった大国は存在しており、王国軍や冒険者ギルドといった、ある程度戦力を持つ機関も存在する。
しかしシスやレルバノンの語るラルグ魔国軍が、本腰入れて攻めてくるというのであれば、人間たちだけではとても勝てる相手だとは思えない。
王国の軍隊がどれ程の戦力を持っているかは分からないが『最上位魔族』が数体居るだけであっても、この大陸にある王国軍はやられてしまう事だろう。
ギルド対抗戦に出た事でソフィはある程度、この『ミールガルド』大陸の戦力値を分析出来るのであった。
そうであるならばこちらに向かう理由である『レルバノン』を『ヴェルマー』大陸の方へ移動させればいい。
他の者がレルバノンの護衛についているというのであれば、決してこの案は成立しないがソフィであればまた話は変わる事だろう。
そこまで考えたソフィは『ヴェルマー』大陸へ『レルバノン』を送る提案をするのであった。
この話を聞いた『レルバノン』は、シーマ率いるラルグ魔国軍とソフィを天秤にかけて考える。
そして『エルザ』は沈黙を選択して主の結論を静かに待つ。
主の命を最優先に考えるエルザが、敵の本国があるヴェルマーへ戻るというのに落ち着いているのは『真なる大魔王化』を果たした後のソフィの強さを知っているからである。
もしソフィが本気になれば西側の総戦力――、つまりラルグ魔国が相手でも何とか出来るだろうと、判断したのであった。
この中でまだソフィをよく理解していないシスだけが『本当にそれでいいの?』と言いたそうな疑問の表情を顔に張り付けてレルバノン達を見ていた。
しかしシスにとってはヴェルマー大陸に行く事で、レイズ魔国の『ヴェルトマー』達のその後がどうなったかを知る事が出来るので、ある意味で賛成ではあった。
しかし『レルバノン』が結論を出す前に、トウジン魔国出身の第三者の魔族がこの場に現れた事で話は変わっていくのだった。
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