表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
最強の魔王が異世界に転移したので冒険者ギルドに所属してみました。  作者: 羽海汐遠
サカダイ編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

1065/2238

1049.いざ、サカダイへ

※加筆修正を行いました。

 魔神を元の世界へ帰らせた後に直ぐにソフィ達は支度を整えて、サカダイへと出る準備を行うのであった。


「それではコウゾウ殿、世話になったな」


「それはこちらの台詞だソフィ殿。おかげでこの旅籠を悩ます問題も無事解決する事が出来た。まだまだ全部が片付いたわけではないが、今後『煌鴟梟(こうしきょう)』が居るのと居ないとでは、まるっきり変わるだろう」


 本当に助かったという表情を浮かべながらコウゾウは、ソフィと握手を交わすのだった。


「それと、ソフィ殿に預けた文だが、間違いなく『妖魔退魔師(ようまたいまし)』の副総長である『ミスズ』様に渡して欲しい」


「副総長のミスズ殿か、任せておいてくれ。我が責任をもって届けよう」


 ソフィがそう言うと頼むと言った様子でコウゾウは頷きを見せる。


「我らが去った後も例の『妖魔召士(ようましょうし)』の者達をサカダイまで運ぶまでは、屯所内の結界はそのままにしておこう」


「色々と気を使ってもらってすまないな。助かるよ」


 『煌鴟梟(こうしきょう)』の構成員たちが相手であれば『予備群(よびぐん)』達で十分に対応が出来るが『妖魔召士(ようましょうし)』のコウゾウとチアキが相手となればコウゾウ達ではどうにもならない。手足を縛り『魔瞳(まどう)』を封じるために目隠しをしていたとしても『妖魔召士(ようましょうし)』達の『魔力』だけは縛りようがない為である。


 だが、そこにソフィの張った『結界』が加わる事で全ての問題は解決する。何故ならばソフィの『結界』は結界内で魔法を使用した術者の魔力を吸い取り、魔法発動を強制的に無効化するのである。そして結界内で魔力を行使された場合、当然ソフィの結界『魔力吸収の地アブソ・マギア・フィールド』は、相手の魔力の規模を直ぐに測り、()()()()の役割も担っている。


 チアキ達が脱走しようと目論みソフィの魔力を越える魔力を行使しようとした場合、直ぐにソフィには、屯所での魔力を即座に感知する事が出来る為、更にチアキ達の魔力を無効化する対応を取る事も可能なのである。


 つまりソフィの魔力を上回る者が居ない限り、あの屯所の地下では『魔法』や『捉術』といった魔力を伴う技法は使えない。まさに『神の聖域』と呼んでもいい程であろう。


「必要がなくなればまたお主がサカダイに来た時にでも会う事があれば、その時に言ってくれればよいし、我がこの世界を去る時まで、あのままにしておいても構わぬ」


「本当にすまないな、ソフィ殿。しかし数日中には上層部から、彼らの輸送の部隊が派遣されてくるだろうし、そこまで長くはかからないとは思うのだ」


「うむ。それならば、それでよい」


 そう言ってソフィは、コウゾウに笑みを向ける。エイジは二人の話を聞いていたが、ソフィの言葉に内心では驚いていた。


(本来、結界の力が強力になればなるほど、術者の魔力に負担がかかるものだが、魔族とやらの結界は人間とは違うのか? 『妖魔召士(ようましょうし)』と名乗る事を許された者達の魔力さえ『青い目(ブルー・アイ)』を発動させたとしても『魔力』が乏しい者で数十分。小生達でも持って数時間が限度なのだが)


 エイジはいつかソフィに、この町に張った『結界』の事を詳しく聞こうと思うのであった。


 そしてソフィが最後の挨拶をしようと口を開きかけたが、その前にセルバスが見送りに来てくれていたシグレの前に向かっていく。


 シグレはすぐに近づいてくるセルバスに気づいて頭を軽く下げた後、微笑みを浮かべている。


「な、なぁ! アンタ……、また会えるか?」


「えっ?」


「あ、あんたとはまた個人的に会いたいと思っている。この屯所に来れば、今後もまたあんたに会えるか?」


 シグレはそんな事を言われると思っていなかった為、きょとんとした顔を浮かべながら小さく驚きの声をあげるのだった。


 普段の表情では無く少し困った様子で隣に居るコウゾウの顔を見る。コウゾウとソフィ達は、やがてニヤリと笑みを浮かべた。


「安心するがいい、セルバス殿。この町に護衛が必要ないと言われるまでは、シグレはこの旅籠町の護衛の為に残させようと思っている」


「た、隊長……!」


「その時は悪いがお前が、この旅籠の護衛隊長を任せるぞ」


 突然のコウゾウの言葉だったが、旅籠の護衛隊の隊長を任せると言われて驚いていた様子だったが、徐々にシグレの顔がキリっとした表情になっていく。


「分かりました、お任せください隊長!」


 そう言ってシグレはコウゾウに敬礼をすると、コウゾウは頷いた後にセルバスの方を見る。


「そう言う事だからセルバス殿。シグレに用があるなら、いつでもこの旅籠に来るといい」


「あ、ああ……、分かった、すまねぇな」


「クックック、セルバスよ、もうよいかな?」


 セルバスは頭を掻きながらコウゾウに感謝の言葉を告げていると、一部始終を見ていたソフィが何やらニヤついた表情を浮かべた後、そろそろ町を出るぞと言いたげにセルバスに声を掛けてくるのであった。


「へい、時間を取らせてすまねぇ、旦那」


 最後にセルバスは意味ありげにシグレの方を一瞥した後、慌ててソフィの元へ駆け寄って行くのであった。


「それでは我達は行く事にする。本当に世話になった、感謝するぞ」


「こちらこそだ『旅籠町』の『予備群(よびぐん)』を代表して礼を言わせてもらう。何か俺達に出来る事があれば、いつでも声を掛けてくれ」


「うむ、それではな」


 そう言ってソフィ達はコウゾウ達や屯所の『予備群(よびぐん)』達に別れを告げて、サカダイへ向かう為『旅籠町』を後にするのであった。

『ブックマークの登録』や『いいね』また、ページの一番下から『評価点』を付けていただけると作者のモチベーションが上がります。宜しければお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ