表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
最強の魔王が異世界に転移したので冒険者ギルドに所属してみました。  作者: 羽海汐遠
サカダイ編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

1106/2226

1089.大出世と溜息

※加筆修正を行いました。

 ケイノト方面に向かったキクゾウ達と別れたヒュウガは、数名の『妖魔召士(ようましょうし)』達を引き連れて数日前までソフィ達が居た『旅籠町』に向けて歩を進め始めるのだった。


 その旅籠町の護衛を任されているコウゾウは、いつものように町の警備を終えた後にシグレの待つ屯所内へと戻る。


 本来であれば夕暮れ時の外回りの警備は、シグレの担当時間だったが、もうすぐこの『旅籠』の護衛隊長を『予備群(よびぐん)』のシグレに任せようと考えているコウゾウは、屯所内の仕事の引継ぎがてら、これまでコウゾウがやっていた仕事をシグレに任せ始めている為、外の警備はもっぱら隊長のコウゾウが担っていた。


 どうやらコウゾウもこの旅籠町には思い入れがあるようで、その目にこの風景を焼きつけておこうと考えたのかもしれない。


 元々コウゾウは『予備群(よびぐん)』の中でも、上から数えた方が早い程のエリートであり、これまでの実績を踏まえれば十分に『妖魔退魔師(ようまたいまし)』の総本山である『サカダイ』の護衛専門に就く事も出来ていたのであるが、本人たっての希望で別の町の護衛を買って出ていたのである。


 本来はサカダイの上位の『妖魔退魔師(ようまたいまし)』達が、一介の予備群の顔と名前を覚えている者は少ないのだが、コウゾウの事は各組長に副組長を含めた『妖魔退魔師(ようまたいまし)』の最高幹部達もコウゾウの事を記憶しているのであった。


 勿論戦闘に於いてコウゾウは『妖魔退魔師(ようまたいまし)』や『妖魔退魔師(ようまたいまし)衆』には届かないが、サカダイに居るエリートの『予備群(よびぐん)』達が相手であれば誰にも負けない程の実力者なのである。


 そんなコウゾウだからこそ本来は、シグレが隊長を務めていてもおかしくなかったこの旅籠の町で、直ぐに隊長がコウゾウへと替えられたのであった。


 この旅籠の町に『妖魔退魔師(ようまたいまし)』の護衛が就く前までは『ノックス』の世界の数ある旅籠町の間でも、この旅籠周辺は相当に治安が悪く、どうしようもない地域だった為、コウゾウは正義感に駆られてこの旅籠の治安を回復させようと思い、この場を志願して来たのであった。


 その治安を乱していた原因の多くが『煌鴟梟(こうしきょう)』であったのが『煌鴟梟(こうしきょう)』も現在はコウゾウ達の手によって壊滅したと本部に伝えられており、その時の事が要因で『妖魔召士(ようましょうし)』達と別件で問題が生じる事態とはなったが、それはコウゾウや『煌鴟梟(こうしきょう)』の件とは別の事であり、コウゾウは勲章物の手柄をまた一つ手にして『サカダイ』の町へと戻る事になるだろう。


 今回の一件でコウゾウは、本人の希望に関係なく昇進を決定づけられて、今後は本人が望もうが望まないが、本部付けの『予備群(よびぐん)』筆頭の頭となるだろう。


 更に言えば前述した一件で『妖魔召士(ようましょうし)』との話合いが上手く纏まれば、それこそキッカケを作ったコウゾウは『妖魔退魔師(ようまたいまし)』衆を名乗る事を許される可能性もある。そうなればもうコウゾウは、立派に『妖魔退魔師(ようまたいまし)』の仲間入りであった。


 そしてコウゾウは『妖魔退魔師(ようまたいまし)』の副総長ミスズからこれまで何度も『妖魔退魔師(ようまたいまし)』本部付けの『特務専門』部署に推薦を受けている。


 この部署の長もまた副総長のミスズが兼任しており、そのミスズが直接コウゾウを推薦しているという事はつまり、()()()()()()()()()()()と暗に告げているのであった。


 単なる戦闘要員であれば当然『予備群』のコウゾウよりも、本部付けの『妖魔退魔師(ようまたいまし)』衆や『妖魔退魔師(ようまたいまし)』と名乗れる力量の者も多く居るが、ミスズはコウゾウの戦い方に才を見出していて、この部署に居る他の者達と同じように自分が育てて強くしたいと考えているようである。


 この特務専門部署は自身が戦うだけが全てではなく、各地に散らばる町の護衛を務める『予備群(よびぐん)』達の実績などを見て、次の護衛先を決めたりする役割を担ったりもする場合もある。


 ほとんどは総長や副総長が決める事であるのだが、その副総長の座に居る者がミスズであり『特務専門部署』の長の座に居るのもまたそのミスズである為に、ミスズに任せられた者が全国に居る者達に指示を出す立場となる。


 つまりはこれまで指示を出されていた側だったコウゾウが、本部付けの数人しかいない特務専門部署に配置されるようになれば、今度は今のコウゾウの立場に居る各地の護衛の『予備群(よびぐん)』達に指示を出す側の立場へと変わる事になるという事であった。


 『特務専門』部署は序列的にも最高幹部の次に来るために『妖魔退魔師(ようまたいまし)』組織の『予備群』が最後の経歴であるコウゾウであっても、これからは本部付けの『予備群(よびぐん)』合わせて本部付けの『妖魔退魔師(ようまたいまし)』衆よりも立場は上になる為に、出世という意味では過去の歴史上『妖魔退魔師(ようまたいまし)』組織でこれ以上ない程の大出世になるわけである。


「身の丈にあっていない役に付くのは御免なのだがな。流石にいつまでも副総長のミスズ様の推薦を一方的に拒み続けているわけにもいかぬか……」


 今後『旅籠町』を離れる事になった後の事を考えていたコウゾウは、この町の自分の屯所が見えてきた辺りで溜息を吐くと、旅籠の町を見渡しながら独り言ちるのであった。

『ブックマークの登録』や『いいね』また、ページの一番下から『評価点』を付けていただけると作者のモチベーションが上がります。宜しければお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ